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いちじの休息
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夜の1時過ぎ、着信知らせるスマホを手に取る。
『もしもし。ごめんね、夜遅くに』
えるからの電話だった。仕事が終わったら電話する、と言われていたから待っていた。
「仕事だったんでしょ?気にしないで」
レコードレーベルと契約出来たというえるだったけど、デビューまではまだまだ歌手1本で食べて行けるほどの収入はないらしく、引き続きバイトに勤しんでいた。
それと並行して楽曲制作など、デビューに向けて動かなくてはならず、なかなか忙しい日々を送っていて、こうして電話をする時間もままならなかった。
だからか、話す声からも疲れが滲み出ていた。
「無理せず、ちゃんと寝なよ?」
『うん、大丈夫』
と言いながら、その声はとろーんとするように丸みを帯びていて、相当眠そうに思える。
『こうやって、話してるだけでも嬉しいんだ』
そっか、とだけ返す。
色々余計な思いもよぎるけれど、 その言葉を聞けただけでも、僕は嬉しかった。それに、今こうして話していることも現実だ。その事は、僕にとって誇らしいことだと思った。
それから、2人でたわいもない話しを続けた。
早く寝てゆっくり休んで欲しい気持ちと、あと少しでいいから話していたい、という狭間で葛藤もあったけれど、彼女が忙しくなったらこんな時間もなくなってしまうかもしれない。と思うと、なんだか、寂しくなって、終わらせたくなかった。
うんうん、と彼女の話聞いているうちに、次第に声が小さくなったり、沈黙の時間も増えていった。
やがてしばしの沈黙のあと、すぅ、という寝息が聞こえてきた。
そんなえるが微笑ましくて、でも切ってしまうのは惜しくて、音量を小さくしながら、携帯の横で僕もそっと目を閉じた。
『もしもし。ごめんね、夜遅くに』
えるからの電話だった。仕事が終わったら電話する、と言われていたから待っていた。
「仕事だったんでしょ?気にしないで」
レコードレーベルと契約出来たというえるだったけど、デビューまではまだまだ歌手1本で食べて行けるほどの収入はないらしく、引き続きバイトに勤しんでいた。
それと並行して楽曲制作など、デビューに向けて動かなくてはならず、なかなか忙しい日々を送っていて、こうして電話をする時間もままならなかった。
だからか、話す声からも疲れが滲み出ていた。
「無理せず、ちゃんと寝なよ?」
『うん、大丈夫』
と言いながら、その声はとろーんとするように丸みを帯びていて、相当眠そうに思える。
『こうやって、話してるだけでも嬉しいんだ』
そっか、とだけ返す。
色々余計な思いもよぎるけれど、 その言葉を聞けただけでも、僕は嬉しかった。それに、今こうして話していることも現実だ。その事は、僕にとって誇らしいことだと思った。
それから、2人でたわいもない話しを続けた。
早く寝てゆっくり休んで欲しい気持ちと、あと少しでいいから話していたい、という狭間で葛藤もあったけれど、彼女が忙しくなったらこんな時間もなくなってしまうかもしれない。と思うと、なんだか、寂しくなって、終わらせたくなかった。
うんうん、と彼女の話聞いているうちに、次第に声が小さくなったり、沈黙の時間も増えていった。
やがてしばしの沈黙のあと、すぅ、という寝息が聞こえてきた。
そんなえるが微笑ましくて、でも切ってしまうのは惜しくて、音量を小さくしながら、携帯の横で僕もそっと目を閉じた。
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