〘完〙婚約者が溺愛してきますが、わたくし悪役令嬢かもしれません

第2章

第88話 リリス13歳 メイルの驚きの真実4

みんなの反応にアルバスはクスッと笑うと、言葉を続けた。

「いまネージュがそう教えてくれたんだよ。メイルが色んな物を隠したりしてたって。どうやらネージュは止めようしたみたいだけど」

「何でそんなこと・・みんなが困るようなことをメイルは何で・・」

「うーん、おそらくディファナの魔法の影響でイタズラをしてしまったんだろうね」

アルバスの説明にアルミーダが補足した。

「人を操る魔法ってのは、操られる人間の意に反したことをさせることが多い。その意に反した行動と心の奥にある本当はやりたくないという気持ちの間に葛藤が生まれ、問題行動を起こすんだよ」

「なるほど。ではアルミーダさんに魔法を解いてもらった今後はもう大丈夫ということですね？」

ヘンリーは顎に手を当てて頷いたあと、聞いた。それにアルミーダは頷いた。

そして「ていうか教えてくれたってことは、ネージュは先生のことを平気なんですね」とリリスがアルバスに聞くと「あー、メイルが絡まないと平気みたいだね」と答えが返ってきた。

（なんだその三角関係？！ネージュの嫉妬か？！）

リリスは内心ツッコミをいれていた。そしてアリーナがリリスも気になることを尋ねた。

「あの、夢を見るキャンディーを作れるなら、聖獣の言ってることが理解できるキャンディーも出来ますよね？」

その質問にアシュリーがキランと目を光らせている。スタイラスとヘンリーはアルミーダの返答に予想がついているのかクッと吹き出すのを我慢していた。アルバスはやれやれといった表情をしていた。そしてリリスは、期待を込めた目をキラキラさせてアルミーダを見つめていた。

「・・お断りだ。出来る出来ない以前にそんなもの作る気はないね」

アリーナはあからさまに残念な表情で「えー」と口にした。そしてリリスはなおも食い下がった。

「でも前にアルミーダさんは、ここにお店を開いたのは幸せを振り撒きたかったって言ってましたよね。もしキャンディーを私達が食べて聖獣語を理解できたら、とっても幸せになれるんですよ。どうですか？」

「どうですかって・・・アルバス・・学園でこういうお行儀をちゃーんと教育しておいておくれよ」

「いやー、僕は魔法専門だから・・それよりキャンディーで思い出した。アルミーダ、あっちの店のことで報告があるんじゃない？」

（あっ、なんか誤魔化された気がするけど・・）

「その話はお前に任せるよ。あたしは疲れたから、あとよろしく」

アルミーダはひらひらと手を振って、部屋の奥へ姿を消した。それにアルバスはやれやれと肩をすくめると話し始めた。

「前にリリス、君に聞いていたアルバート領のお店を調査したんだ。そうしたら、あの店はディファナがオーナーだってことが判明したんだ」

アルバスの説明にみんな驚いていた。

「えっ、そうしたらあの時お店に居たのが魔女ディファナだったの？たしかアルミーダさんより若いおばさんだったよね」

リリスが当時を思い出しながら、みんなの顔を見る。みんな一生懸命思い出そうとしていた。
そんな皆に「魔法で見た目は変えられるからね。何とも言えないな。ただ、それも含め今後も調査は続行するから、待っててよ」とアルバスは言った。