72 / 74
新章
新章最終話 一生勝てない相手
しおりを挟む
翌日、エルメは気持ちを切り替え、マリオンに昨日の謝罪をした。そして辞めるという騎士を訪ね、引き止めると言った。
そんなエルメにマリオンは、「そうか、分かった」と短く返しただけで、素っ気なかった。
いつもと全く違う夫婦の雰囲気に、周囲はざわつく。そして、一番不安そうにしていたのは、リオルだった。当然だろう。あんなに仲睦まじかった両親が、一夜明けたら、よそよそしくなっているのだから・・・
そしてその日の午後、生まれてくる赤ちゃんの服の打ち合わせで城を訪れたアリスから、エルメは意外なことを聞く。
アリスが、街でリオルを見かけたと言うのだ。パッと見、お供もつけずに歩いているようにも見えた為、声をかけようとしたが、人混みに紛れて見失ってしまったらしい。そしてアリスは、まさか皇子が一人で街を歩くはずがないと、気に留めなかった。
これを聞いたエルメは、ガタッと立ち上がると、部屋を飛び出し、息子の部屋に駆け込ん・・今は妊娠中。できる限りの早歩きで向かった。しかし、そこには慌てふためく侍女の姿しかなかった。
聞けば、リオルの姿がどこにもないと言った。そしてリオルが、朝から“あんなに仲の良かった両親が、喧嘩をしたかもしれない”と、落ち込んでいたとも知らされた。
(嘘でしょ・・まさかリオルにそんな思いをさせたなんて!)
エルメは息子の部屋を飛び出し、至急馬車を出すように言った。そして、あっという間に馬車に飛び乗ると、街の中へ消えていった。
その一方、城では出掛けようとしているマリオンにアリスが手を上げ、二人がハイタッチをしていたことを誰も知らない。
◇◇◇◇◇
(絶対にここにいるわ!リオル、待っててね。お母さんが悪かったわ)
エルメが見上げるのは、マリオンに用意されたあの家だ。結婚してから、度々訪れていたエルメだったが、リオルが生まれてから子育てに忙しく、足が遠のいていた。
リオルには、この家のことを話しており、一度だけ連れてきたことがあった。
エルメは懐かしい思い出に浸ることなく、鍵を開ける。すると、鍵はかかっていなかった。
(やっぱりリオルはここに!)
そう確信したエルメが中に踏み込むと、そこはキレイに手入れされた空間が広がっていた。まるで毎日、誰かが生活しているような心地良い空間が・・・
暖かい日差しの温もりが窓から差し込み、色とりどりの花が生けられた花瓶がいくつも飾られている。全てが完璧に整えられていた。
しかし、そこに探していた息子の姿はない。代わりにいたのは、エルメの心を誰よりも歓喜させる笑顔を浮かべたマリオンだった。
「リオルは?ここで見なかった?」
何故マリオンがいるのかという疑問すら浮かべる余裕のないエルメが、夫に詰め寄るが、返ってきたのは息子を心配する彼女とは真逆の楽しげで落ち着いた声だった。
「リオルは、城にいるぞ」
この一言で、また騙されたことを悟ったエルメ。息子が無事だったことへの安堵からか力がふっと抜け、膝から崩れ落ちそうになる身体をマリオンが支えた。
エルメが見上げると、いつもの眼差しが向けられ、翡翠色の瞳に映る自分の姿は何処か滑稽だった。
そして、襲ってきた感情。怒りに任せて怒鳴り散らそうと口を開いた瞬間、マリオンの顔が近づいてきたと思ったら、唇を奪われてしまう。それは、触れるだけの優しいキスだったが、エルメの怒りを鎮めるには十分過ぎるものだった。
「何でこんなことしたの?リオルとアリスまで巻き込んで」
唇を自由にされると、すぐに疑問をぶつける。すると、マリオンからどこまでも優しい声色で答えが返ってきた。
「朝はすまなかった。君は謝罪したのに・・・私のほうが余程子供だな。ここから、もう一度やり直したかったんだ。この子も生まれてくるのに、このままじゃいけないと思ってな」
マリオンはエルメのお腹にそっと手を当て、真剣に見つめる。その瞳は、澄んでいてどこまでも真っ直ぐで、エルメは思わず息をのんだ。
「マリオン・・・そうね。子供に心配させるなんて、親として失格よね。私ももう一度謝らせて・・本当にごめんなさい。もう合図を知りたいとか言わないし、平穏な幸せが退屈なんて贅沢言わない」
「それは本心か?」
「当たり前でしょ。信じられない?」
エルメがクスッと頬を緩めて言うと、「いや信じよう」と、マリオンは優しく微笑む。そして二人は、再びどちらからともなく顔を近づけ、今度は深く長く口づけを交わした。
「・・ん・・・ぅ・・」
外の活気ある喧騒とは反対に、静かな室内に流れる息づかい。
しかし、唐突にエルメはハッと何かに気づくと、慌ててマリオンから離れようとした。
不思議に思ったマリオンが「どうしたんだ?」と聞くと、顔を真っ赤にしたエルメがポツンと呟いた。
「・・・だって、この流れはダメよ」
この彼女の様子に、マリオンは途端にニヤリと笑みをこぼすと、耳元で囁く。
「本当に止めていいのか?君の瞳は正直だぞ」
マリオンが紅潮するエルメの頬に手を添えると、彼女の潤んだ瞳は揺れ動く。
「・・・でも、まだ明るいのに・・」
「仲直りするのに、昼も夜も関係ないだろ。私たちは今でなければならないんじゃないか?
