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翌朝も迎えにきたアイザックの馬車に乗っていると、思わず恨めしそうにジトリと睨みつけてしまう。
昨日あれから細かい所も思い出したのよ。
それで色々考えてしまったわ。
『最愛の恋人、未来の王妃に対して害をなそうとした。拷問をし市中引き回しの上で公開処刑と決めていたのだが、ミーフィアが可哀想だからと止めるんだ。こんな女にまで慈悲をかけるとは本当に優しい。感謝するんだな』
陵辱させる前の悪役令嬢に対して王子様が言ったのよ。
婚約者を奪ったヒロインに感謝出来るわけないよねぇ。
ヒロインは王子様達とあんな事やら致して純潔じゃなくなってるけど、一途に王子様だけ追いかけてた悪役令嬢は処女だったのよ。
それを目の前で複数の男に陵辱されたんだから、そりゃ心も壊れるよ。
処女じゃないから襲わせてもいいとかじゃないけどさ。悪役令嬢のした事やしようとした事は酷いよ。でもさ、だいたい、そこまでやらせたのって、王子様のせいじゃない?
プレイしてた時はヒロイン目線で考えてたから、悪役令嬢酷い最低、非道になってヒロイン守る王子様良い!、だったけど、別目線から見たらヒロインと王子様酷い最低、だわ。
仮にも婚約者だった令嬢を陵辱させて娼館に売り飛ばす、って、非常過ぎない?
ヒロインは未遂で終わるんだよ。
婚約者がいながら、別の女を『最愛の恋人』って呼んでキスして見せたり、不実な男じゃん、不実王子め。
そんな事を考えてムカついていたものだから、思わず睨んじゃったわ。
「なんだ。何か言いたい事でもあるのか?」
私の視線にアイザックが気づいてしまったらしい。
「いえ、何も」
「さっきからジッと睨んでるだろ、何か言いたかったら言え」
「··········少し寝不足なもので」
言いたい事はあるけど、それはプレイしてた中の王子様にであって、"まだ"何もしていないアイザックに言えるわけがない。
グイッと、何故か隣に移動してきたアイザックに引かれて肩に頭を乗せるような体勢になった。
「寝不足なら、着くまで寝てろ」
肩を抱かれて密着するようにアイザックの肩に頭を乗せた私は、パニックになりそうだった。
え?何?どういう事?まだヒロインとの絡みがないから? でも悪役令嬢は、王子様に一度も触れられた事がないっていう描写あったよねぇ。
王子様が悪役令嬢に触れるのは、ヒロインを庇って悪役令嬢を押し退ける時だけだったって。
どうしたらいいの?払い除けるのも違うような気もするし。
パニックになりながらも、確かに実際寝不足だったというのもあって、体温と馬車の揺れが心地よくていつの間にか眠ってしまったようだった。
「··········い、おい、ジュリエッタ、着いたぞ」
揺り起こされて微睡みから覚めると、手を引いて馬車から降ろされ、ふらつく私の腰を抱いたアイザックに連れられて学園に入っていった。
「アイザック殿下とジュリエッタ様、仲がよろしいのねぇ」
「素敵ですわねぇ」
「アイザック殿下お優しいのですわねぇ」
傍から見れば、仲良く寄り添っているように見えるらしく、令嬢達がきゃあきゃあとざわめく。
私は内心真っ青だ。婚約してから大した交流もしていないし、仲は別に悪くはないが良くもない。大体この人は、鬼畜不実王子のアイザックである。学園を卒業する前に私を地獄に突き落とすかもしれないのだ。
まあ、ヒロインを虐めたり破落戸に襲わせるような事をする予定はないけれども。
淑女の仮面を被り微笑みを貼り付けながら廊下を歩くと、教室の入り口のところでアイザックの腕から逃げる。逃げるように体を離した私に
「大人しく席まで連れて行かれろよ。大丈夫なのか?」
「え、ええ、もう大丈夫ですわ。ありがとうございます」
アイザックの態度にビクビクしてしまう。
そういえばさっき隣の教室の前を通りがかりにチラリと見れば、ヒロインが他の令嬢と楽しそうに笑っていたけれど、あのゲームでは確かヒロインは女友達が一人も出来ないとあったはずだけど·····やっぱりヒロインも生まれ変わりで、ゲームとは違う行動をしていると考えるべきかしら。
昨日あれから細かい所も思い出したのよ。
それで色々考えてしまったわ。
『最愛の恋人、未来の王妃に対して害をなそうとした。拷問をし市中引き回しの上で公開処刑と決めていたのだが、ミーフィアが可哀想だからと止めるんだ。こんな女にまで慈悲をかけるとは本当に優しい。感謝するんだな』
陵辱させる前の悪役令嬢に対して王子様が言ったのよ。
婚約者を奪ったヒロインに感謝出来るわけないよねぇ。
ヒロインは王子様達とあんな事やら致して純潔じゃなくなってるけど、一途に王子様だけ追いかけてた悪役令嬢は処女だったのよ。
それを目の前で複数の男に陵辱されたんだから、そりゃ心も壊れるよ。
処女じゃないから襲わせてもいいとかじゃないけどさ。悪役令嬢のした事やしようとした事は酷いよ。でもさ、だいたい、そこまでやらせたのって、王子様のせいじゃない?
