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第2章
第50.5話 幕間 スタイラス視点2
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待ちに待った放課後、僕達は目的地へ向けて歩いていた。僕はそっと彼女の様子を伺う。心配していた顔色は朝より良いようだ。
店に到着すると、中は客で賑わっていた。僕は入る前に彼女に確認した。
「それじゃあ、決めた通り、とりあえずリリス嬢は店内をゆっくり見る。何か気付いても外に出るまで、何も言わなくていいからね」
彼女は、少し緊張しているようだった。それが少しでも和らぐといいなと思い「大丈夫。一緒にいるから」と僕は言った。
店に入ると彼女の目がキラキラ輝いた。色とりどりの商品に目移りしてる姿は、本当に可愛らしかった。僕は彼女の邪魔をしないよう、少し離れて待っていた。
そうして待つ間に星型のキャンディーに僕の目が留まった。
(なんかキラキラしていて、まるで彼女の澄んだ瞳みたいだな)
僕は思わずキャンディーを手にいっぱい取るとカウンターへ歩いていた。そして会計を済ませ、再び彼女を待った。
気付くと彼女は店の老女に呼ばれていた。近づくと"キャンディーを渡した"とか"ボケてる"とか聞こえてきた。
僕は大丈夫?と声をかけ、彼女を守るように横に立つ。
そして老女は休みの日に訪ねて来いと彼女を誘った。彼女は老女の誘いに迷っていた。当たり前だろう。よく知らない人からの誘いだ。
老女は彼女の迷いを察し「悩みを解決する手助けができるかもしれないよ」と言った。僕は彼女が誘いを受けたら、僕も同行すると決めていた。そして彼女はその誘いを受けた。
店を出た僕は彼女に店の雰囲気について聞いた。すると彼女は「やっぱりあの2号店に行かないとハッキリしない」と答えた。
(やっぱりそうだよな。今日のところは仕方ないか)
僕は馬車に乗り込むと確認する。
「ところでお婆さんの言う通り、あの店の休みの日に行くの?」
「はい、行こうかと思って。悪い人には見えなかったし、私の悩みを解決してくれるとかなんとか言ってたし」
やはり彼女は行くのか。僕はすでに心の中で決まっていた提案を口にする。
すると彼女は躊躇した。優しい彼女は、僕の迷惑になることを気にしてるんだろう。
「僕のことは護衛だと思ってくれればいいからね」と敢えて冗談っぽく言った。それに彼女はクスッと笑い「分かったわ。よろしくね」と返してくれた。
それから僕は店からずっと気になっていた質問を続ける。
「それはそうと、リリス嬢は悩みがあるの?」
僕の言葉に彼女は「へっ?」とおもしろい声をあげた。
(そんなリリス嬢もかわいいな・・・)
「あのお婆さんが言ってたよね。君の悩みを解決できるかもって」
僕は彼女の言葉を待った。そうして待った彼女の答えは、僕の全く想像してなかったそれだった。
「えっと、最近悪夢を見るの。前にあの店に行った時、さっきのお婆さんからキャンディーを貰ったのよ。楽しい夢を見られるって言われて。それで試してみたんだけど、全然楽しくない最悪な夢だったのよ」
(夢?キャンディーを食べて見たって言ったよな。そんなキャンディーあるのか?でも彼女が嘘をつくはずもないし、あの店には不思議な噂もある。しかも悪夢って・・・内容が気になるけど、悪夢なんて聞かれたくないよな)
そう思った僕は「そうか・・」とひとこと口にした。
(しかし悪夢なんて見たら、ショックだよな・・・これは誰か大人の意見を聞いたほうがいいかもしれないな。誰か・・)
僕の中にひとりの先生が思い浮かんだ。
「アルバス先生に相談してみないか?」
「アルバス先生?って、あのアルバス先生?」
「そう。エリーゼ嬢の話だと、先生は優秀な魔法使いのようだしね。あの手の女性の噂は侮れないと思うんだよね、僕は。それに大人の見解も聞いてみたほうがいいだろう?」
