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幸せは
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王太子に初めて出会った瞬間、私はこの人と絶対に結ばれてみせる、そう思った
王太子には公爵令嬢が正式な婚約者としていたが、そんな事は知った事ではなかった
婚約者の事など知らぬ振りをして王太子に近づいた
初めは避けられたが、日に日に距離が近づいていくのを感じた
公爵令嬢は、むやみに王太子に近づいてはならない、婚約者のいる異性に近づくのははしたない行為だと言ってきた
私は涙を浮かべて、公爵令嬢が意地悪をしてくる、と王太子に訴えた
私の涙を見た王太子は私を信じた
無表情で無感情な何を考えているのか分からない公爵令嬢より、天真爛漫な私の方が可愛くて一緒に居たいと言った
別に何もされてないけど、虐められたと訴えれば、王太子が公爵令嬢を罵る
罵られている公爵令嬢が面白くて、私は、ドレスを破られた、物を盗まれたと訴えた
王太子が公爵令嬢を罵り邪険にすれば、周りの皆もそれに従う
公爵令嬢の弟まで、公爵令嬢を邪険に罵るようになった時は、部屋に帰って大笑いした
全部私の思うようになっていった
でも卒業したら王太子は公爵令嬢と結婚しなければならないと言う
そんなの許せなかった、折角何もかも私の思い通りなのに、卒業したらそれがまた公爵令嬢のものになるなんてズルい、許せない
階段から突き落とされたと泣きながら言った時、そんな事をする奴は王妃になる資格はないと王太子が言った
だから、公爵令嬢がいると思うと怖くて生きているのも怖い、と言ってみた
その頃には国中が私の思い通りに動いていた
聖女に憧れる、と口に出せば、次の日私は聖女になった
パーティの日、王太子は公爵令嬢と婚約破棄をした
そして、聖女の私を虐めた罪で処刑される事になった
自分の父親にまで殴られる公爵令嬢を見て、気分が良かった
ニヤニヤしてしまったけど、誰にもバレない
そして平民になった公爵令嬢に代わって私は公爵令嬢になった
処刑の日、地下牢に入れられている公爵令嬢のところに行った
髪がボサボサに切られて顔がボコボコに腫れて赤黒くなっていた、ボロボロのドレスから見える肌も殴られた痕だらけだった
笑いそうになるのを堪えていたら、王太子が慈悲深いと私を褒めた
最高の気分だった
公爵令嬢の首が落ちた瞬間、処刑場は拍手喝采だった
そして、非道な公爵令嬢の虐めに健気に堪えた私を讃える拍手も起こった
城に住むようになって私は贅沢し放題になった
どんな高価なものでも喜んでプレゼントしてくれる
平民は聖女の私の為なら進んで税金を払った
何もかもが最高の毎日を送っていた、はずなのに
ある日嵐が来た日から、私の思い通りにならなくなった
欲しいと言ったものも買ってくれない
毎日嬉しそうに会いにきてくれた王太子が来なくなった
会いたいと言っているのに断られる
喜んで世話をしにきた者達も来なくなった
私が、したいと、欲しいと、会いたいと、言ってあげているのに、誰も言う事を聞かない
イライラする
公爵令嬢の名前を呼びながら泣いているのも聞いた
私がいてあげているのに、イライラする
イライラする、けど、公爵令嬢はもういないの
処刑されて死んだんだから
私は聖女なの
私がいるだけで、みんなは幸せなはず
だって私は聖女だもの
何かが狂って醜悪な欲にまみれた女が生まれ、これからも同じように生きていけると思っている聖女という名の女と
悪夢から覚めても尚、悪夢が残る世界
一番幸せなのは誰だろうか
王太子には公爵令嬢が正式な婚約者としていたが、そんな事は知った事ではなかった
婚約者の事など知らぬ振りをして王太子に近づいた
初めは避けられたが、日に日に距離が近づいていくのを感じた
公爵令嬢は、むやみに王太子に近づいてはならない、婚約者のいる異性に近づくのははしたない行為だと言ってきた
私は涙を浮かべて、公爵令嬢が意地悪をしてくる、と王太子に訴えた
私の涙を見た王太子は私を信じた
無表情で無感情な何を考えているのか分からない公爵令嬢より、天真爛漫な私の方が可愛くて一緒に居たいと言った
別に何もされてないけど、虐められたと訴えれば、王太子が公爵令嬢を罵る
罵られている公爵令嬢が面白くて、私は、ドレスを破られた、物を盗まれたと訴えた
王太子が公爵令嬢を罵り邪険にすれば、周りの皆もそれに従う
公爵令嬢の弟まで、公爵令嬢を邪険に罵るようになった時は、部屋に帰って大笑いした
全部私の思うようになっていった
でも卒業したら王太子は公爵令嬢と結婚しなければならないと言う
そんなの許せなかった、折角何もかも私の思い通りなのに、卒業したらそれがまた公爵令嬢のものになるなんてズルい、許せない
階段から突き落とされたと泣きながら言った時、そんな事をする奴は王妃になる資格はないと王太子が言った
だから、公爵令嬢がいると思うと怖くて生きているのも怖い、と言ってみた
その頃には国中が私の思い通りに動いていた
聖女に憧れる、と口に出せば、次の日私は聖女になった
パーティの日、王太子は公爵令嬢と婚約破棄をした
そして、聖女の私を虐めた罪で処刑される事になった
自分の父親にまで殴られる公爵令嬢を見て、気分が良かった
ニヤニヤしてしまったけど、誰にもバレない
そして平民になった公爵令嬢に代わって私は公爵令嬢になった
処刑の日、地下牢に入れられている公爵令嬢のところに行った
髪がボサボサに切られて顔がボコボコに腫れて赤黒くなっていた、ボロボロのドレスから見える肌も殴られた痕だらけだった
笑いそうになるのを堪えていたら、王太子が慈悲深いと私を褒めた
最高の気分だった
公爵令嬢の首が落ちた瞬間、処刑場は拍手喝采だった
そして、非道な公爵令嬢の虐めに健気に堪えた私を讃える拍手も起こった
城に住むようになって私は贅沢し放題になった
どんな高価なものでも喜んでプレゼントしてくれる
平民は聖女の私の為なら進んで税金を払った
何もかもが最高の毎日を送っていた、はずなのに
ある日嵐が来た日から、私の思い通りにならなくなった
欲しいと言ったものも買ってくれない
毎日嬉しそうに会いにきてくれた王太子が来なくなった
会いたいと言っているのに断られる
喜んで世話をしにきた者達も来なくなった
私が、したいと、欲しいと、会いたいと、言ってあげているのに、誰も言う事を聞かない
イライラする
公爵令嬢の名前を呼びながら泣いているのも聞いた
私がいてあげているのに、イライラする
イライラする、けど、公爵令嬢はもういないの
処刑されて死んだんだから
私は聖女なの
私がいるだけで、みんなは幸せなはず
だって私は聖女だもの
何かが狂って醜悪な欲にまみれた女が生まれ、これからも同じように生きていけると思っている聖女という名の女と
悪夢から覚めても尚、悪夢が残る世界
一番幸せなのは誰だろうか
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