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強引に純潔を奪われてから、甘い雰囲気を作られていますが、そういえば、これで処女で陵辱される、っていうのはなくなったな、などと呑気に考えていた。
ちょっと待ってろと、素早くトラウザーズを履いたアイザックが隣の部屋に用意させたらしい軽食をトレイに乗せて戻ってきた。
サンドウィッチやフルーツ、スープなど軽く食べられる物だ。
こういうのをさりげなく出来るところが王子様たる所以なのか。
「美味しい」
シーツを身体に巻き付け、ベッドに座り脇のサイドテーブルに乗せられたサンドウィッチを摘みながら
「そういえば、王宮に泊まると言いましたが、部屋を用意してくださったのですか?」
「いや?」
同じようにサンドウィッチを摘むアイザックが首を振る。
「では帰れと?」
「泊まると言っただろうが」
「どこに寝ろと?」
「ここで寝ればいい」
「··········アイザック様はどこで寝るんですか」
「ここで寝るが?」
「····················はぁ?」
「俺にどこで寝ろと言うんだ」
「ソファーがあるじゃないですか」
人が1人くらい余裕で寝られるくらいの立派なソファーが。
「·····お前」
はぁぁ、と大きな溜め息を吐きながら首を振ったアイザックは、サンドウィッチを口に放り込んでスープを飲む。
乱雑に見えてもしっかりと躾られたその仕草は優雅で決して下品には見えない。
「その話は後だ。とりあえず食べたら湯浴みをしてこい。シャワールームに準備がしてある」
食事を済ませて、アイザックの私室にあるシャワールームへと入った。
浴槽にはお湯が張られていてミルクの入浴剤が入っている。
着替えのナイトドレスまで用意されている。
「あ、アイザック様、私が出てくるまで寝室から出ないでくださいませね」
そう言ってシャワールームの扉を閉めると、バサリとシーツを剥ぎ取る。
シャワーを浴び髪を洗って、ボディソープで隅々まで綺麗にすると、ゆっくりとお湯に浸かり
「気持ちいい··········」 じゃなくて────────何でこんな事になってるの、どういう事!? 私の事、好みだなんて言ってたわよね··········
ヒロインの可愛らしい顔、華奢で小柄な儚げな身体、天真爛漫で健気な性格、その全てが愛おしいと言う王子様。
あくまでゲームの王子様とアイザックは別だと考えるべきなのか、特段私が特別な行動をしていたわけではないから、やっぱりヒロインの行動で変わってきているのか·····うーーーん、わからないなぁ··········
────────まあいいか、なるようになるよね。
私は私で楽観的で流されやすい質だったのだ。
浴槽から出てバスタオルで綺麗に水分を拭うと、ナイトドレスを身に付けた。薄手の上質な生地で着心地がとても良かった。
シャワーから上がった事をアイザックに告げると、寝室から出てきたアイザックは、ナイトドレスを着た私をジッと見てシャワールームに入って行った。
何かしら、まさか、後悔してたんじゃないでしょうね
別の意味で後悔したアイザックが、シャワールームで頭を抱えていた事を、私は知らない。
シャワーから出てきたアイザックと、どこで寝るのか揉めに揉め、私の抵抗も虚しく結局同じベッドで寝る事になってしまった。
なるべく隅に寄って距離を取り、色々疲れていたのか私はすぐに眠ってしまったみたいなんだけど────────何故こんな事になっているのか
何で抱きしめられてるのーーー!?
私にガッチリと腕を回して眠っているアイザックの腕から脱出しようと藻掻いていると、クックックッと笑い声が·····恐る恐る視線を移すと、目を細めて笑っているアイザックと、バッチリと目が合ってしまった
ギャーーーー、心の中で悲鳴をあげる。
というか、「何で裸で寝てるんですかーー!?」
「下は履いてるけど?」
しれっと返すアイザックを睨む。
「そんな問題じゃないんですよ」
程よく鍛えられしなやかな筋肉の付いた身体から目を逸らしながら、早く服を着てくださいと促す。
私の服は、シャワールームの近くに、一晩のうちにクリーニングして綺麗にプレスされた制服がハンガーに掛けられていた。流石王宮の使用人。
両陛下と王太子夫妻も集まっている朝食の席に案内される。
お会いした事は何度もあったけどそんな席に呼ばれて大丈夫なの?婚約者でしかない私が泊まっていたのって、かなり問題ない?
ドキドキビクビクしながらアイザックと共に席に着くと、とても生暖かいにこやかな視線を向けられていた。
「ジュリエッタ、いつでも王宮に泊まっていってちょうだいね」
「はい、ありがとうございます」
思った以上に和やかな朝食の席で帰りがけにそう声を掛けられた。
いつでも泊まっていってって·····それでいいの?緩過ぎない?
チラリとアイザックを見ると、婚約者同士仲良くしてるから喜んでるんだ。と言う。
そういう問題じゃなくない?
「ジュリエッタの着替えも王宮に用意しておかなきゃねぇ」
なんていう王妃陛下と王太子妃殿下の会話が聞こえてきた。·····嘘でしょ?
その後アイザックに侯爵邸まで送ってもらって帰ると、出迎えてくれた両親と兄夫婦や執事にも生暖かい目で迎えられた。
まだデビュタント前の結婚前の娘が、婚約者のところにお泊まりだよ?叱ったりしない?