プレイしてた時はヒロイン目線で考えてたから、悪役令嬢酷い最低、非道になってヒロイン守る王子様良い!、だったけど、別目線から見たらヒロインと王子様酷い最低、だわ。
仮にも婚約者だった令嬢を陵辱させて娼館に売り飛ばす、って、非常過ぎない?
ヒロインは未遂で終わるんだよ。
婚約者がいながら、別の女を『最愛の恋人』って呼んでキスして見せたり、不実な男じゃん、不実王子め。
そんな事を考えてムカついていたものだから、思わず睨んじゃったわ。
「なんだ。何か言いたい事でもあるのか?」
私の視線にアイザックが気づいてしまったらしい。
「いえ、何も」
「さっきからジッと睨んでるだろ、何か言いたかったら言え」
「··········少し寝不足なもので」
言いたい事はあるけど、それはプレイしてた中の王子様にであって、"まだ"何もしていないアイザックに言えるわけがない。
グイッと、何故か隣に移動してきたアイザックに引かれて肩に頭を乗せるような体勢になった。
「寝不足なら、着くまで寝てろ」
肩を抱かれて密着するようにアイザックの肩に頭を乗せた私は、パニックになりそうだった。
え?何?どういう事?まだヒロインとの絡みがないから? でも悪役令嬢は、王子様に一度も触れられた事がないっていう描写あったよねぇ。
王子様が悪役令嬢に触れるのは、ヒロインを庇って悪役令嬢を押し退ける時だけだったって。
どうしたらいいの?払い除けるのも違うような気もするし。
パニックになりながらも、確かに実際寝不足だったというのもあって、体温と馬車の揺れが心地よくていつの間にか眠ってしまったようだった。
「··········い、おい、ジュリエッタ、着いたぞ」
揺り起こされて微睡みから覚めると、手を引いて馬車から降ろされ、ふらつく私の腰を抱いたアイザックに連れられて学園に入っていった。
「アイザック殿下とジュリエッタ様、仲がよろしいのねぇ」
「素敵ですわねぇ」
「アイザック殿下お優しいのですわねぇ」
傍から見れば、仲良く寄り添っているように見えるらしく、令嬢達がきゃあきゃあとざわめく。
私は内心真っ青だ。婚約してから大した交流もしていないし、仲は別に悪くはないが良くもない。大体この人は、鬼畜不実王子のアイザックである。学園を卒業する前に私を地獄に突き落とすかもしれないのだ。
まあ、ヒロインを虐めたり破落戸に襲わせるような事をする予定はないけれども。
淑女の仮面を被り微笑みを貼り付けながら廊下を歩くと、教室の入り口のところでアイザックの腕から逃げる。逃げるように体を離した私に
「大人しく席まで連れて行かれろよ。大丈夫なのか?」
「え、ええ、もう大丈夫ですわ。ありがとうございます」
アイザックの態度にビクビクしてしまう。
そういえばさっき隣の教室の前を通りがかりにチラリと見れば、ヒロインが他の令嬢と楽しそうに笑っていたけれど、あのゲームでは確かヒロインは女友達が一人も出来ないとあったはずだけど·····やっぱりヒロインも生まれ変わりで、ゲームとは違う行動をしていると考えるべきかしら。
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