49 / 101
続・聖女は友達が欲しい
しおりを挟む
その後も嫁いだ娘達の産んだ孫は男の子ばかりで、唯一の孫娘であるノルンが可愛くて可愛くて仕方ないフォルシオン公爵は、何かとノルンを貴族のパーティーに連れていきました。
かわいい孫娘を自慢したいのです。
とにかく、日に日にかわいく成長していくノルンを皆に見せたくて仕方ないのです。
多くて月に1回、少なくても2~3ヶ月に1回は祖父に連れられてノルンは貴族達のパーティーに出席させられました。
聖女として旅立つまでの日々と、お務めを果たした今でも、それは変わりません。
つい先日も夜会に連れて行かれました。
ノルンを一目見た貴族のご子息達は皆、ノルンに求婚してきました。
フォルシオン公爵は孫娘を自慢したいだけなので、ノルンに婚約の打診があってもその事を伝える事すらせず、必ず断ってきました。
そしてノルンと同年代のご令嬢達は、ノルンが求婚される事で自分達に誰からも婚約の申し出が来ない為、ますますノルンを毛嫌いします。
ノルン自身も貴族達の駆け引きや紳士淑女の振る舞いが嫌いで嫌いでたまりません。
これでは仲良くなんてなれる訳がありませんね。
ノルンの不幸はこれだけでは終わりません。
一応、この世界にも学校があり、ノルンも12才までは学校に通っていました。
この世界の学校は成績が良ければ、進級と卒業がいつでも出来ます。
真に優秀な人材は社会の即戦力にするよう、そうなっているのです。
ノルンはこう見えて成績優秀なのです。
精神年齢の幼さからとてもそうは見えませんが、飛び級を繰り返し12才で卒業してしまいました。
その気があればもう少し学生生活を続けられたのですが、貴族のご子息ご令嬢ばかりの学校生活がいやだったんでしょうね。
必要な単位を取って、さっさと卒業手続きを済ませてしまいました。
学生生活が終わったノルンは実家で神官見習いをしながら、相変わらずたまに貴族達のパーティーに出席させられたりしながら、日々を過ごします。
ミリシャル神殿に同年代の子供は平日は学校でまず来ませんし、休日に親に連れられてやってきても、わざわざ家のお手伝いをしている神殿の子の邪魔をしたりしません。
周囲に可愛がってくれる大人が大勢いたのと、まだ前世の母だと知らない幼馴染みのレイリィ王女がいたので、ノルンが寂しいと思う事がなかったのは幸いでした。
そうこうしている内に悪魔が現れ、ノルンは私を手にして聖女に覚醒しました。
そして一年半の旅でノルンは大勢の人々と出会いましたが、本当のノルンと触れ合った人はいませんでした……。
皆、儚げで可憐な思わず守ってあげたくなる、お淑やかな聖女のノルンしか知りません。
他国の同年代のお姫様とも知り合いましたが、厳しい淑女教育によるノルンの淑女モードと聖女の使命は、彼女との友情を育ませる事さえさせませんでした。
おわかりいただけましたでしょうか。
ラインハルト様と私の大切な聖女は友達がいません。
いないのです……。
「ノルン。友達が欲しいなら作ればいいんじゃないかな。ノルンならすぐに」
「友達ってどうやって作るの?」
「え?あ、いや、そこから?」
ラインハルト様はどう答えたものかと頭を悩ませます。
「だーりんは同年代の友達とかいるの?」
「え?まあいると言えばいるかな。故郷に幼馴染みがいるし、レイリィとガリアードも友と言えば友だし。あと勇者になる前に何人か出来」
「ずるい!!だーりんばっかりずるいー!!」
ノルンがご友人のいるラインハルト様を羨み、彼の言葉を遮りそう叫びます。
「いや、ずるいと言われても……。困ったなあ……」
「ぼくも友達欲しいー!!」
お金で買える物とかならともかく、こればかりはどうしようもありません。