まだゴネるなら、君の身体に聞くという選択肢もあるぞ。私は君の身体のどこを攻めれば、喜ぶか知りすぎているからな。部屋の防音も抜かりない」
それでも躊躇するエルメの耳を軽く食んだマリオンは、甘くねだるような声で囁く。
「エルメが居なくなって、寿命が縮んだんだ。私に、君の慰めが必要なのは分かるだろ?」
耳にかかる息がエルメの背中をゾクゾクさせる。
これに観念したエルメは、腕をマリオンの首に回すと、「分かった。頑張るから、いっぱい優しくしてね」と、艶やかな表情で答えたのだった。
こうして寝室に消えた二人は、日が暮れるまで籠もったのだった。
ようやく城に戻ったエルメは、夫に横抱きにされたまま自室に連れていかれ、不仲になったのかとやきもきしていた周囲をホッと安堵させたのだった。
「マリオンのバカ。頑張るとは言ったけど、あっ、あんなの・・・」
そう顔を真っ赤にして訴える彼女の声がかすれていることは、まだマリオンしか知らない。
(もう・・喉が治るまで誰とも口きけないじゃない)
そう恨めしげに愚痴を言ったエルメだったが、結局はいつも通り甘やかすマリオンによって、口を開くことになるのだった。
しかし、それはこの先のお話・・・
◆◆◆◆◆
新章本編はここで終わります。
久しぶりのエルメのたちの物語、いかがでしたか?
合間合間に気分転換のつもりで書いていた続編なので、細かい設定の記憶が消えてる。
一応、気をつけて書き上げたつもりですが、軽い設定違いがありましたら、お見逃しをお願いします。
後日談があと少し続きますので、そちらもお楽しみくださいませ。
そんなエルメにマリオンは、「そうか、分かった」と短く返しただけで、素っ気なかった。
いつもと全く違う夫婦の雰囲気に、周囲はざわつく。そして、一番不安そうにしていたのは、リオルだった。当然だろう。あんなに仲睦まじかった両親が、一夜明けたら、よそよそしくなっているのだから・・・
そしてその日の午後、生まれてくる赤ちゃんの服の打ち合わせで城を訪れたアリスから、エルメは意外なことを聞く。
アリスが、街でリオルを見かけたと言うのだ。パッと見、お供もつけずに歩いているようにも見えた為、声をかけようとしたが、人混みに紛れて見失ってしまったらしい。そしてアリスは、まさか皇子が一人で街を歩くはずがないと、気に留めなかった。
これを聞いたエルメは、ガタッと立ち上がると、部屋を飛び出し、息子の部屋に駆け込ん・・今は妊娠中。できる限りの早歩きで向かった。しかし、そこには慌てふためく侍女の姿しかなかった。
聞けば、リオルの姿がどこにもないと言った。そしてリオルが、朝から“あんなに仲の良かった両親が、喧嘩をしたかもしれない”と、落ち込んでいたとも知らされた。
(嘘でしょ・・まさかリオルにそんな思いをさせたなんて!)
エルメは息子の部屋を飛び出し、至急馬車を出すように言った。そして、あっという間に馬車に飛び乗ると、街の中へ消えていった。
その一方、城では出掛けようとしているマリオンにアリスが手を上げ、二人がハイタッチをしていたことを誰も知らない。
◇◇◇◇◇
(絶対にここにいるわ!リオル、待っててね。お母さんが悪かったわ)
エルメが見上げるのは、マリオンに用意されたあの家だ。結婚してから、度々訪れていたエルメだったが、リオルが生まれてから子育てに忙しく、足が遠のいていた。
リオルには、この家のことを話しており、一度だけ連れてきたことがあった。
エルメは懐かしい思い出に浸ることなく、鍵を開ける。すると、鍵はかかっていなかった。
(やっぱりリオルはここに!)
