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ハーレムでの日々
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意識がなくなるまで責められ続けた後、目覚めたシャーロットは、白濁液に塗れた身体を浴室でメイド達に洗われていた
恥ずかしい姿をメイド達に見られる事に戸惑いはあったが、メイド達は何事もないように淡々とシャーロットを浴室に運んだ
綺麗にはなったものの、身体は怠く重かった
ソファーに寄り掛かるように腰を掛けてぼんやりとする
そういえばシーリンス王国にいた頃は、こんなに何もせずぼんやりとしていた時間はなかったな、などと考えていた
物心ついた頃には既に王家からの家庭教師に躾られ教育されていた
学園に通うようになってからも、あの日まで毎日のように妃教育を受け監視される生活だった
行為の最中にサフィーラから掛けられた言葉を反芻する
(わたくしの役目は、このハーレムで、サフィーラ皇帝陛下が欲を吐き出すだけの存在。それだけがわたくしの価値)
幼い頃から、逆らわぬようにと教育されてきたシャーロットは、その言葉を素直に受け入れた
それからの毎日の夕食と入浴のお湯には媚薬が混ぜられて、夜になるとシャーロットは発情させられていた
サフィーラは変わらずただ欲を吐き出す為だけの行為をする
シャーロットは一人嬌声を上げ乱れ狂わされる
サフィーラは別の令嬢の元に行き、シャーロットの部屋に訪れない日も媚薬は混ぜられ、シャーロットは一人部屋で発情させられ悶え狂った
娼婦以下の扱いだった
サフィーラは、諜報員からもたらされた膨大な報告書に目を通しながらシャーロットの様子を思い返していた
シャーロットがこの皇城に着いた日から、最初にサフィーラが行為をして、その後一月以上媚薬を与え続けた間の様子を侍女達から報告させていた
愚痴も恨み言も一言も言わず、怪しい行動のひとつもない、国からもシャーロット宛に届けられた物は文の一枚もなかった
直前に入れ替えて送られてきた間諜ではないかとの疑いもあったが、そうでもないようだ
他国からハーレムに送られてきた令嬢達に対してはそれなりの態度をもって接しているが、無礼な国から送られてきたシャーロットには貴族の令嬢として扱わなかった
間諜を疑った、という事もあり、何かボロを出すのではないかと思っていたが·····杞憂だったようだ
シャーロットの父親は、シャーロットがヴァルドーラ帝国に無事に着いた事の報告を受けた日に、宰相の職を辞し爵位も領地も返上して、大陸から海を隔てた夫人の姉が嫁いだ国に夫婦で渡ったと報告書にはあった
その後、宰相の席にはキャロラインの父親が着いている
幼い頃からシャーロットを王太子の婚約者として縛りつけた王家と王太子の裏切りが許せなかったようだ
婚約破棄の際の仕打ちは、公爵家にとってもシャーロットにとっても寝耳に水だったのだろう
報告書にもあったが、シャーロットは一方的に罪人のような扱いを受けたという
国王が取り成してその場は収めたというが
「まあいい。媚薬を混ぜるのは中止にしろ」
「はっ、すぐにそのように取り計らいます」
側で報告書を精査していた政務次官が直ちに行動した
その夜、媚薬の影響がないシャーロットは入浴後の支度をメイド達から受けてベッドの脇に跪いていた
扉が開くとすぐにサフィーラが、ミーナに命じてお茶とアルコールを用意させた
その日はミーナとサフィーラの侍従を部屋の隅に待機させたまま、シャーロットをソファーに座るように指示して自身もソファーに腰を下ろした
「今日は、お前と話そうと思ってな」
向かいのソファーに腰を下ろして固くなっているシャーロットに声を掛けた
このようにシャーロットに話し掛けるのは初めてかもしれない
「お前は、ここに来る前、シーリンス王国の王太子に婚約破棄されたのだな」
「·····」
シャーロットは話していいものなのかどうか言い淀んだ
それを感じたサフィーラはアルコールのグラスを手に取りながら
「良い。見ていた者から報告を受けている。正直に話せ」