ラインハルト様は困った顔をしつつ、友達を欲しがるノルンを宥めるのでした。
かわいい孫娘を自慢したいのです。
とにかく、日に日にかわいく成長していくノルンを皆に見せたくて仕方ないのです。
多くて月に1回、少なくても2~3ヶ月に1回は祖父に連れられてノルンは貴族達のパーティーに出席させられました。
聖女として旅立つまでの日々と、お務めを果たした今でも、それは変わりません。
つい先日も夜会に連れて行かれました。
ノルンを一目見た貴族のご子息達は皆、ノルンに求婚してきました。
フォルシオン公爵は孫娘を自慢したいだけなので、ノルンに婚約の打診があってもその事を伝える事すらせず、必ず断ってきました。
そしてノルンと同年代のご令嬢達は、ノルンが求婚される事で自分達に誰からも婚約の申し出が来ない為、ますますノルンを毛嫌いします。
ノルン自身も貴族達の駆け引きや紳士淑女の振る舞いが嫌いで嫌いでたまりません。
これでは仲良くなんてなれる訳がありませんね。
ノルンの不幸はこれだけでは終わりません。
一応、この世界にも学校があり、ノルンも12才までは学校に通っていました。
この世界の学校は成績が良ければ、進級と卒業がいつでも出来ます。
真に優秀な人材は社会の即戦力にするよう、そうなっているのです。
ノルンはこう見えて成績優秀なのです。
精神年齢の幼さからとてもそうは見えませんが、飛び級を繰り返し12才で卒業してしまいました。
その気があればもう少し学生生活を続けられたのですが、貴族のご子息ご令嬢ばかりの学校生活がいやだったんでしょうね。
必要な単位を取って、さっさと卒業手続きを済ませてしまいました。
学生生活が終わったノルンは実家で神官見習いをしながら、相変わらずたまに貴族達のパーティーに出席させられたりしながら、日々を過ごします。
ミリシャル神殿に同年代の子供は平日は学校でまず来ませんし、休日に親に連れられてやってきても、わざわざ家のお手伝いをしている神殿の子の邪魔をしたりしません。
周囲に可愛がってくれる大人が大勢いたのと、まだ前世の母だと知らない幼馴染みのレイリィ王女がいたので、ノルンが寂しいと思う事がなかったのは幸いでした。
そうこうしている内に悪魔が現れ、ノルンは私を手にして聖女に覚醒しました。
そして一年半の旅でノルンは大勢の人々と出会いましたが、本当のノルンと触れ合った人はいませんでした……。
皆、儚げで可憐な思わず守ってあげたくなる、お淑やかな聖女のノルンしか知りません。
他国の同年代のお姫様とも知り合いましたが、厳しい淑女教育によるノルンの淑女モードと聖女の使命は、彼女との友情を育ませる事さえさせませんでした。
おわかりいただけましたでしょうか。
ラインハルト様と私の大切な聖女は友達がいません。
いないのです……。
「ノルン。友達が欲しいなら作ればいいんじゃないかな。ノルンならすぐに」
「友達ってどうやって作るの?」
「え?あ、いや、そこから?」
ラインハルト様はどう答えたものかと頭を悩ませます。
「だーりんは同年代の友達とかいるの?」
「え?まあいると言えばいるかな。故郷に幼馴染みがいるし、レイリィとガリアードも友と言えば友だし。あと勇者になる前に何人か出来」
「ずるい!!だーりんばっかりずるいー!!」
ノルンがご友人のいるラインハルト様を羨み、彼の言葉を遮りそう叫びます。
「いや、ずるいと言われても……。困ったなあ……」
「ぼくも友達欲しいー!!」
お金で買える物とかならともかく、こればかりはどうしようもありません。
ラインハルト様は困った顔をしつつ、友達を欲しがるノルンを宥めるのでした。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる