勘違いって恐ろしい

りりん

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  ユリアーナの言葉に令息達は項垂れるしかなかった
  誰も言い訳は出来ない、学園内での言動、この夜会においても令息達は婚約者への贈り物1つする事なく、どころか、よりにもよってアンナに装飾具などを贈っている始末だった
  アンナのドレスはアイザックが、アクセサリーなどの装飾具は他の令息達が用意したものだ
  学園できゃあきゃあと嬌声をあげて贈り物を喜ぶアンナの姿は、多くの令嬢令息の目に止まっていた
  それを不愉快に思う令息達の婚約者の心情は当然の事だろう
  婚約者達の家人によって婚約解消の手続きが取られ承認されていた
  
  「みんなは、私に優しくしてくれてただけなんですっ。私といると癒されるって」

  顔色を失くし項垂れて押し黙った令息達の前でアンナが涙ながらに発言する
  
  「それが問題だと、申しているのです。婚約者のいる令息が、婚約者以外の異性に特別に優しくする。問題でしかありませんわ」

  「特別になんて、なぜ決めつけるんですか?」

  「あら?婚約者以外の異性に贈り物をする、それも婚約者にもしていない贈り物を。それが、特別以外にありますの?それとも、皆様他の令嬢方全員に贈り物をなさったのかしら?」

  まあ、貴女頂きました?いいえ、頂いていませんわ、などと分かりきった会話があちらこちらで囁かれている
  令息達の元婚約者は厳しい表情を浮かべている

  「それはっ、私が何も持っていないから……」

  「言い訳にもなりませんわね。ドレスを持っていないから、アクセサリーを持っていないから、それが贈り物をする理由になるとでも?この会場には学園の貸衣装で出席している方々もいらっしゃいますのよ?」

  これ以上の問答は堂々巡りをするだけ無駄だと考えたユリアーナは畳み掛けた

  「それはもうよろしいわ。何にせよもう遅いのです。何組もの婚約の解消が行われた。それが結果です」

  「私はっ……」

  「貴女が勘違いをしなければ、こんな事にはなっていなかったでしょう。そして、キンバリー様達令息方も、冷静にしっかりと情報を収集し、周囲の話しに耳を傾けていればこんな事にはなっていなかったでしょう。キンバリー様と貴女には、別の野心もあったのでしょうけれども、ね」

  足元に崩れ落ちていたアイザックの口からギリギリと歯軋りが聞こえてくる

  「わたくしではなく、アンナと結婚すれば公爵家でもっと自由に出来るとでも思ったのでしょうね。アンナは、わたくしになり代われるとでも思ったのかしら。愚かな事ね」

  「ユリアーナ、もう十分だろう。彼らは、自分達の犯した愚かさをこれから存分に味わう事だろうからね」

  レイモンドが優しくユリアーナに微笑む

  「申し訳ございません、こんな姿をお見せしてしまって……レイモンド様」

  ユリアーナは感情的にもなってしまった自分をレイモンドに見せてしまった事を恥じた
  そんなユリアーナを嬉しそうに見詰めるレイモンドは腰を抱き寄せキスするくらいに顔を寄せると

  「いいや、毅然とした美しい姿だったよ。それに、ユリアーナの姿なら、どんな姿でも見たい。これからも、色んなユリアーナを、私に見せてほしい」

  甘く甘く囁くレイモンドの後ろから

  「レイモンド、夜会の最中だ。それに、ユリアーナが倒れそうだ」

  呆れた声が掛けられた
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