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後日談 リーナストーリー ホワイトエンド - Ⅰ

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「貴女、不安と嫉妬・・あおるのはどちらが得意かしら?」

(何それ。意味が全く分からない。そんなこと考えたこともないけど、あえて選ぶなら・・)

「不安でしょうか」

そう言ったものの、ビクトリアの質問の意図が理解できないリーナは首を傾げる。

「そう・・それならリーナ。貴女、令嬢になりなさい」

!!!???

(えぇっと、私、すでに伯爵家の令嬢のはずなんだけど・・一応ね。公爵令嬢のビクトリアから見たら、私なんて豆粒にヒョロッと毛の生えた程度の令嬢なんだろうけど・・・)

戸惑うリーナを放置し、ビクトリアは言葉を続ける。

「彼、ああ見えて、心配性だから」

「“ああ見えて”ですか?」

「そう。余裕ぶってるけど、内心必死よ。私に貴女を閉じ込めさせたりする人だもの。女性に対して、あれは卑怯よね。彼はそういう人・・・それに強引に女性に触れるなど、まったく夫でもないのに呆れるわ」

(さすがビクトリア。セドリックのことよく分かってる・・っていうか、そこまで分かってて私のことを売ったよね。つい昨日も置き去りにしたよね)

「いい?高潔な令嬢たるもの、望まないものに弱みを見せてはダメ。口づけをされて何されても反応しない。触れられても彫刻のように、動かない」

ビクトリアの迷いのない言葉に“令嬢ってそうなのか”と洗脳されそうになるリーナだったが、さすがに反論する。

「ビクトリア様、申し訳ありませんが、あの・・それは無理だと思います・・」

(だって気持ちいいんだもの・・・)

自然と顔が赤くなるリーナにビクトリアは言葉を続ける。

「まあ、そうよね。今のは冗談よ。ここからが本題・・」

(冗談・・・分かりにくい冗談ね。実はからかってない?楽しんでない?)

「彼は、リーナの反応見て自分が貴女を支配してると_おごってるの。その鼻をへし折ってやりなさい」

そう言ってビクトリアは、リーナに頭から足の先まで品定めするような視線を送る。そしてそこからリーナは、彼女から怒涛のダメ出しをくらう。

「まずそのヘアスタイル!変えなさい。
なに?その頭に玉が二つ乗ったようなヘアスタイル。それはダメ。もう少し女性らしくしなさい」

「え!?あ・・はい!」

「それから全体的にお手入れが必要ね。それと、そのお化粧。貴女、自分の顔をよく見てみなさい。まったく・・微妙に似合ってないお化粧で武装してどうするのよ。リーベルト家の侍女のレベルが想像できてしまうわね」

サラッと伯爵家をディスったビクトリアだが、リーナは“公爵家のそれと比べられても”と内心苦笑する。

「それから貴女の所作!これはイチから覚えてもらうわよ」

何だかマナー講座の鬼講師になっているビクトリアだが、リーナは彼女の迫力に押され、黙ってコクコクと頷くしかなかった。
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