サフィーラはシーリンス王国であった事を知っているという、おそらく国を探る者がいて、あの婚約破棄の場面を見ていたのだろうと思ったシャーロットは
「はい。その通りにございます」
キャロラインを求めていたサフィーラに取っては、婚約破棄された者が代わりに送られてきたのは不愉快であろうと思って唇を噛んだ
「お前の幸せの為に、キャロラインなる令嬢が犠牲になれば、といったものがあるが、まあこれはおそらくこのハーレムに来る事をさしていたのであろうが、お前はキャロラインなる令嬢がこのハーレムに送られる事を事前に知っていたのか?」
「いえ·····わたくしは存じませんでした。あの日、初めて知ったのです」
「そうだろうな。あれは交渉の場で国王が口にした事だ」
国同士の交渉の取り決めを、高位貴族とはいえ令嬢に漏らされるような事ではない、
キャロラインがハーレムに送られる事を知っているのは、あの交渉の場にいたものと、キャロラインの親である侯爵くらいのものだっただろう
「この城に来た日、お前は随分驚いていたようだったが、何かあったか?」
「あの·····畏れながら、わたくしはヴァルドーラ帝国の皇帝陛下は、ソレス皇帝陛下だと思っていたのでございます。ですが、ソレス皇帝陛下をお目にさせて頂いた事はなく·····」
「ああ、だから俺を見て驚いたのか。思っていた60も越えた皇帝陛下に見えなかったから」
シャーロットは申し訳なさそうに頷いた
サフィーラはそれで合点がいった
報告書を見た段階で推察は出来ていた
同じような年頃の令嬢を持ち、公爵家とはいえ一方は自国の王太子妃に、一方は人質としてハーレムに送られる事に納得がいかなかったのだろう
幸い学園で王太子は婚約者を蔑ろにして自分の娘と良い関係になっている、それを侯爵も利用して娘を唆したのだ
娘も、歳のいった皇帝のハーレムに行くのが嫌だったのだろう、学園での自分の立場を利用して王太子を唆した
王太子や周りの者達はそれにコロッと騙されたわけだ
ただ、王太子の婚約者とハーレムに送られる者を入れ替えるのは困難だ、だから上手いこと婚約者であるシャーロットを罪人に貶める必要があった
しかも、その罪人に仕立てあげた令嬢を、他国の皇帝のハーレムに送ってくるとは
それを一国の王太子がした愚かさを、サフィーラは内心嘲笑った
「お前はハーレムに送られる事に異議を唱えなかったのか」
「わたくしは、決められた事に従うまでにございます」
目を伏せ静かに言ったシャーロットの言葉に、若干の違和感を感じながらも、アルコールを飲み干したサフィーラはグラスを置いて
「そうか。身体も疲れているだろう。暫く休むがいい」
そう言ってソファーから立ち上がったサフィーラは、侍従を伴って部屋を後にした
一方シャーロットは暫く動けないでいた
何もせず出ていってしまった事に戸惑っていたのだ
翌日からシャーロットに媚薬が使われる事はなくなった
サフィーラが行為に及ぶ事もなくなり、シャーロットは穏やかに身体を休めているように思えたが
ミーナはシャーロットの食が細ってきていることが気になっていた
虚ろな目で窓の外を見つめている時間も長くなっていた
「シャーロット様、どこかお身体の具合が優れないのでしょうか?」
心配になったミーナが問うとシャーロットは力ない笑みを浮かべる
「いいえ、何もないわ。少し食欲がないだけだから大丈夫よ」
シャーロットは何も言わない
二週間もした頃ミーナは侍従を通してサフィーラに訴えた
シャーロットが何も食べようとしないこと、虚ろな目で窓の外を見ていることを
それを伝えた夜、サフィーラはシャーロットの部屋を訪れた
いつものようにベッドの脇で跪いているシャーロットの肩にサフィーラが手を触れた
冷たくなったシャーロットの肌に驚き、サフィーラはシャーロットを抱き上げベッドに入った
シャーロットも驚くが、サフィーラはシーツに包まリ、自分の胸にシャーロットを抱き込むようにした
ミーナに温かい飲み物を用意するように命じた
「サフィーラ皇帝陛下、申し訳ございません。わたくしは大丈夫ですから」
そう言って夜着のリボンを解こうとするシャーロットの手をサフィーラが押さえた
「そんな事はいい。身体が冷えきってるじゃないか」
