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「マカロン?」
袋の中には色とりどりのマカロンが入っていた。
ピンクやグリーンにイエローなど、どれも淡い彩りでとてもかわいらしい。
「そうなの~。ステラに食べてほしくてみんなで作ったの~」
ドビーは相変わらずぴょんぴょん飛び跳ねながら、元気よく答えた。
「えっ?これドビーたちが作ってくれたの?」
まさか妖精たちが自分の為にお菓子を作ってくれるなんて思ってもいなかったステラは、目をまるくしつつも笑顔で中からひとつマカロンを取り出した。
取り出したマカロンはピンク色で、ほんのりストロベリーの香りがする。
「食べて~食べて~」
ドビーに急かされ食べようとするが、ふっとステラの指が止まった。
(マカロンならお茶がほしいわね)
ステラはマカロンを袋に戻し、侍女を呼ぼうと呼び鈴に手を伸ばして、今度は手を止めた。
(でもお茶をいれてもらったら、クロードとの時間に遅れてしまいそうだわ)
ステラはそう考え、何か思いついたようにドビーに視線を合わせた。
「ドビー、お菓子ありがとう。とっても美味しそうだわ。
でもクロードとのお茶の時間に遅れちゃいそうだし、この後クロードと一緒に食べてもいいかしら?きっと喜ぶわ」
ステラは側の妖精に尋ねると、にっこりと微笑んだ。
すると
「ダメなの~。いまステラが食べなくちゃダメなの~。食べて~。お願~い」
ぴょんぴょん飛び跳ねていたドビーは、
飛び跳ねるのをやめ、胸の前で両手を合わせるお願いポーズでステラを見上げてきた。
(かっ、かわいい。ドビーが可愛すぎるわ)
ステラは妖精のお願いポーズにハートを撃ち抜かれ、ほんのり頬を染めた。
「分かったわ。それじゃあ、ひとつだけいいただいて、残りは後で食べるわね?」
ステラの言葉に妖精は満足そうに頷き、にっこりと笑った。
ステラは再び袋からマカロンをひとつ取り出し、口に運んだ。
(あっ、美味しい。ストロベリーの味がする)
ステラがマカロンの味を堪能しているとコンコンと扉をノックする音がして、外からクロードの来訪が告げられた。
それを聞いたステラはドビーに
「行ってくるね」
と声をかけ、婚約者が待つ中庭へ足を進めた。
主か去った部屋に残された妖精は
「これでステラが元気になれば、みんな嬉しいの~」
と言葉を残して、来たときと同じようにスーっと消えた。
袋の中には色とりどりのマカロンが入っていた。
ピンクやグリーンにイエローなど、どれも淡い彩りでとてもかわいらしい。
「そうなの~。ステラに食べてほしくてみんなで作ったの~」
ドビーは相変わらずぴょんぴょん飛び跳ねながら、元気よく答えた。
「えっ?これドビーたちが作ってくれたの?」
まさか妖精たちが自分の為にお菓子を作ってくれるなんて思ってもいなかったステラは、目をまるくしつつも笑顔で中からひとつマカロンを取り出した。
取り出したマカロンはピンク色で、ほんのりストロベリーの香りがする。
「食べて~食べて~」
ドビーに急かされ食べようとするが、ふっとステラの指が止まった。
(マカロンならお茶がほしいわね)
ステラはマカロンを袋に戻し、侍女を呼ぼうと呼び鈴に手を伸ばして、今度は手を止めた。
(でもお茶をいれてもらったら、クロードとの時間に遅れてしまいそうだわ)
ステラはそう考え、何か思いついたようにドビーに視線を合わせた。
「ドビー、お菓子ありがとう。とっても美味しそうだわ。
でもクロードとのお茶の時間に遅れちゃいそうだし、この後クロードと一緒に食べてもいいかしら?きっと喜ぶわ」
ステラは側の妖精に尋ねると、にっこりと微笑んだ。
すると
「ダメなの~。いまステラが食べなくちゃダメなの~。食べて~。お願~い」
ぴょんぴょん飛び跳ねていたドビーは、
飛び跳ねるのをやめ、胸の前で両手を合わせるお願いポーズでステラを見上げてきた。
(かっ、かわいい。ドビーが可愛すぎるわ)
ステラは妖精のお願いポーズにハートを撃ち抜かれ、ほんのり頬を染めた。
「分かったわ。それじゃあ、ひとつだけいいただいて、残りは後で食べるわね?」
ステラの言葉に妖精は満足そうに頷き、にっこりと笑った。
ステラは再び袋からマカロンをひとつ取り出し、口に運んだ。
(あっ、美味しい。ストロベリーの味がする)
ステラがマカロンの味を堪能しているとコンコンと扉をノックする音がして、外からクロードの来訪が告げられた。
それを聞いたステラはドビーに
「行ってくるね」
と声をかけ、婚約者が待つ中庭へ足を進めた。
主か去った部屋に残された妖精は
「これでステラが元気になれば、みんな嬉しいの~」
と言葉を残して、来たときと同じようにスーっと消えた。
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