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アフターストーリー
アフターストーリー第4話 開けてはいけない扉だった
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屋敷を回り、最後にアリスの私室へ案内されたエルメ。そこは相変わらず上質な調度品が置かれているが、他より豪華さは影を潜め、落ち着いた雰囲気の部屋だ。
「ここは他とは違って、落ち着くわね。アリスの部屋でしょ?」
「はい!ここだけは、私の希望を全面的に取り入れてもらいました!」
(なるほど・・こっちが足元を見た結果なんだ)
「本当に素敵。このソファーもかわいいし・・」
「やっぱりそう思いますか!?このソファーは、私も一目惚れしたんです。だからこれを中心に内装をコーディネートしたんですよ」
「へえ、そうなんだ。アリス、あなた趣味がいいわね!私の部屋もやってほしいぐらいよ」
「えっ!本当ですか!?呼んでくれたら、喜んでお手伝いします!いえ、させてください!」
「フフッ・・その時はアリスにお願いするね」
エルメのお願いにアリスは「やったぁ!エルメ様の過ごすお部屋を自分色に染めるとか鼻血ものだよぉ。あー、ヤバい・・私、明日死ぬかも」と相変わらずブツブツと不吉なことを呟いている。そして「まだエルメ様にお見せしたい部屋があるんですよ!」と言ったアリスは、隣室へ続くであろう扉に手を掛けた。
「まだ完成途中なんですが、今日はお見せしちゃいます。そして、エルメ様にも是非お手伝いいだきたいです!」
アリスの言葉にエルメは、さっき聞き流したセリフを思い出す。
(なるほど。アリスがさっき言ってた“ちょうどよかった”の原因はここか)
そしてアリスがゆっくりと扉を開き、「へえ、何だろう」と口にするエルメの目に映ったのは、エルメ自身だった。
「ゔっ・・・何これ・・」
そう声を漏らし、開かれた扉の先の光景にエルメの足が止まる。
「じゃ~ん!私の推し部屋&神部屋です!中に入れば、どこを見てもエルメ様!これなら、なかなか会えない二人の時間も寂しくないです!」
“どこを見てもエルメ”
アリスの言葉の通り、部屋中エルメだらけだ。自画像が大半だが、それも正面だけでなく、横から斜めから、そして後ろから・・後ろ姿なんて、もはや誰?状態だ。他にはクッションカバーには刺繍エルメ、極めつきは人形だ。足元から膝位の大きさのそれは、エルメそっくりだ。
エルメは、眼前の未知の世界に糸一本繋がった意識を必死に手繰り寄せ、どこが未完成なのかアリスに尋ねる。すると、アリスは誇らしげに語りだした。
「あとはぁ、刺繍が途中のクッションカバーですね」
「クッションカバーって、もうこんなにあるじゃない・・・」
「まだまだですよぉ。このクッションに埋もれるのが、夢なんです。毎晩、一針一針心を込めて刺してます!」
(ひぃぃぃ・・ホラーだ。間違いなくホラー)
そして、エルメが白目を向きそうな中、アリスのエルメグッズ自慢は止まらない。
「あっ、そうそう。エルメ様にぜひ最後の一筆をお願いしたいんです!」
そう言ってアリスが手にしたのは、エルメ人形だ。
「本当は等身大を置きたかったんですけど、マリオン様に速攻全力で却下されました。粘ってもダメでしたね。
それで、エルメ様にお願いしたいのは、ここです」
そう言ってアリスは、人形の頭を撫でる。エルメの背筋にゾワァ~と悪寒が走ったが、無理矢理笑顔をつくる。
「エルメ様ドールに瞳を入れてください!」
確かに見ると、エルメの印象的なブルーの瞳がない。
「はい!これでお願いします!」
そう言って、アリスに手渡された筆には青インクがついている。
(ダルマかっ!?願掛けか!?)
アリスの重すぎる推し愛にエルメは頭を抱えながらも、ゆっくりと筆を動かした。そして、エルメが筆入れの儀式を終えたことに、アリスは満足そうにしている。
「ありがとうございます!毎日、話しかけますね!」
(いやぁ!いらーん!!!)