シャーロットは泣きそうな表情を一瞬浮かべた後微笑んで
「大丈夫ですから。陛下·····」
シャーロットを抱き締めた手で肩から背中を撫でて腕を掴むと
「食べていないのだろう、痩せてしまっている」
「申し訳ございません。ですが、大丈夫ですから」
謝罪を繰り返しながら、尚も夜着を脱ごうとするシャーロットの手首を掴んで押さえつけ
「しなくていいと言っている」
力なく首を振るシャーロットが絞り出すような声で
「わたくしにはもう·····陛下の欲を吐き出す役目も、頂けませんか·····?」
シャーロットの心は、音をたてるようにひび割れてしまっていた
幼い頃から家庭教師や王家のお目付け役から、王太子の御心のままにお仕えする事だけがシャーロットの役目だと躾られてきた
あの婚約破棄の瞬間に、王太子にはシャーロットは要らぬ人間であると言われたも同然だった
シャーロットの役目は、ヴァルドーラのハーレムに行き、キャロラインの代わりを務める事に変わったのだ
サフィーラも、サフィーラの性欲の捌け口になる事が、シャーロットの役目だと言った
それがなくなったシャーロットは、価値のない不要な人間になってしまった
どんな扱いを受けても、自分の役目なのだと、ギリギリのところで精神を保ってきていたのだった
サフィーラは、シャーロットが婚約破棄をされた日からずっと傷つき続けてきたのだと思い至った
シャーロットを抱き締めて
「そんな事はない。お前の役目は、これからも俺の欲の捌け口になる事だ」
そう言った言葉に安心したような表情を浮かべたシャーロットを、サフィーラは憐れな令嬢だと思った
虚ろだった目に光が戻り、初めて見た時に意思が強そうだと感じたその目を見ると、サフィーラは、濡れたような赤い唇に口付けた
驚いたシャーロットに告げる
「覚えておけ、俺の性欲の捌け口になる為には、体力が必要だ。しっかり食べろ。分かったな?」
シャーロットが頷くのを見て、唇の感触を確かめるように唇を重ねると、貪るように口付け舌を絡めた
「明日の夜また来る、今日はもう休め。いいな」
そう言ったサフィーラは、ミーナの用意した温かいハーブティーを飲ませると、初めて抱き締めたまま朝までシャーロットの部屋で過ごした
恥ずかしい姿をメイド達に見られる事に戸惑いはあったが、メイド達は何事もないように淡々とシャーロットを浴室に運んだ
綺麗にはなったものの、身体は怠く重かった
ソファーに寄り掛かるように腰を掛けてぼんやりとする
そういえばシーリンス王国にいた頃は、こんなに何もせずぼんやりとしていた時間はなかったな、などと考えていた
物心ついた頃には既に王家からの家庭教師に躾られ教育されていた
学園に通うようになってからも、あの日まで毎日のように妃教育を受け監視される生活だった
行為の最中にサフィーラから掛けられた言葉を反芻する
(わたくしの役目は、このハーレムで、サフィーラ皇帝陛下が欲を吐き出すだけの存在。それだけがわたくしの価値)
幼い頃から、逆らわぬようにと教育されてきたシャーロットは、その言葉を素直に受け入れた
それからの毎日の夕食と入浴のお湯には媚薬が混ぜられて、夜になるとシャーロットは発情させられていた
サフィーラは変わらずただ欲を吐き出す為だけの行為をする
シャーロットは一人嬌声を上げ乱れ狂わされる
サフィーラは別の令嬢の元に行き、シャーロットの部屋に訪れない日も媚薬は混ぜられ、シャーロットは一人部屋で発情させられ悶え狂った
娼婦以下の扱いだった
サフィーラは、諜報員からもたらされた膨大な報告書に目を通しながらシャーロットの様子を思い返していた
シャーロットがこの皇城に着いた日から、最初にサフィーラが行為をして、その後一月以上媚薬を与え続けた間の様子を侍女達から報告させていた
愚痴も恨み言も一言も言わず、怪しい行動のひとつもない、国からもシャーロット宛に届けられた物は文の一枚もなかった
直前に入れ替えて送られてきた間諜ではないかとの疑いもあったが、そうでもないようだ
他国からハーレムに送られてきた令嬢達に対してはそれなりの態度をもって接しているが、無礼な国から送られてきたシャーロットには貴族の令嬢として扱わなかった
