19 / 101
19.かわいいあの子
しおりを挟む
片手にバスケットを引っかけ、小さな仔猫を抱いた女の子が、額から血を流してる俺を見て、慌てて回復魔法をかけ怪我を治療してくれる。
暖かく優しい癒やしの光を浴びながら、目の前の儚げで可憐な女の子に見惚れていると、腹の虫が大きく鳴った。
俺が腹を空かせている事に気づいた彼女は、俺に持っていたバスケットを差し出して言った。
「あ、あの。もしよろしければどうぞ。私が作った物なので、お口にあわないかもしれませんが……。ご迷惑をおかけしたお詫びに受け取ってください」
そう言って俺にバスケットを渡すと、女の子は俺に何度も頭を下げて去って行った。
残された俺はバスケットの中に入っていた弁当と、飲み物が入った水筒を見て夢中になって食べた。
女の子の物だから量が少な目だったが、空腹を紛らわすには丁度良かった。
とても美味しい弁当を食べ終わり、水筒のお茶を飲み干してから、水筒に書かれた名前に気がついた。
ノルン・フォルシオン。
それが俺の上に落ちてきた天使の名前らしい。
その後何とか日雇いの仕事を見つけた俺は幾らか稼ぐ事が出来た。
ただ、仕事をしてる時も、休んでいる時もずっと、ノルンと言う名の女の子の事が、頭から離れなかった。
どうにか懐に余裕が出来た俺は、彼女にバスケットと新しく購入した水筒を返そうと思い、彼女を探し始めた。
あんなにかわいい子なら、誰かに聞けば居場所がすぐわかるかもしれない。
そう思いとりあえずたまたま俺の近くを散歩をしていた老人に、彼女の特徴を話して駄目元で尋ねてみたら、あっさりと居場所がわかった。
どうやら彼女は、ミリシャル神殿を管理している、高名な聖女の孫娘らしい。
居場所を突き止めた俺は早速、彼女に会いに行った。
「こんにちは。先日はお弁当ありがとう。とても美味しかったよ」
そう言って、弁当の入っていたバスケットと新しく購入してきた水筒を渡すと、彼女は俺に微笑んでくれたのだった。
「旅人さんはどこから来られたんですか?」
バスケットと水筒を返した俺は、年齢の割に丁寧な言葉遣いをする彼女と他愛もない世間話をした。
何気ない会話の中で彼女、ノルンが13歳で俺の3つ年下である事、祖母に育てられていて、神官見習いの身である事などを知った。
ふと、修道女でなく神官なら、普通に結婚出来るなと思ってしまった。
俺はどうやら、このかわいらしい女の子の事が、気になって気になって仕方ないらしい事をこの時自覚した。
暖かく優しい癒やしの光を浴びながら、目の前の儚げで可憐な女の子に見惚れていると、腹の虫が大きく鳴った。
俺が腹を空かせている事に気づいた彼女は、俺に持っていたバスケットを差し出して言った。
「あ、あの。もしよろしければどうぞ。私が作った物なので、お口にあわないかもしれませんが……。ご迷惑をおかけしたお詫びに受け取ってください」
そう言って俺にバスケットを渡すと、女の子は俺に何度も頭を下げて去って行った。
残された俺はバスケットの中に入っていた弁当と、飲み物が入った水筒を見て夢中になって食べた。
女の子の物だから量が少な目だったが、空腹を紛らわすには丁度良かった。
とても美味しい弁当を食べ終わり、水筒のお茶を飲み干してから、水筒に書かれた名前に気がついた。
ノルン・フォルシオン。
それが俺の上に落ちてきた天使の名前らしい。
その後何とか日雇いの仕事を見つけた俺は幾らか稼ぐ事が出来た。
ただ、仕事をしてる時も、休んでいる時もずっと、ノルンと言う名の女の子の事が、頭から離れなかった。
どうにか懐に余裕が出来た俺は、彼女にバスケットと新しく購入した水筒を返そうと思い、彼女を探し始めた。
あんなにかわいい子なら、誰かに聞けば居場所がすぐわかるかもしれない。
そう思いとりあえずたまたま俺の近くを散歩をしていた老人に、彼女の特徴を話して駄目元で尋ねてみたら、あっさりと居場所がわかった。
どうやら彼女は、ミリシャル神殿を管理している、高名な聖女の孫娘らしい。
居場所を突き止めた俺は早速、彼女に会いに行った。
「こんにちは。先日はお弁当ありがとう。とても美味しかったよ」
そう言って、弁当の入っていたバスケットと新しく購入してきた水筒を渡すと、彼女は俺に微笑んでくれたのだった。
「旅人さんはどこから来られたんですか?」
バスケットと水筒を返した俺は、年齢の割に丁寧な言葉遣いをする彼女と他愛もない世間話をした。
何気ない会話の中で彼女、ノルンが13歳で俺の3つ年下である事、祖母に育てられていて、神官見習いの身である事などを知った。
ふと、修道女でなく神官なら、普通に結婚出来るなと思ってしまった。
俺はどうやら、このかわいらしい女の子の事が、気になって気になって仕方ないらしい事をこの時自覚した。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる