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第2章
第48話 リリス13歳 できるイケメンばかり也
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翌日、あの悪夢のあと一睡もできなかったリリスの気分は最悪だった。しかし今日は放課後、スタイラスとキャンディー屋へ行くため学園を休めなかった。
(誰かに相談したい・・・そうすれば心が少し軽くなるよね。でもこんな話しされて相手には重過ぎるよね。しかも私がレイリー様をイジメる夢なんて、誰に相談すれば・・)
夜中からずっと考えていたが、答えを導き出せなかった。
コンコンコン
扉をノックする音の後「お嬢様、おはようございます」と声がした。マリーが朝の支度をしに、部屋を訪れた合図だった。リリスは頭の中の悩みを消し去るように頭を横に振り、気合を入れると「いいわよ、入って」と侍女に声をかけた。部屋に入ってきたマリーは顔色が悪いと心配をしてくれたが、「そうかしら。久しぶりの学園で疲れただけね。明日の休みはゆっくりするから」と誤魔化した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リリスが学園に到着すると、スタイラスもちょうど同じタイミングで登校してきた。「おはよう、リリス嬢」といつもの爽やかなイケメンスマイルをリリスに向けてきた。
(ぐはっ。朝イチからのキラキライケメンスマイルありがとうございますっ!)
そんなこと思ってるとは欠片も見せずに「スタイラス様、おはようございます。今日はよろしくお願いしますね」とご令嬢らしく笑顔を返す。
「もちろん。ところで顔色が良くないようだけど、大丈夫?予定は延期しようか?」
余程、リリスの顔色が悪いのかスタイラスが聞いてきた。「あら、そお?朝食もちゃんと食べてきたし、大丈夫よ」とリリスは否定した。
(すぐ気付くなんて、やっぱりできるイケメンは違うわぁ。それにしてもそんなにヒドイ顔してるかなぁ)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一限が終わるとヘンリーがリリスの元を訪ねてきた。彼はリリスが入学してから毎日欠かさず顔を見にくるので、クラスではもはや恒例行事化していた。
「リリィ、体調悪いんじゃない?顔色が悪いようだけど」
開口一番ヘンリーは心配そうに言った。
(あははっ、まただわ。そんなに顔色悪いかしら。アリーナ達にも言われたしねぇ。それにしても、できるイケメンがここにもいたわぁ)
「気分も悪くないし、全然大丈夫なのよ。心配かけてごめんなさい、ヘンリー」
彼の心配を取り去ってあげたくて、リリスは今日一番の笑顔を見せた。
彼は放課後、送って行こうかと提案してくれたが、生憎例の約束があったのでリリスは断った。ヘンリーはまだ心配そうだったが、次の授業が始まるからと半ば強引に彼を教室に返した。
心配性な婚約者との定期面会を済ませて席に戻ると、アリーナがニヤニヤして話しかけてきた。
「あなた達、夏休みで一段と仲が良くなったのね。"リリィ"に"ヘンリー"だもんねぇ。何があったか今度聞かせなさいよね」
「そんなの婚約者なんだから、普通でしょ?話すことなんて、何にもないからね」
恥ずかしさに自身の頬が赤く染まったを隠すように、リリスは強気で答えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
放課後、リリスとスタイラスが目的地のキャンディー屋へ向けて歩いていると、見覚えのある赤い庇が見えてきた。
「あっ、見えてきてわ」
リリスは逸る気持ちを抑え、隣の友人に言った。
店まで来ると中は前ほどではないが、それなりに客で賑わっていた。
「それじゃあ、決めた通り、とりあえずリリス嬢は店内をゆっくり見る。何か気付いても外に出るまで、何も言わなくていいからね」
「分かった」
そう短く答えたリリスは、少し緊張しているようだった。その様子にスタイラスは苦笑すると言った。
「大丈夫。僕も一緒にいるし。ねっ?」
心強い言葉にリリスは頷くと、スタイラスは店の扉を開けた。
(誰かに相談したい・・・そうすれば心が少し軽くなるよね。でもこんな話しされて相手には重過ぎるよね。しかも私がレイリー様をイジメる夢なんて、誰に相談すれば・・)
夜中からずっと考えていたが、答えを導き出せなかった。
コンコンコン
扉をノックする音の後「お嬢様、おはようございます」と声がした。マリーが朝の支度をしに、部屋を訪れた合図だった。リリスは頭の中の悩みを消し去るように頭を横に振り、気合を入れると「いいわよ、入って」と侍女に声をかけた。部屋に入ってきたマリーは顔色が悪いと心配をしてくれたが、「そうかしら。久しぶりの学園で疲れただけね。明日の休みはゆっくりするから」と誤魔化した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リリスが学園に到着すると、スタイラスもちょうど同じタイミングで登校してきた。「おはよう、リリス嬢」といつもの爽やかなイケメンスマイルをリリスに向けてきた。
(ぐはっ。朝イチからのキラキライケメンスマイルありがとうございますっ!)
そんなこと思ってるとは欠片も見せずに「スタイラス様、おはようございます。今日はよろしくお願いしますね」とご令嬢らしく笑顔を返す。
「もちろん。ところで顔色が良くないようだけど、大丈夫?予定は延期しようか?」
余程、リリスの顔色が悪いのかスタイラスが聞いてきた。「あら、そお?朝食もちゃんと食べてきたし、大丈夫よ」とリリスは否定した。
(すぐ気付くなんて、やっぱりできるイケメンは違うわぁ。それにしてもそんなにヒドイ顔してるかなぁ)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一限が終わるとヘンリーがリリスの元を訪ねてきた。彼はリリスが入学してから毎日欠かさず顔を見にくるので、クラスではもはや恒例行事化していた。
「リリィ、体調悪いんじゃない?顔色が悪いようだけど」
開口一番ヘンリーは心配そうに言った。
(あははっ、まただわ。そんなに顔色悪いかしら。アリーナ達にも言われたしねぇ。それにしても、できるイケメンがここにもいたわぁ)
「気分も悪くないし、全然大丈夫なのよ。心配かけてごめんなさい、ヘンリー」
彼の心配を取り去ってあげたくて、リリスは今日一番の笑顔を見せた。
彼は放課後、送って行こうかと提案してくれたが、生憎例の約束があったのでリリスは断った。ヘンリーはまだ心配そうだったが、次の授業が始まるからと半ば強引に彼を教室に返した。
心配性な婚約者との定期面会を済ませて席に戻ると、アリーナがニヤニヤして話しかけてきた。
「あなた達、夏休みで一段と仲が良くなったのね。"リリィ"に"ヘンリー"だもんねぇ。何があったか今度聞かせなさいよね」
「そんなの婚約者なんだから、普通でしょ?話すことなんて、何にもないからね」
恥ずかしさに自身の頬が赤く染まったを隠すように、リリスは強気で答えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
放課後、リリスとスタイラスが目的地のキャンディー屋へ向けて歩いていると、見覚えのある赤い庇が見えてきた。
「あっ、見えてきてわ」
リリスは逸る気持ちを抑え、隣の友人に言った。
店まで来ると中は前ほどではないが、それなりに客で賑わっていた。
「それじゃあ、決めた通り、とりあえずリリス嬢は店内をゆっくり見る。何か気付いても外に出るまで、何も言わなくていいからね」
「分かった」
そう短く答えたリリスは、少し緊張しているようだった。その様子にスタイラスは苦笑すると言った。
「大丈夫。僕も一緒にいるし。ねっ?」
心強い言葉にリリスは頷くと、スタイラスは店の扉を開けた。
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