間諜を疑った、という事もあり、何かボロを出すのではないかと思っていたが·····杞憂だったようだ
シャーロットの父親は、シャーロットがヴァルドーラ帝国に無事に着いた事の報告を受けた日に、宰相の職を辞し爵位も領地も返上して、大陸から海を隔てた夫人の姉が嫁いだ国に夫婦で渡ったと報告書にはあった
その後、宰相の席にはキャロラインの父親が着いている
幼い頃からシャーロットを王太子の婚約者として縛りつけた王家と王太子の裏切りが許せなかったようだ
婚約破棄の際の仕打ちは、公爵家にとってもシャーロットにとっても寝耳に水だったのだろう
報告書にもあったが、シャーロットは一方的に罪人のような扱いを受けたという
国王が取り成してその場は収めたというが
「まあいい。媚薬を混ぜるのは中止にしろ」
「はっ、すぐにそのように取り計らいます」
側で報告書を精査していた政務次官が直ちに行動した
その夜、媚薬の影響がないシャーロットは入浴後の支度をメイド達から受けてベッドの脇に跪いていた
扉が開くとすぐにサフィーラが、ミーナに命じてお茶とアルコールを用意させた
その日はミーナとサフィーラの侍従を部屋の隅に待機させたまま、シャーロットをソファーに座るように指示して自身もソファーに腰を下ろした
「今日は、お前と話そうと思ってな」
向かいのソファーに腰を下ろして固くなっているシャーロットに声を掛けた
このようにシャーロットに話し掛けるのは初めてかもしれない
「お前は、ここに来る前、シーリンス王国の王太子に婚約破棄されたのだな」
「·····」
シャーロットは話していいものなのかどうか言い淀んだ
それを感じたサフィーラはアルコールのグラスを手に取りながら
「良い。見ていた者から報告を受けている。正直に話せ」
サフィーラはシーリンス王国であった事を知っているという、おそらく国を探る者がいて、あの婚約破棄の場面を見ていたのだろうと思ったシャーロットは
「はい。その通りにございます」
キャロラインを求めていたサフィーラに取っては、婚約破棄された者が代わりに送られてきたのは不愉快であろうと思って唇を噛んだ
「お前の幸せの為に、キャロラインなる令嬢が犠牲になれば、といったものがあるが、まあこれはおそらくこのハーレムに来る事をさしていたのであろうが、お前はキャロラインなる令嬢がこのハーレムに送られる事を事前に知っていたのか?」
「いえ·····わたくしは存じませんでした。あの日、初めて知ったのです」
「そうだろうな。あれは交渉の場で国王が口にした事だ」
国同士の交渉の取り決めを、高位貴族とはいえ令嬢に漏らされるような事ではない、
キャロラインがハーレムに送られる事を知っているのは、あの交渉の場にいたものと、キャロラインの親である侯爵くらいのものだっただろう
「この城に来た日、お前は随分驚いていたようだったが、何かあったか?」
「あの·····畏れながら、わたくしはヴァルドーラ帝国の皇帝陛下は、ソレス皇帝陛下だと思っていたのでございます。ですが、ソレス皇帝陛下をお目にさせて頂いた事はなく·····」
「ああ、だから俺を見て驚いたのか。思っていた60も越えた皇帝陛下に見えなかったから」
シャーロットは申し訳なさそうに頷いた
サフィーラはそれで合点がいった
報告書を見た段階で推察は出来ていた
同じような年頃の令嬢を持ち、公爵家とはいえ一方は自国の王太子妃に、一方は人質としてハーレムに送られる事に納得がいかなかったのだろう
幸い学園で王太子は婚約者を蔑ろにして自分の娘と良い関係になっている、それを侯爵も利用して娘を唆したのだ
娘も、歳のいった皇帝のハーレムに行くのが嫌だったのだろう、学園での自分の立場を利用して王太子を唆した
王太子や周りの者達はそれにコロッと騙されたわけだ
ただ、王太子の婚約者とハーレムに送られる者を入れ替えるのは困難だ、だから上手いこと婚約者であるシャーロットを罪人に貶める必要があった
しかも、その罪人に仕立てあげた令嬢を、他国の皇帝のハーレムに送ってくるとは
それを一国の王太子がした愚かさを、サフィーラは内心嘲笑った
「お前はハーレムに送られる事に異議を唱えなかったのか」
