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第2章

第59話 リリス13歳 意外な繋がり

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学園が休みの今日はあの老女を訪ねるため、リリス、ヘンリー、スタイラスの3人は馬車で店へ向かっていた。

「お婆さんの言う面白いものって、何だろうね」

「私の悩みを解決できるかもとか言ってたから、やっぱり夢を見ないようにできるキャンディーとか?!夢を見るキャンディーを作れるんだから、その逆もチョチョイのちょいと作っちゃうんじゃないの?」

「リリィ、ただ夢を見ないだけじゃ駄目だよ。あの夢が正夢にならない保証がないと。ここはやっぱり何でも願いが叶うキャンディーぐらいじゃないとね」

(ほぉ、何でも願いが叶うとか最高かよ!そんな最強アイテムがあったら、どうしよう。それこそ、めちゃめちゃ強い魔女になって、その最強アイテムをバンバン作っちゃえば良くない?・・ムフッ・・あらやだ、私って天才!)

そんなリリスの考えていることをお見通しなヘンリーがいたずらっ子を叱るように言った。

「リリィ・・また良からぬ想像をしてるね。想像力逞しいのもいいけど、あんまり無茶をしたらダメだよ」

「分かってる・・・みんなに迷惑かけたくないし、大人しくしてる」

リリスのしおらしい返事に満足そうなヘンリーは笑顔でウンウンと頷き、スタイラスはその横で苦笑していた。

ちょうどその時、馬車が店に到着した為、3人は馬車を降り店の前に立った。目の前の店の扉は店休日のため閉ざされ、窓には分厚いカーテンが掛かっており、中の様子は分からない。

「これは裏口にまわったほうが、良さそうだね」

ヘンリーの言葉で3人は建物の裏手へまわると扉を見つけて、ノックした。

コンコンコン・・・・・
反応がなかった。もう一度ノックしてみる。
コンコンコン・・
「こんにちは。お婆さん!いらっしゃいますか?」
今度は声も掛けてみた。するとギーという丁番の軋む音とともにゆーっくりと扉が開いた。

「ちゃんと聞こえとるよ。そう焦るんじゃないよ。全く若いもんはせっかちで仕方ないねぇ」
と文句をたれながら老女が姿を現した。

「お婆さん、こんにちは」
リリスの挨拶と同時に3人はペコリと頭を下げる。すると老女は「ああ、挨拶はいいから、早くお入り」と言いながら手招きしたので、リリスたちは言われるまま中に入った。

中に入ると目の前には衝立があり、その奥へと老女は入っていく。後に続いて奥へ入ると、そこにはテーブルや椅子の他にいろいろな道具が雑多に置かれた空間が広がっていた。
作業台の上には鍋がいくつも置いてあり、またその作業台や近くの棚にはガラス瓶や珍しい道具が置いてあった。

(すごい。いろんな道具が置いてある。あれ?なんだが見覚えのあるやつもあるなぁ。びっびっびー・・ビーカー!そう、ビーカーにあの細いのは試験管!うわぁ、懐かしい!・・それにこの部屋見覚えがあるなぁ。んんん?あの椅子に座ってるのは?!)

リリスはいろいろな道具に目移りしたが、いちばんビックリしたのは椅子に見覚えのある人物がニコニコこちらを見ながら、座っていたからだった。

「「先生!」」

そう、そこに居たのはアルバスだった。リリスたちの予想通りの反応に機嫌を良くしたのかアルバスは「やあ」と片手を挙げてヒラヒラさせた。

「どうしてここに?」
「そうですよ!二人は知り合いですか?」

スタイラスとヘンリーの矢継ぎ早の質問にアルバスは「まあまあ、落ち着きなさい。今、説明するから」と言い、リリスたちに椅子をすすめた。一緒に老女も腰掛ける。

「まずはこちらのお婆さんに自己紹介をしてもらおうかな。話はそれからにしよう」

アルバスの言葉にリリスたちは名乗り、老女はそれを黙って聞いていた。それが終わると、アルバスは口を開いた。

「さて、何から話そうか・・そうだな。まずは君たちが今いちばん疑問に思っていることからかな。どうして僕がここにいるかって。それは・・僕が彼女と知り合いだからだ。そして僕がこの前言った紹介したかった友人というのも彼女だ」

そう言ったアルバスは、視線を老女に向けて頷く。対する老女は何も言わずにアルバスを一瞥すると、リリスに視線を移し、見つめていた。
さらにアルバスは説明を続けた。

「君たちから預かったキャンディーを彼女に見せに来たんだよ。この店のものだとすぐに分かったからね。そして彼女から面白い子が今日来ると聞いて、ピンときてね。今日ここへ来るのは君たちだって・・それでここで待っていたわけだ・・・あっ、お茶がまだだったね」

そう言うとアルバスは部屋の隅にあったコンロに水を入れたヤカンをかけるとお湯を沸かし始めた。彼はその一連の作業を一歩も動かず、ただチョチョイと指を動かしただけで行ったのだ。魔法だった。

(すごい・・・これならあの噂本当かもね)

リリスが思い出した噂とは、エリーゼが以前話していたアルバスが隣国でトップクラスの魔法使いだったというものだった。

「さて、お湯が沸くまで話を続けようか・・」
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