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本編
第8話 俺様皇太子の意外な一面1
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皇帝がマリオンを呼び出した理由。それは、帝国各地で流行りだした疫病に対する陣頭指揮を彼に任せるというものだった。宰相がいうには、身を固めたマリオンの力を試す腹積もりのようだ。
そしてその話をマリオンから聞いたエルメは、突然意識を手放した。驚く周囲をよそにマリオンは崩れ落ちる彼女の身体を冷静に受け止めると、ベッドへ横たえる。そしてベッドに沈む彼女を見つめると、意識のない彼女の頬に触れた。
「私の姫は今度は何を恐れている?」
届かないセリフを囁くマリオン。そして侍女に後を任せ、部屋を出ていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「んんー・・」
エルメはうっすらと瞼を開けた瞳で目の前の光景を見つめている。ぼんやりと目に映るのは、男性が見守るように穏やかな眼差しを向けている光景。男性が口を開き話しかける。
「起きたか?」
頭がまだ霧がかかったようにボンヤリしているエルメは、眠気まなこで子供のように反応する。
「んん・・う・・ん・・おはよう・・・マリオン・・・・マリオンっ!!!???」
突然、ガバッと身体を起こしたエルメをベッドに横になっているマリオンが楽しそうに見つめていた。意識が一気に呼び起こされたエルメは、一瞬で状況を理解する。彼女が横になっていた隣で腕を彼女の方へ投げ出し、横になるマリオン。どう見ても腕枕をされていたのは、確かだ。
「あの・・腕・・もしかして・・もしかしなくてもだけど腕枕・・して・・あー、もう・・嘘でしょ・・・」
問いただす言葉は最後まで続かず、エルメは頭を抱えた。そして膝を抱える腕に顔を埋め、ブツブツ呟き始める。
「腕枕とか嘘でしょ。何やってるのよ、私・・何で気を失ったの?疫病のことは分かってたことじゃない。なんてったって、自分で書いたんだから。本当にバカバカ・・バカぁぁぁ」
どうやら自問自答しているようだ。それをマリオンは黙って見ている。そして腕から僅かに顔を上げ、チラッとマリオン覗き見るエルメはまるで子供のようだ。
「あの・・どれくらい意識を失ってたんでしょうか?」
エルメの問いにマリオンは「十時間以上経っているな」と答える。彼の言葉の通り、エルメが倒れたのが日中だったのに対し、今いる寝室は暗い。
「私、そんなに気を失っていたんですか・・」
「ああ・・気を失っていたというより、最後の方はただ眠っていたようにも見えたがな」
「ウソ・・気を失ってたんです。だって陛下のお話が・・」
この時、お腹のなる音が二人の間に流れた。朝食を食べたきり、お腹に何も入れていないエルメのお腹がアラームを出したのだ。エルメは顔から火が出るほど恥ずかしくなった。恥ずかしさを隠すように再び膝を抱える腕に顔を埋める。
(うぅわぁ、めっちゃ恥ずかしっ!恥ずかしすぎ!いくら気を失っていたからって、起きてすぐお腹なるとか、どんだけ食いしん坊なのよ。私のお腹・・あー、絶対に馬鹿にされる。絶対に笑われる・・ああああ・・最悪)
しかし、エルメが覚悟したマリオンからの嘲笑はなく、別の言葉が投げかけられる。
「食欲あるか?」
予想外の彼の反応に戸惑うエルメは、返事をしそびれる。
「おい、聞こえてるのか?食欲はあるのか?と聞いている」
マリオンの口から言葉は荒いが、エルメを気遣うセリフが出てきたことに彼女の胸はじんわりと温かくなった。そして、顔を埋めたままコクリと頷いた。
「待ってろ。用意させる」
そう言ったマリオンの声とベッドが軋み、遠ざかる足音がエルメの耳に届く。続いて、ガチャッと扉を開く音に誰かと話すマリオンの声が聞こえ、再び扉を閉める音と近付いてくる足音が聞こえる。そして、ベッドで丸くなる彼女の直ぐ側が沈み込むのが分かった。
「ずっとそうしてるつもりか?顔を上げたらどうだ」
マリオンはベッドの上で石のように丸くなるエルメにそう問いかけると、頭を優しく撫でる。そんなどこか優しさが滲む彼の声と撫でる仕草に、エルメの胸に先程生まれた温もりが更に大きくなった。
そしてその話をマリオンから聞いたエルメは、突然意識を手放した。驚く周囲をよそにマリオンは崩れ落ちる彼女の身体を冷静に受け止めると、ベッドへ横たえる。そしてベッドに沈む彼女を見つめると、意識のない彼女の頬に触れた。
「私の姫は今度は何を恐れている?」
届かないセリフを囁くマリオン。そして侍女に後を任せ、部屋を出ていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「んんー・・」
エルメはうっすらと瞼を開けた瞳で目の前の光景を見つめている。ぼんやりと目に映るのは、男性が見守るように穏やかな眼差しを向けている光景。男性が口を開き話しかける。
「起きたか?」
頭がまだ霧がかかったようにボンヤリしているエルメは、眠気まなこで子供のように反応する。
「んん・・う・・ん・・おはよう・・・マリオン・・・・マリオンっ!!!???」
突然、ガバッと身体を起こしたエルメをベッドに横になっているマリオンが楽しそうに見つめていた。意識が一気に呼び起こされたエルメは、一瞬で状況を理解する。彼女が横になっていた隣で腕を彼女の方へ投げ出し、横になるマリオン。どう見ても腕枕をされていたのは、確かだ。
「あの・・腕・・もしかして・・もしかしなくてもだけど腕枕・・して・・あー、もう・・嘘でしょ・・・」
問いただす言葉は最後まで続かず、エルメは頭を抱えた。そして膝を抱える腕に顔を埋め、ブツブツ呟き始める。
「腕枕とか嘘でしょ。何やってるのよ、私・・何で気を失ったの?疫病のことは分かってたことじゃない。なんてったって、自分で書いたんだから。本当にバカバカ・・バカぁぁぁ」
どうやら自問自答しているようだ。それをマリオンは黙って見ている。そして腕から僅かに顔を上げ、チラッとマリオン覗き見るエルメはまるで子供のようだ。
「あの・・どれくらい意識を失ってたんでしょうか?」
エルメの問いにマリオンは「十時間以上経っているな」と答える。彼の言葉の通り、エルメが倒れたのが日中だったのに対し、今いる寝室は暗い。
「私、そんなに気を失っていたんですか・・」
「ああ・・気を失っていたというより、最後の方はただ眠っていたようにも見えたがな」
「ウソ・・気を失ってたんです。だって陛下のお話が・・」
この時、お腹のなる音が二人の間に流れた。朝食を食べたきり、お腹に何も入れていないエルメのお腹がアラームを出したのだ。エルメは顔から火が出るほど恥ずかしくなった。恥ずかしさを隠すように再び膝を抱える腕に顔を埋める。
(うぅわぁ、めっちゃ恥ずかしっ!恥ずかしすぎ!いくら気を失っていたからって、起きてすぐお腹なるとか、どんだけ食いしん坊なのよ。私のお腹・・あー、絶対に馬鹿にされる。絶対に笑われる・・ああああ・・最悪)
しかし、エルメが覚悟したマリオンからの嘲笑はなく、別の言葉が投げかけられる。
「食欲あるか?」
予想外の彼の反応に戸惑うエルメは、返事をしそびれる。
「おい、聞こえてるのか?食欲はあるのか?と聞いている」
マリオンの口から言葉は荒いが、エルメを気遣うセリフが出てきたことに彼女の胸はじんわりと温かくなった。そして、顔を埋めたままコクリと頷いた。
「待ってろ。用意させる」
そう言ったマリオンの声とベッドが軋み、遠ざかる足音がエルメの耳に届く。続いて、ガチャッと扉を開く音に誰かと話すマリオンの声が聞こえ、再び扉を閉める音と近付いてくる足音が聞こえる。そして、ベッドで丸くなる彼女の直ぐ側が沈み込むのが分かった。
「ずっとそうしてるつもりか?顔を上げたらどうだ」
マリオンはベッドの上で石のように丸くなるエルメにそう問いかけると、頭を優しく撫でる。そんなどこか優しさが滲む彼の声と撫でる仕草に、エルメの胸に先程生まれた温もりが更に大きくなった。
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