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第40話 リリス 婚約者に説明する

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「それで洞窟を進んだら、転移の扉があって、それを使ったら・・なんと!ミレドールに着いたのよ!ビックリでしょう!?」

リリスは目をキラキラさせながら、興奮した様子で話している。ヘンリーはリリスの横へ座り、まるで彼女の存在を確かめように腕を回した腰をがっちり掴んでいた。

「リリィがすごい体験をしたのは分かったけど・・本当に無事で良かった」

「うん、そうね。ありがとう。それより、そこでね・・」

スイッチが入ったリリスは疲れも見せずあの出来事を話そうとするが、ことリリスのことになると心配性を遺憾なく発揮するヘンリーは、回す腕に力を入れると言った。

「リリィ、とても楽しかったのは分かるけど、少し休んでくれるかな?王女も横になられてるし、君も少しそうしたらどお?」

「えー、リュシェル様はお怪我されてるし・・・ほらっ!私はピンピンしてるよ」

「ダメだよ。僕が心配で心配で仕方ないんだ。お願いだから、僕の言うとおりにしてくれる?話は、後でゆっくり聞かせてもらうからね」

ヘンリーの言葉にリリスはコクッと頷くと、ベッドに横になる。「大人しく休むから大丈夫」というリリスの言葉を聞き流し、ヘンリーはベッド脇に腰掛けた。

「リリィが眠るまで側に居させて。僕が居たら、眠れない?寝顔見られるの恥ずかしい?」

「そりゃあ、居てほしいけど・・寝顔見られるのも恥ずかしい・・・・でもこうするから大丈夫」

そう言ってリリスは布団を眼の下まで引き上げると「こうすれば、寝顔は見られないけど、ヘンリーは見えるよ」と笑った。「妙案だ」とヘンリーも笑顔を返すと、リリスの頭をポンポンと撫でる。それは、まるで音のない子守唄のようにリリスの眠りを誘い、瞼が閉じる。そして、まもなくリリスは静かな寝息をたて始めた。ヘンリーは穏やかな表情の額にキスを落とすと、静かに部屋を後にした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「それで、またミレドールに戻る約束をしたの」

「えっ!?リリィはまた行くつもりなのかい?」

「うん、だって約束したし、ミレドールだよ!これを逃したら、あの国の人と知り合う機会なんて、死ぬまでないよ」

「・・・分かったよ」

ヘンリーの根負けだ。しかし、ヘンリーは条件をつける。

「そのかわり、今度は僕も一緒に行くからね」

リリスはヘンリーの言葉に「もちろん!」と同意すると、笑顔を向けた。そんなリリスの胸に一つの疑問が浮かぶ。

(ミレドールの話って、最近どっかで聞いた気がするんだよねぇ。どこだったかなぁ・・・)

リリスのこの疑問に答えがでるのは、すぐのことだった。
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