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第Ⅱ章
第9話 兄弟
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「まあ!この猫ちゃんセバちゃん様のっ・・んん」
白猫の姿を見たサマンサが思わず口にする台詞を察したライモンが「サマンサ!黙れっ・・」と慌てて塞ぐ。塞がれてすぐ彼女も失言だったと察したが、最近ライモンの自分に対する扱いが雑じゃないかという想いが頭をかすめる。
どうやら白猫、ナタリアがここに入っていくのを見たらしい。中に入って追いかけようとも思ったが、さすがに正面突破はできそうにないと、侵入方法を考えていたら、黒猫たちが来たそうだ。
なぜそのまま正面突破できないのか。それは門から中を見れば、一目瞭然だっだ。男爵家の敷地に地を這うおびただしい数のヘビがいたからだった。その光景を見たサマンサは、「ひぃっ!!」と悲鳴をあげたほどだ。
一同は、目的地を目前にして足止めを食らってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方、その頃のナタリアはというと、後ろ手に縛られ、犯人と対峙していた。
「何故こんな事をするんですか?前にも言いましたが、そんなにお嫌いでしたら、無視してくださればいいことですよね?」
「いちいち癪にさわるな。女なら男に口答えするんじゃねえよ」
「ちょっと兄さんは黙ってて!落ち着いて彼女と話ができないだろう」
ナタリアを攫ったのは、伯爵兄弟バスチアンとテリオスだったのだ。テリオスはまだ何か言いたげな兄を制止し「無視できないほど、恨みが募ってると言ったら?」と疑問を投げかける。
「恨みが募る・・・?」
「ええ、そうです。そうでないと、こんな危険な橋渡りませんよ。それ程までに、過去の女神は酷い行いを我々の同胞にしたんです。よって、その生まれ変わりである貴女に責任を取ってもらうんです。ね?簡単な話でしょう?」
全くテリオスの話にピンとこないナタリアは「女神・・?生まれ変わり・・?」と口にする。
「ああ、やはり貴女のご両親は、隠し通したわけですね。真実を・・・おっと、このままおしゃべりしていたいところですが、外が騒がしくなるようなので貴女のお相手は後です」
そう言うと、二人は姿を消した。
ナタリアは今の会話を反芻するが、全く意味が分からない。
部屋を見渡すと、窓ひとつなく後ろには上へ上がる階段があり、ここが地下であることが想像できる。そして何より正面の壁には、美しい女性の肖像画が何枚も掛けられていた。
「キレイな人。どなたかしら・・・それにしても、この祭壇はなに?」
ナタリアが肖像画よりもっと気になったのは、壁の前に置かれた祭壇だった。そこには、小さな猫の彫像や宝石などが飾られていて、祭壇の中央には丸い水晶玉が置かれている。ナタリアは、玉から僅かに青い光が漏れ出しているのが、ずっと気になっていた。
ちょうど部屋にはナタリア一人。縛られたまま立ち上がり水晶玉を覗き込む。すると青い光が目の前いっぱいに広がり、そのままナタリアの身体は光の中に消えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『ニャタリアが待ってるニャ!このまま突っ込むニャ!』
黒猫はそう言うや否や、先頭を切って乗り込もうとするが、慌ててライモンがその首を根っこを掴む。
「君はもっと理知的だと思っていたが、どうした?」
『ニャにするニャッ!!離すニャ!ニャイモンこそ、ニャタリアが攫われたというニャに、よく冷静でいニャれるニャ!ここは、我ニャの勝手知ったる場所!余裕ニャ!』
黒猫の言葉を後押しするように『『ニャ~!!』』と辺りに響き渡る。
「ほお・・私のどこが冷静に見えるって?」
そう言ったライモンは笑顔だが、額には青筋が立ち、その瞳には冷たい光が宿っている。そんなライモンを見てもなお、セバちゃんはその手を掻い潜ろうと暴れている。しかし人間の力に敵うはずもなく、暴れる足は虚しく宙をかいた。
『離すニャッ!!』
セバちゃんとライモンのせめぎ合いが繰り広げられる中、そこにあらわれた二つの人影。
「何だよ。仲間割れかよ」
「まあ、どちらでもいいじゃないですか」
