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エヴァリーナとの婚約と並んで、僕の側近候補が選ばれた
前、と同様に宰相子息であるリカード・アデレードと騎士団長子息のスチュワート・ラントだ
この頃の彼らはまだ何もしていないし、家格を考えても妥当ではあるから、不本意ではあるが拒否する事も出来ない。だから、今回は彼らと共に一つ歳が上の財務大臣を務める侯爵家の子息ランバード・ザインと、伯爵家の子息レイン・ヒューズを、側近候補に加えてもらった。
ランバードは未知数だが、レインは前回、男爵令嬢に籠絡されなかった事から、是非加えたかったのだ
そして、僕は王太子としての帝王学を、エヴァリーナは王太子妃となる為の教育が始まった
以前は教育がてらスケジュールに組まれたお茶会が週に二日程あり、それを利用して交流をしていたが、今回は毎日、時間を見つけてはエヴァリーナの元に通い、お茶をしたり庭を散策したりして交流を深めた
少しの時間だけでもエヴァリーナと会いたいという気持ちが一番だが、もう一つの目的は、少しでも時間があればエヴァリーナに会いに行く僕の姿を側近達に見せる為だ
「イブ、少し時間が出来たから、会いにきてしまったよ」
一輪のピンク色の花を手渡すと、エヴァリーナは少し頬を赤く染めながら、花よりも可憐な笑みを浮かべる
「ありがとうございます、ルカ様。ですが、お空きになった時間に少しお休みになられた方がよろしいのではありませんか?ご無理をなさってはお身体を壊してしまいますわ」
嬉しそうにしながらも、僕の身体の心配をしてくれる
「大丈夫だよ。休む時はしっかり休んでいる。それに、本当なら休んでいる時間でさえもイブに会いたいんだ。イブに会えるのが何よりも嬉しい」
エヴァリーナの髪をひと房掬い上げて口付ける
「お休みになられていらっしゃるのであれば、良かったですわ。わたくしも、ルカ様とお会い出来るのが嬉しいです」
可愛らしく可愛い事を言ってくれるエヴァリーナの髪をサラサラと撫でる
侍女達も生暖かい目で見る程のピンク色の空間になっていた
そしてエヴァリーナは、側近達に対しても当然のように自然に気遣いと感謝を示す
手ずから美味しい紅茶を入れてくれると、僕と側近達の労をねぎらってくれるのだった
勿論、側近達に対しては適切な距離を持って礼儀正しく接している
そう、普通のまともな令嬢の当然の接し方である
そうやって僕は学園に入学するまでに、側近達特にリカードとスチュワートの二人に、どれ程エヴァリーナを想っているのかを、嫌という程に繰り返し何度も何度も見せた
同時に、エヴァリーナがどれ程思い遣りのある令嬢か、王妃となる為の教育がどれ程厳しいものか、というのもしっかりと見せたのである
前、と同様に宰相子息であるリカード・アデレードと騎士団長子息のスチュワート・ラントだ
この頃の彼らはまだ何もしていないし、家格を考えても妥当ではあるから、不本意ではあるが拒否する事も出来ない。だから、今回は彼らと共に一つ歳が上の財務大臣を務める侯爵家の子息ランバード・ザインと、伯爵家の子息レイン・ヒューズを、側近候補に加えてもらった。
ランバードは未知数だが、レインは前回、男爵令嬢に籠絡されなかった事から、是非加えたかったのだ
そして、僕は王太子としての帝王学を、エヴァリーナは王太子妃となる為の教育が始まった
以前は教育がてらスケジュールに組まれたお茶会が週に二日程あり、それを利用して交流をしていたが、今回は毎日、時間を見つけてはエヴァリーナの元に通い、お茶をしたり庭を散策したりして交流を深めた
少しの時間だけでもエヴァリーナと会いたいという気持ちが一番だが、もう一つの目的は、少しでも時間があればエヴァリーナに会いに行く僕の姿を側近達に見せる為だ
「イブ、少し時間が出来たから、会いにきてしまったよ」
一輪のピンク色の花を手渡すと、エヴァリーナは少し頬を赤く染めながら、花よりも可憐な笑みを浮かべる
「ありがとうございます、ルカ様。ですが、お空きになった時間に少しお休みになられた方がよろしいのではありませんか?ご無理をなさってはお身体を壊してしまいますわ」
嬉しそうにしながらも、僕の身体の心配をしてくれる
「大丈夫だよ。休む時はしっかり休んでいる。それに、本当なら休んでいる時間でさえもイブに会いたいんだ。イブに会えるのが何よりも嬉しい」
エヴァリーナの髪をひと房掬い上げて口付ける
「お休みになられていらっしゃるのであれば、良かったですわ。わたくしも、ルカ様とお会い出来るのが嬉しいです」
可愛らしく可愛い事を言ってくれるエヴァリーナの髪をサラサラと撫でる
侍女達も生暖かい目で見る程のピンク色の空間になっていた
そしてエヴァリーナは、側近達に対しても当然のように自然に気遣いと感謝を示す
手ずから美味しい紅茶を入れてくれると、僕と側近達の労をねぎらってくれるのだった
勿論、側近達に対しては適切な距離を持って礼儀正しく接している
そう、普通のまともな令嬢の当然の接し方である
そうやって僕は学園に入学するまでに、側近達特にリカードとスチュワートの二人に、どれ程エヴァリーナを想っているのかを、嫌という程に繰り返し何度も何度も見せた
同時に、エヴァリーナがどれ程思い遣りのある令嬢か、王妃となる為の教育がどれ程厳しいものか、というのもしっかりと見せたのである
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