この時、アリスの前世が気になったが、その蓋は決して開けてはいけない気がしたエルメだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
次話、皇弟バロン登場します。
「ここは他とは違って、落ち着くわね。アリスの部屋でしょ?」
「はい!ここだけは、私の希望を全面的に取り入れてもらいました!」
(なるほど・・こっちが足元を見た結果なんだ)
「本当に素敵。このソファーもかわいいし・・」
「やっぱりそう思いますか!?このソファーは、私も一目惚れしたんです。だからこれを中心に内装をコーディネートしたんですよ」
「へえ、そうなんだ。アリス、あなた趣味がいいわね!私の部屋もやってほしいぐらいよ」
「えっ!本当ですか!?呼んでくれたら、喜んでお手伝いします!いえ、させてください!」
「フフッ・・その時はアリスにお願いするね」
エルメのお願いにアリスは「やったぁ!エルメ様の過ごすお部屋を自分色に染めるとか鼻血ものだよぉ。あー、ヤバい・・私、明日死ぬかも」と相変わらずブツブツと不吉なことを呟いている。そして「まだエルメ様にお見せしたい部屋があるんですよ!」と言ったアリスは、隣室へ続くであろう扉に手を掛けた。
「まだ完成途中なんですが、今日はお見せしちゃいます。そして、エルメ様にも是非お手伝いいだきたいです!」
アリスの言葉にエルメは、さっき聞き流したセリフを思い出す。
(なるほど。アリスがさっき言ってた“ちょうどよかった”の原因はここか)
そしてアリスがゆっくりと扉を開き、「へえ、何だろう」と口にするエルメの目に映ったのは、エルメ自身だった。
「ゔっ・・・何これ・・」
そう声を漏らし、開かれた扉の先の光景にエルメの足が止まる。
「じゃ~ん!私の推し部屋&神部屋です!中に入れば、どこを見てもエルメ様!これなら、なかなか会えない二人の時間も寂しくないです!」
“どこを見てもエルメ”
アリスの言葉の通り、部屋中エルメだらけだ。自画像が大半だが、それも正面だけでなく、横から斜めから、そして後ろから・・後ろ姿なんて、もはや誰?状態だ。他にはクッションカバーには刺繍エルメ、極めつきは人形だ。足元から膝位の大きさのそれは、エルメそっくりだ。
エルメは、眼前の未知の世界に糸一本繋がった意識を必死に手繰り寄せ、どこが未完成なのかアリスに尋ねる。すると、アリスは誇らしげに語りだした。
「あとはぁ、刺繍が途中のクッションカバーですね」
「クッションカバーって、もうこんなにあるじゃない・・・」
「まだまだですよぉ。このクッションに埋もれるのが、夢なんです。毎晩、一針一針心を込めて刺してます!」
(ひぃぃぃ・・ホラーだ。間違いなくホラー)
そして、エルメが白目を向きそうな中、アリスのエルメグッズ自慢は止まらない。
「あっ、そうそう。エルメ様にぜひ最後の一筆をお願いしたいんです!」
そう言ってアリスが手にしたのは、エルメ人形だ。
「本当は等身大を置きたかったんですけど、マリオン様に速攻全力で却下されました。粘ってもダメでしたね。
それで、エルメ様にお願いしたいのは、ここです」
そう言ってアリスは、人形の頭を撫でる。エルメの背筋にゾワァ~と悪寒が走ったが、無理矢理笑顔をつくる。
「エルメ様ドールに瞳を入れてください!」
確かに見ると、エルメの印象的なブルーの瞳がない。
「はい!これでお願いします!」
そう言って、アリスに手渡された筆には青インクがついている。
(ダルマかっ!?願掛けか!?)
アリスの重すぎる推し愛にエルメは頭を抱えながらも、ゆっくりと筆を動かした。そして、エルメが筆入れの儀式を終えたことに、アリスは満足そうにしている。
「ありがとうございます!毎日、話しかけますね!」
(いやぁ!いらーん!!!)
この時、アリスの前世が気になったが、その蓋は決して開けてはいけない気がしたエルメだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
次話、皇弟バロン登場します。
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