僕の提案に彼女は了解してくれた。それからもうひとつ彼女の話を聞いたときからの疑念を口にした。
店に到着すると、中は客で賑わっていた。僕は入る前に彼女に確認した。
「それじゃあ、決めた通り、とりあえずリリス嬢は店内をゆっくり見る。何か気付いても外に出るまで、何も言わなくていいからね」
彼女は、少し緊張しているようだった。それが少しでも和らぐといいなと思い「大丈夫。一緒にいるから」と僕は言った。
店に入ると彼女の目がキラキラ輝いた。色とりどりの商品に目移りしてる姿は、本当に可愛らしかった。僕は彼女の邪魔をしないよう、少し離れて待っていた。
そうして待つ間に星型のキャンディーに僕の目が留まった。
(なんかキラキラしていて、まるで彼女の澄んだ瞳みたいだな)
僕は思わずキャンディーを手にいっぱい取るとカウンターへ歩いていた。そして会計を済ませ、再び彼女を待った。
気付くと彼女は店の老女に呼ばれていた。近づくと"キャンディーを渡した"とか"ボケてる"とか聞こえてきた。
僕は大丈夫?と声をかけ、彼女を守るように横に立つ。
そして老女は休みの日に訪ねて来いと彼女を誘った。彼女は老女の誘いに迷っていた。当たり前だろう。よく知らない人からの誘いだ。
老女は彼女の迷いを察し「悩みを解決する手助けができるかもしれないよ」と言った。僕は彼女が誘いを受けたら、僕も同行すると決めていた。そして彼女はその誘いを受けた。
店を出た僕は彼女に店の雰囲気について聞いた。すると彼女は「やっぱりあの2号店に行かないとハッキリしない」と答えた。
(やっぱりそうだよな。今日のところは仕方ないか)
僕は馬車に乗り込むと確認する。
「ところでお婆さんの言う通り、あの店の休みの日に行くの?」
「はい、行こうかと思って。悪い人には見えなかったし、私の悩みを解決してくれるとかなんとか言ってたし」
やはり彼女は行くのか。僕はすでに心の中で決まっていた提案を口にする。
すると彼女は躊躇した。優しい彼女は、僕の迷惑になることを気にしてるんだろう。
「僕のことは護衛だと思ってくれればいいからね」と敢えて冗談っぽく言った。それに彼女はクスッと笑い「分かったわ。よろしくね」と返してくれた。
それから僕は店からずっと気になっていた質問を続ける。
「それはそうと、リリス嬢は悩みがあるの?」
僕の言葉に彼女は「へっ?」とおもしろい声をあげた。
(そんなリリス嬢もかわいいな・・・)
「あのお婆さんが言ってたよね。君の悩みを解決できるかもって」
僕は彼女の言葉を待った。そうして待った彼女の答えは、僕の全く想像してなかったそれだった。
「えっと、最近悪夢を見るの。前にあの店に行った時、さっきのお婆さんからキャンディーを貰ったのよ。楽しい夢を見られるって言われて。それで試してみたんだけど、全然楽しくない最悪な夢だったのよ」
(夢?キャンディーを食べて見たって言ったよな。そんなキャンディーあるのか?でも彼女が嘘をつくはずもないし、あの店には不思議な噂もある。しかも悪夢って・・・内容が気になるけど、悪夢なんて聞かれたくないよな)
そう思った僕は「そうか・・」とひとこと口にした。
(しかし悪夢なんて見たら、ショックだよな・・・これは誰か大人の意見を聞いたほうがいいかもしれないな。誰か・・)
僕の中にひとりの先生が思い浮かんだ。
「アルバス先生に相談してみないか?」
「アルバス先生?って、あのアルバス先生?」
「そう。エリーゼ嬢の話だと、先生は優秀な魔法使いのようだしね。あの手の女性の噂は侮れないと思うんだよね、僕は。それに大人の見解も聞いてみたほうがいいだろう?」
僕の提案に彼女は了解してくれた。それからもうひとつ彼女の話を聞いたときからの疑念を口にした。
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