そこには、ライモンたちに余裕の笑みを向けるバスチアンとテリオスが立っていた。
白猫の姿を見たサマンサが思わず口にする台詞を察したライモンが「サマンサ!黙れっ・・」と慌てて塞ぐ。塞がれてすぐ彼女も失言だったと察したが、最近ライモンの自分に対する扱いが雑じゃないかという想いが頭をかすめる。
どうやら白猫、ナタリアがここに入っていくのを見たらしい。中に入って追いかけようとも思ったが、さすがに正面突破はできそうにないと、侵入方法を考えていたら、黒猫たちが来たそうだ。
なぜそのまま正面突破できないのか。それは門から中を見れば、一目瞭然だっだ。男爵家の敷地に地を這うおびただしい数のヘビがいたからだった。その光景を見たサマンサは、「ひぃっ!!」と悲鳴をあげたほどだ。
一同は、目的地を目前にして足止めを食らってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方、その頃のナタリアはというと、後ろ手に縛られ、犯人と対峙していた。
「何故こんな事をするんですか?前にも言いましたが、そんなにお嫌いでしたら、無視してくださればいいことですよね?」
「いちいち癪にさわるな。女なら男に口答えするんじゃねえよ」
「ちょっと兄さんは黙ってて!落ち着いて彼女と話ができないだろう」
ナタリアを攫ったのは、伯爵兄弟バスチアンとテリオスだったのだ。テリオスはまだ何か言いたげな兄を制止し「無視できないほど、恨みが募ってると言ったら?」と疑問を投げかける。
「恨みが募る・・・?」
「ええ、そうです。そうでないと、こんな危険な橋渡りませんよ。それ程までに、過去の女神は酷い行いを我々の同胞にしたんです。よって、その生まれ変わりである貴女に責任を取ってもらうんです。ね?簡単な話でしょう?」
全くテリオスの話にピンとこないナタリアは「女神・・?生まれ変わり・・?」と口にする。
「ああ、やはり貴女のご両親は、隠し通したわけですね。真実を・・・おっと、このままおしゃべりしていたいところですが、外が騒がしくなるようなので貴女のお相手は後です」
そう言うと、二人は姿を消した。
ナタリアは今の会話を反芻するが、全く意味が分からない。
部屋を見渡すと、窓ひとつなく後ろには上へ上がる階段があり、ここが地下であることが想像できる。そして何より正面の壁には、美しい女性の肖像画が何枚も掛けられていた。
「キレイな人。どなたかしら・・・それにしても、この祭壇はなに?」
ナタリアが肖像画よりもっと気になったのは、壁の前に置かれた祭壇だった。そこには、小さな猫の彫像や宝石などが飾られていて、祭壇の中央には丸い水晶玉が置かれている。ナタリアは、玉から僅かに青い光が漏れ出しているのが、ずっと気になっていた。
ちょうど部屋にはナタリア一人。縛られたまま立ち上がり水晶玉を覗き込む。すると青い光が目の前いっぱいに広がり、そのままナタリアの身体は光の中に消えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『ニャタリアが待ってるニャ!このまま突っ込むニャ!』
黒猫はそう言うや否や、先頭を切って乗り込もうとするが、慌ててライモンがその首を根っこを掴む。
「君はもっと理知的だと思っていたが、どうした?」
『ニャにするニャッ!!離すニャ!ニャイモンこそ、ニャタリアが攫われたというニャに、よく冷静でいニャれるニャ!ここは、我ニャの勝手知ったる場所!余裕ニャ!』
黒猫の言葉を後押しするように『『ニャ~!!』』と辺りに響き渡る。
「ほお・・私のどこが冷静に見えるって?」
そう言ったライモンは笑顔だが、額には青筋が立ち、その瞳には冷たい光が宿っている。そんなライモンを見てもなお、セバちゃんはその手を掻い潜ろうと暴れている。しかし人間の力に敵うはずもなく、暴れる足は虚しく宙をかいた。
『離すニャッ!!』
セバちゃんとライモンのせめぎ合いが繰り広げられる中、そこにあらわれた二つの人影。
「何だよ。仲間割れかよ」
「まあ、どちらでもいいじゃないですか」
そこには、ライモンたちに余裕の笑みを向けるバスチアンとテリオスが立っていた。
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