「わたくしは、決められた事に従うまでにございます」
目を伏せ静かに言ったシャーロットの言葉に、若干の違和感を感じながらも、アルコールを飲み干したサフィーラはグラスを置いて
「そうか。身体も疲れているだろう。暫く休むがいい」
そう言ってソファーから立ち上がったサフィーラは、侍従を伴って部屋を後にした
一方シャーロットは暫く動けないでいた
何もせず出ていってしまった事に戸惑っていたのだ
翌日からシャーロットに媚薬が使われる事はなくなった
サフィーラが行為に及ぶ事もなくなり、シャーロットは穏やかに身体を休めているように思えたが
ミーナはシャーロットの食が細ってきていることが気になっていた
虚ろな目で窓の外を見つめている時間も長くなっていた
「シャーロット様、どこかお身体の具合が優れないのでしょうか?」
心配になったミーナが問うとシャーロットは力ない笑みを浮かべる
「いいえ、何もないわ。少し食欲がないだけだから大丈夫よ」
シャーロットは何も言わない
二週間もした頃ミーナは侍従を通してサフィーラに訴えた
シャーロットが何も食べようとしないこと、虚ろな目で窓の外を見ていることを
それを伝えた夜、サフィーラはシャーロットの部屋を訪れた
いつものようにベッドの脇で跪いているシャーロットの肩にサフィーラが手を触れた
冷たくなったシャーロットの肌に驚き、サフィーラはシャーロットを抱き上げベッドに入った
シャーロットも驚くが、サフィーラはシーツに包まリ、自分の胸にシャーロットを抱き込むようにした
ミーナに温かい飲み物を用意するように命じた
「サフィーラ皇帝陛下、申し訳ございません。わたくしは大丈夫ですから」
そう言って夜着のリボンを解こうとするシャーロットの手をサフィーラが押さえた
「そんな事はいい。身体が冷えきってるじゃないか」
シャーロットは泣きそうな表情を一瞬浮かべた後微笑んで
「大丈夫ですから。陛下·····」
シャーロットを抱き締めた手で肩から背中を撫でて腕を掴むと
「食べていないのだろう、痩せてしまっている」
「申し訳ございません。ですが、大丈夫ですから」
謝罪を繰り返しながら、尚も夜着を脱ごうとするシャーロットの手首を掴んで押さえつけ
「しなくていいと言っている」
力なく首を振るシャーロットが絞り出すような声で
「わたくしにはもう·····陛下の欲を吐き出す役目も、頂けませんか·····?」
シャーロットの心は、音をたてるようにひび割れてしまっていた
幼い頃から家庭教師や王家のお目付け役から、王太子の御心のままにお仕えする事だけがシャーロットの役目だと躾られてきた
あの婚約破棄の瞬間に、王太子にはシャーロットは要らぬ人間であると言われたも同然だった
シャーロットの役目は、ヴァルドーラのハーレムに行き、キャロラインの代わりを務める事に変わったのだ
サフィーラも、サフィーラの性欲の捌け口になる事が、シャーロットの役目だと言った
それがなくなったシャーロットは、価値のない不要な人間になってしまった
どんな扱いを受けても、自分の役目なのだと、ギリギリのところで精神を保ってきていたのだった
サフィーラは、シャーロットが婚約破棄をされた日からずっと傷つき続けてきたのだと思い至った
シャーロットを抱き締めて
「そんな事はない。お前の役目は、これからも俺の欲の捌け口になる事だ」
そう言った言葉に安心したような表情を浮かべたシャーロットを、サフィーラは憐れな令嬢だと思った
虚ろだった目に光が戻り、初めて見た時に意思が強そうだと感じたその目を見ると、サフィーラは、濡れたような赤い唇に口付けた
驚いたシャーロットに告げる
「覚えておけ、俺の性欲の捌け口になる為には、体力が必要だ。しっかり食べろ。分かったな?」
シャーロットが頷くのを見て、唇の感触を確かめるように唇を重ねると、貪るように口付け舌を絡めた
「明日の夜また来る、今日はもう休め。いいな」
そう言ったサフィーラは、ミーナの用意した温かいハーブティーを飲ませると、初めて抱き締めたまま朝までシャーロットの部屋で過ごした
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