そう確信したエルメが中に踏み込むと、そこはキレイに手入れされた空間が広がっていた。まるで毎日、誰かが生活しているような心地良い空間が・・・
暖かい日差しの温もりが窓から差し込み、色とりどりの花が生けられた花瓶がいくつも飾られている。全てが完璧に整えられていた。
しかし、そこに探していた息子の姿はない。代わりにいたのは、エルメの心を誰よりも歓喜させる笑顔を浮かべたマリオンだった。
「リオルは?ここで見なかった?」
何故マリオンがいるのかという疑問すら浮かべる余裕のないエルメが、夫に詰め寄るが、返ってきたのは息子を心配する彼女とは真逆の楽しげで落ち着いた声だった。
「リオルは、城にいるぞ」
この一言で、また騙されたことを悟ったエルメ。息子が無事だったことへの安堵からか力がふっと抜け、膝から崩れ落ちそうになる身体をマリオンが支えた。
エルメが見上げると、いつもの眼差しが向けられ、翡翠色の瞳に映る自分の姿は何処か滑稽だった。
そして、襲ってきた感情。怒りに任せて怒鳴り散らそうと口を開いた瞬間、マリオンの顔が近づいてきたと思ったら、唇を奪われてしまう。それは、触れるだけの優しいキスだったが、エルメの怒りを鎮めるには十分過ぎるものだった。
「何でこんなことしたの?リオルとアリスまで巻き込んで」
唇を自由にされると、すぐに疑問をぶつける。すると、マリオンからどこまでも優しい声色で答えが返ってきた。
「朝はすまなかった。君は謝罪したのに・・・私のほうが余程子供だな。ここから、もう一度やり直したかったんだ。この子も生まれてくるのに、このままじゃいけないと思ってな」
マリオンはエルメのお腹にそっと手を当て、真剣に見つめる。その瞳は、澄んでいてどこまでも真っ直ぐで、エルメは思わず息をのんだ。
「マリオン・・・そうね。子供に心配させるなんて、親として失格よね。私ももう一度謝らせて・・本当にごめんなさい。もう合図を知りたいとか言わないし、平穏な幸せが退屈なんて贅沢言わない」
「それは本心か?」
「当たり前でしょ。信じられない?」
エルメがクスッと頬を緩めて言うと、「いや信じよう」と、マリオンは優しく微笑む。そして二人は、再びどちらからともなく顔を近づけ、今度は深く長く口づけを交わした。
「・・ん・・・ぅ・・」
外の活気ある喧騒とは反対に、静かな室内に流れる息づかい。
しかし、唐突にエルメはハッと何かに気づくと、慌ててマリオンから離れようとした。
不思議に思ったマリオンが「どうしたんだ?」と聞くと、顔を真っ赤にしたエルメがポツンと呟いた。
「・・・だって、この流れはダメよ」
この彼女の様子に、マリオンは途端にニヤリと笑みをこぼすと、耳元で囁く。
「本当に止めていいのか?君の瞳は正直だぞ」
マリオンが紅潮するエルメの頬に手を添えると、彼女の潤んだ瞳は揺れ動く。
「・・・でも、まだ明るいのに・・」
「仲直りするのに、昼も夜も関係ないだろ。私たちは今でなければならないんじゃないか?
まだゴネるなら、君の身体に聞くという選択肢もあるぞ。私は君の身体のどこを攻めれば、喜ぶか知りすぎているからな。部屋の防音も抜かりない」
それでも躊躇するエルメの耳を軽く食んだマリオンは、甘くねだるような声で囁く。
「エルメが居なくなって、寿命が縮んだんだ。私に、君の慰めが必要なのは分かるだろ?」
耳にかかる息がエルメの背中をゾクゾクさせる。
これに観念したエルメは、腕をマリオンの首に回すと、「分かった。頑張るから、いっぱい優しくしてね」と、艶やかな表情で答えたのだった。
こうして寝室に消えた二人は、日が暮れるまで籠もったのだった。
ようやく城に戻ったエルメは、夫に横抱きにされたまま自室に連れていかれ、不仲になったのかとやきもきしていた周囲をホッと安堵させたのだった。
「マリオンのバカ。頑張るとは言ったけど、あっ、あんなの・・・」
そう顔を真っ赤にして訴える彼女の声がかすれていることは、まだマリオンしか知らない。
(もう・・喉が治るまで誰とも口きけないじゃない)
そう恨めしげに愚痴を言ったエルメだったが、結局はいつも通り甘やかすマリオンによって、口を開くことになるのだった。
しかし、それはこの先のお話・・・
◆◆◆◆◆
新章本編はここで終わります。
久しぶりのエルメのたちの物語、いかがでしたか?
合間合間に気分転換のつもりで書いていた続編なので、細かい設定の記憶が消えてる。
一応、気をつけて書き上げたつもりですが、軽い設定違いがありましたら、お見逃しをお願いします。
後日談があと少し続きますので、そちらもお楽しみくださいませ。
10
お気に入りに追加
2,271
あなたにおすすめの小説

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~
八重
恋愛
【全32話+番外編】
「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」
伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。
ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。
しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。
そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。
マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。
※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております


強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します
天宮有
恋愛
私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。
その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。
シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。
その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。
それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。
私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。
木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。
本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。
しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。
特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。
せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。
そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。
幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。
こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。
※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる