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本編
第3話 悪役は夫に協力求む
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最悪な初夜を迎えた翌日、マリオンとエルメは人払いをしたマリオンの部屋で向かい合っていた。
皇太子夫妻のそれぞれの部屋は、寝室を挟んで左右にある。そして、今日マリオンの私室を訪れたエルメは、寝室を通らずにわざわざ廊下からマリオンの元を訪ねた。これも彼女の決意の表れだった。部屋を訪れたエルメをマリオンは優しく招き入れ、人払いをした。昨夜のことには触れずにエルメの話に耳を傾ける。
「それで何を言うかと思えば、君には前世があると?」
「はい。前世で私は小説を書いてました。その世界が今まさにここなんです」
「そのような世迷い言信じろと?」
「いいから黙ってお聞きください。マリオン様と私は結婚しますが、その夫婦生活に愛はありません。そして、いずれ貴方の前に現れる癒やしの乙女だけを貴方は愛するのです。それに嫉妬した私は、癒やしの乙女に色々な嫌がらせを行い、それが貴方の逆鱗にふれ、私たちは離婚。そして私は北の最果てへ追いやられるという話です」
「ほう・・・」
腕と長い足を組み、エルメを真っ直ぐに見るマリオンは、笑みを浮かべている。
「ですので、どうせ離婚されるのでしたら、清い関係のまま過ごし、乙女が現れた暁には円満離婚しましょう。万が一、私との間にお子が産まれたら、新たな火種になります。
マリオン様は乙女と幸せになり、私は市井に下りひっそりと暮らします。なので、できれば生涯暮らせるだけの手切れ金をいただければ、双方にとって利益しかないかと・・
私たちの間に愛など必要なし!利害の一致、共存共栄こそ輝かしい未来を迎えるために必要なんです。いかがでしょうか?」
「まさか結婚してすぐ妻から“愛などいらない”と言われるとは思わなかったよ・・・いいだろう。賭けようか」
「はっ?賭ける?何を?」
「クックッ・・・本当に面白い姫だ。無論、私がその癒やしの乙女なる女に惚れるかどうかだ」
「いいえ、賭けなど無用です。物語補正で必ず惚れるんです!そして、私はバッドエンドまっしぐら!お金さえいただければ、私はマリオン様の人生から静かにフェードアウトいたします!」
「市井に下るなど、王女として育った君ができると思うのか?」
「ああ、そこはお気になさらずに。前世はバリバリの一般庶民だったので、寧ろ皇太子妃なんて罰ゲーム!市井最高!ぐらいの気持ちなんで」
「国中の令嬢が私の妃になりたいと夢見るのに、君はこの暮らしを罰ゲームと・・・アハハハハッ」
突然笑いだしたマリオンに、エルメは呆気にとられる。しかしすぐに姿勢を正すと、皇太子の答えを無言で待つ。そしてマリオンは決意の眼差しを向け、言った。
「分かった。ただ、その癒やしの乙女の出現を待つだけというのも退屈だから、やはり先程の賭けは絶対だ。私がその乙女に惚れたら、君と離婚して遊んで暮らせるだけの金をやる。ただし、そうならなかったら、君は大人しく私のものになる。どうだ?私が乙女に惚れると自信があるのだろう?それならば、君が勝ったも同然だ」
言い切るマリオンは窓から射し込む日差しで金色の髪を輝かせ、不敵な笑みを浮かべている。目に見えぬオーラにエルメは、ゴクリと喉を鳴らした。そして拳を握りしめると言った。
「分かりました。その勝負のりました!」
そして、手を差し出すエルメ。マリオンは肩をすくめて、その手を取る。交渉成立の握手を交わすと、エルメはマリオンに言った。
「交渉成立です。あっ、念の為一筆書いてくださいね」
皇太子夫妻のそれぞれの部屋は、寝室を挟んで左右にある。そして、今日マリオンの私室を訪れたエルメは、寝室を通らずにわざわざ廊下からマリオンの元を訪ねた。これも彼女の決意の表れだった。部屋を訪れたエルメをマリオンは優しく招き入れ、人払いをした。昨夜のことには触れずにエルメの話に耳を傾ける。
「それで何を言うかと思えば、君には前世があると?」
「はい。前世で私は小説を書いてました。その世界が今まさにここなんです」
「そのような世迷い言信じろと?」
「いいから黙ってお聞きください。マリオン様と私は結婚しますが、その夫婦生活に愛はありません。そして、いずれ貴方の前に現れる癒やしの乙女だけを貴方は愛するのです。それに嫉妬した私は、癒やしの乙女に色々な嫌がらせを行い、それが貴方の逆鱗にふれ、私たちは離婚。そして私は北の最果てへ追いやられるという話です」
「ほう・・・」
腕と長い足を組み、エルメを真っ直ぐに見るマリオンは、笑みを浮かべている。
「ですので、どうせ離婚されるのでしたら、清い関係のまま過ごし、乙女が現れた暁には円満離婚しましょう。万が一、私との間にお子が産まれたら、新たな火種になります。
マリオン様は乙女と幸せになり、私は市井に下りひっそりと暮らします。なので、できれば生涯暮らせるだけの手切れ金をいただければ、双方にとって利益しかないかと・・
私たちの間に愛など必要なし!利害の一致、共存共栄こそ輝かしい未来を迎えるために必要なんです。いかがでしょうか?」
「まさか結婚してすぐ妻から“愛などいらない”と言われるとは思わなかったよ・・・いいだろう。賭けようか」
「はっ?賭ける?何を?」
「クックッ・・・本当に面白い姫だ。無論、私がその癒やしの乙女なる女に惚れるかどうかだ」
「いいえ、賭けなど無用です。物語補正で必ず惚れるんです!そして、私はバッドエンドまっしぐら!お金さえいただければ、私はマリオン様の人生から静かにフェードアウトいたします!」
「市井に下るなど、王女として育った君ができると思うのか?」
「ああ、そこはお気になさらずに。前世はバリバリの一般庶民だったので、寧ろ皇太子妃なんて罰ゲーム!市井最高!ぐらいの気持ちなんで」
「国中の令嬢が私の妃になりたいと夢見るのに、君はこの暮らしを罰ゲームと・・・アハハハハッ」
突然笑いだしたマリオンに、エルメは呆気にとられる。しかしすぐに姿勢を正すと、皇太子の答えを無言で待つ。そしてマリオンは決意の眼差しを向け、言った。
「分かった。ただ、その癒やしの乙女の出現を待つだけというのも退屈だから、やはり先程の賭けは絶対だ。私がその乙女に惚れたら、君と離婚して遊んで暮らせるだけの金をやる。ただし、そうならなかったら、君は大人しく私のものになる。どうだ?私が乙女に惚れると自信があるのだろう?それならば、君が勝ったも同然だ」
言い切るマリオンは窓から射し込む日差しで金色の髪を輝かせ、不敵な笑みを浮かべている。目に見えぬオーラにエルメは、ゴクリと喉を鳴らした。そして拳を握りしめると言った。
「分かりました。その勝負のりました!」
そして、手を差し出すエルメ。マリオンは肩をすくめて、その手を取る。交渉成立の握手を交わすと、エルメはマリオンに言った。
「交渉成立です。あっ、念の為一筆書いてくださいね」
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