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続・聖女は友達が欲しい

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 その後も嫁いだ娘達の産んだ孫は男の子ばかりで、唯一の孫娘であるノルンが可愛くて可愛くて仕方ないフォルシオン公爵は、何かとノルンを貴族のパーティーに連れていきました。
 かわいい孫娘を自慢したいのです。
 とにかく、日に日にかわいく成長していくノルンを皆に見せたくて仕方ないのです。

 多くて月に1回、少なくても2~3ヶ月に1回は祖父に連れられてノルンは貴族達のパーティーに出席させられました。
 聖女として旅立つまでの日々と、お務めを果たした今でも、それは変わりません。
 つい先日も夜会に連れて行かれました。

 ノルンを一目見た貴族のご子息達は皆、ノルンに求婚してきました。
 フォルシオン公爵は孫娘を自慢したいだけなので、ノルンに婚約の打診があってもその事を伝える事すらせず、必ず断ってきました。
 そしてノルンと同年代のご令嬢達は、ノルンが求婚される事で自分達に誰からも婚約の申し出が来ない為、ますますノルンを毛嫌いします。
 ノルン自身も貴族達の駆け引きや紳士淑女の振る舞いが嫌いで嫌いでたまりません。
 これでは仲良くなんてなれる訳がありませんね。

 ノルンの不幸はこれだけでは終わりません。
 一応、この世界にも学校があり、ノルンも12才までは学校に通っていました。
 この世界の学校は成績が良ければ、進級と卒業がいつでも出来ます。
 真に優秀な人材は社会の即戦力にするよう、そうなっているのです。

 ノルンはこう見えて成績優秀なのです。
 精神年齢の幼さからとてもそうは見えませんが、飛び級を繰り返し12才で卒業してしまいました。
 その気があればもう少し学生生活を続けられたのですが、貴族のご子息ご令嬢ばかりの学校生活がいやだったんでしょうね。
 必要な単位を取って、さっさと卒業手続きを済ませてしまいました。

 学生生活が終わったノルンは実家で神官見習いをしながら、相変わらずたまに貴族達のパーティーに出席させられたりしながら、日々を過ごします。
 ミリシャル神殿に同年代の子供は平日は学校でまず来ませんし、休日に親に連れられてやってきても、わざわざ家のお手伝いをしている神殿の子の邪魔をしたりしません。

 周囲に可愛がってくれる大人が大勢いたのと、まだ前世の母だと知らない幼馴染みのレイリィ王女がいたので、ノルンが寂しいと思う事がなかったのは幸いでした。

 そうこうしている内に悪魔が現れ、ノルンは私を手にして聖女に覚醒しました。
 そして一年半の旅でノルンは大勢の人々と出会いましたが、本当のノルンと触れ合った人はいませんでした……。
 皆、儚げで可憐な思わず守ってあげたくなる、お淑やかな聖女のノルンしか知りません。
 他国の同年代のお姫様とも知り合いましたが、厳しい淑女教育によるノルンの淑女モードと聖女の使命は、彼女との友情を育ませる事さえさせませんでした。

 おわかりいただけましたでしょうか。
 ラインハルト様と私の大切な聖女ノルンは友達がいません。
 いないのです……。

 「ノルン。友達が欲しいなら作ればいいんじゃないかな。ノルンならすぐに」
 「友達ってどうやって作るの?」
 「え?あ、いや、そこから?」

 ラインハルト様はどう答えたものかと頭を悩ませます。

 「だーりんは同年代の友達とかいるの?」
 「え?まあいると言えばいるかな。故郷に幼馴染みがいるし、レイリィとガリアードも友と言えば友だし。あと勇者になる前に何人か出来」
 「ずるい!!だーりんばっかりずるいー!!」

 ノルンがご友人のいるラインハルト様を羨み、彼の言葉を遮りそう叫びます。

 「いや、ずるいと言われても……。困ったなあ……」
 「ぼくも友達欲しいー!!」

 お金で買える物とかならともかく、こればかりはどうしようもありません。
 ラインハルト様は困った顔をしつつ、友達を欲しがるノルンを宥めるのでした。
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