この世界ってやっぱり18禁の世界だからなのかな、緩過ぎるんだけど。
ていうか、体調崩したって言付けだったのに、あの様子だと、やっぱり体調崩したなんて思われてないよねぇ。
ちょっと待ってろと、素早くトラウザーズを履いたアイザックが隣の部屋に用意させたらしい軽食をトレイに乗せて戻ってきた。
サンドウィッチやフルーツ、スープなど軽く食べられる物だ。
こういうのをさりげなく出来るところが王子様たる所以なのか。
「美味しい」
シーツを身体に巻き付け、ベッドに座り脇のサイドテーブルに乗せられたサンドウィッチを摘みながら
「そういえば、王宮に泊まると言いましたが、部屋を用意してくださったのですか?」
「いや?」
同じようにサンドウィッチを摘むアイザックが首を振る。
「では帰れと?」
「泊まると言っただろうが」
「どこに寝ろと?」
「ここで寝ればいい」
「··········アイザック様はどこで寝るんですか」
「ここで寝るが?」
「····················はぁ?」
「俺にどこで寝ろと言うんだ」
「ソファーがあるじゃないですか」
人が1人くらい余裕で寝られるくらいの立派なソファーが。
「·····お前」
はぁぁ、と大きな溜め息を吐きながら首を振ったアイザックは、サンドウィッチを口に放り込んでスープを飲む。
乱雑に見えてもしっかりと躾られたその仕草は優雅で決して下品には見えない。
「その話は後だ。とりあえず食べたら湯浴みをしてこい。シャワールームに準備がしてある」
食事を済ませて、アイザックの私室にあるシャワールームへと入った。
浴槽にはお湯が張られていてミルクの入浴剤が入っている。
着替えのナイトドレスまで用意されている。
「あ、アイザック様、私が出てくるまで寝室から出ないでくださいませね」
そう言ってシャワールームの扉を閉めると、バサリとシーツを剥ぎ取る。
シャワーを浴び髪を洗って、ボディソープで隅々まで綺麗にすると、ゆっくりとお湯に浸かり
「気持ちいい··········」 じゃなくて────────何でこんな事になってるの、どういう事!? 私の事、好みだなんて言ってたわよね··········
ヒロインの可愛らしい顔、華奢で小柄な儚げな身体、天真爛漫で健気な性格、その全てが愛おしいと言う王子様。
あくまでゲームの王子様とアイザックは別だと考えるべきなのか、特段私が特別な行動をしていたわけではないから、やっぱりヒロインの行動で変わってきているのか·····うーーーん、わからないなぁ··········
────────まあいいか、なるようになるよね。
私は私で楽観的で流されやすい質だったのだ。
浴槽から出てバスタオルで綺麗に水分を拭うと、ナイトドレスを身に付けた。薄手の上質な生地で着心地がとても良かった。
シャワーから上がった事をアイザックに告げると、寝室から出てきたアイザックは、ナイトドレスを着た私をジッと見てシャワールームに入って行った。
何かしら、まさか、後悔してたんじゃないでしょうね
別の意味で後悔したアイザックが、シャワールームで頭を抱えていた事を、私は知らない。
シャワーから出てきたアイザックと、どこで寝るのか揉めに揉め、私の抵抗も虚しく結局同じベッドで寝る事になってしまった。
なるべく隅に寄って距離を取り、色々疲れていたのか私はすぐに眠ってしまったみたいなんだけど────────何故こんな事になっているのか
何で抱きしめられてるのーーー!?
私にガッチリと腕を回して眠っているアイザックの腕から脱出しようと藻掻いていると、クックックッと笑い声が·····恐る恐る視線を移すと、目を細めて笑っているアイザックと、バッチリと目が合ってしまった
ギャーーーー、心の中で悲鳴をあげる。
というか、「何で裸で寝てるんですかーー!?」
「下は履いてるけど?」
しれっと返すアイザックを睨む。
「そんな問題じゃないんですよ」
程よく鍛えられしなやかな筋肉の付いた身体から目を逸らしながら、早く服を着てくださいと促す。
私の服は、シャワールームの近くに、一晩のうちにクリーニングして綺麗にプレスされた制服がハンガーに掛けられていた。流石王宮の使用人。
両陛下と王太子夫妻も集まっている朝食の席に案内される。
お会いした事は何度もあったけどそんな席に呼ばれて大丈夫なの?婚約者でしかない私が泊まっていたのって、かなり問題ない?
ドキドキビクビクしながらアイザックと共に席に着くと、とても生暖かいにこやかな視線を向けられていた。
「ジュリエッタ、いつでも王宮に泊まっていってちょうだいね」
「はい、ありがとうございます」
思った以上に和やかな朝食の席で帰りがけにそう声を掛けられた。
いつでも泊まっていってって·····それでいいの?緩過ぎない?
チラリとアイザックを見ると、婚約者同士仲良くしてるから喜んでるんだ。と言う。
そういう問題じゃなくない?
「ジュリエッタの着替えも王宮に用意しておかなきゃねぇ」
なんていう王妃陛下と王太子妃殿下の会話が聞こえてきた。·····嘘でしょ?
その後アイザックに侯爵邸まで送ってもらって帰ると、出迎えてくれた両親と兄夫婦や執事にも生暖かい目で迎えられた。
まだデビュタント前の結婚前の娘が、婚約者のところにお泊まりだよ?叱ったりしない?
この世界ってやっぱり18禁の世界だからなのかな、緩過ぎるんだけど。
ていうか、体調崩したって言付けだったのに、あの様子だと、やっぱり体調崩したなんて思われてないよねぇ。
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