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第2夜 冒険者達と僕
《02-5》
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††
「暴虐の破龍か、推定LV.90か。」
「そうだ、推定LV.90の怪物がアルス山脈の麓に度々現れ、多くの冒険者が犠牲になっている。この依頼、受けてくれるか?」
部屋の一室で、やたらと眼光の鋭いローブ姿の中年男性と、顔に大きな傷を持つ防具を身にまとった中年男性が話していた。
「アルス山脈……魔の山にこの季節でLV.90の怪物、ときたか。あんたとの間柄じゃなきゃ受けたくねえな。」
疵面の男は頭をぼりぼりと掻き毟り、黒い毛に覆われた獣のような耳を引っ張った。
「それじゃ、ガリオン。」
眼光の鋭い中年男は、横に伸びた尖った耳をひくっと動かす。
「ああ、やってやるさ。きっちり狩って素っ首持ってきてやるよ。」
「いや、首はいらん。」
二人の中年男がニヤつき、疵面の男はちらっと背後に立つ、武装した背の高い女に目をやった。
「アリサ、久々の大物だ。」
「ああ、私の地獄の焔で穴だらけにしてやるさ。」
アリサと呼ばれた女は、言いながら手に赤い筒のような武器─機械弩弓を構えガリオンに向ける。
「バ、バカヤロッ、こっちに向けるなぁ!」
慌てて二人が射出口から飛び退いた。
「ゴメン」
女は機械弩弓の射出口を上にあげ、愛くるしい仕草でぺろりと舌を出し、尻から生えたフサフサの尻尾をくねらせた。
ハァッと息を吐きだす傍から、凍っていくような厳寒の季節。ネクスが現在の気温が氷点下だってことを教えてくれる。
僕は木の上から徐ろに地上の雪景色を見渡し、その中に変化を探していた。
いつもの防具の上に、冬用に貰ったマントをかぶっている。これが結構暖かい、風はそれほど強くないけど、寒さは殆ど感じない。マントのお陰もあるけど、多分ネクスの肉体改造の効果も有るんだろうな。
「ズームアップ」
僕が命令すると、眼の構造が変化していく。角膜や水晶体が調整され、視力が高められて地上の景色が数倍にもズームアップされていく。
「見つけた。」
白い森のなかを辿る獣道の中に、転々と続く足跡があった。静かに舞い散り何もかも消しさろうとする雪に消されていない、新しい足跡だ。消されていないってことは、其処を通ってからまだ時間が経っていない事を示している。
僕は猿のように枝を伝って樹木から舞い降り、足跡に鼻を寄せた。
「嗅覚感度アップ」
人の嗅覚では捉えられない野生の匂いを嗅ぎ分ける。この匂いはブルホワイト・ベアーか。
ブルホワイト・ベアーは体長が4メートル位、僕の背の高さのざっと3倍近く有るモンスター種だ。そこ、逆算しない、ちびっ子とかいうな。3年たっても何故か成長しないんだよっ!
ネクスに聞いても、難しい話をして誤魔化すし、なんかこいつ隠してるっぽい。
それはそうとブルホワイト・ベアーだ。
ここアルス山脈のモンスターとしては中の下ってところかな。弱くもなく強くもない感じ、でもこの季節だと蓄えた脂肪がたっぷりで、肉に脂が乗ってて柔らかいし、とっても美味しいんだよ♪
今日はご馳走かな。
ぐぅぅぅ~~っ
あ~ブルホワイト・ベアーのお肉の味を思い出したら、お腹が鳴ってきたよ。早速行こうか。
再び跳び上がり巨木の枝をつたい、雪の積もった枝を蹴って隣の大木へと飛び移り、アイツの足跡が消えないうちに追いかけた。
ふごっふごっふごっ
しばらく大木の枝を渡り、あいつの足跡を追っていくと、ブルホワイト・ベアーの鳴き声が聞こえた。視界に捉えると、アイツは木の根っ子を掘り返して、なにかを食べている。多分キノコか、または冬眠中の動物辺りでも喰ってるのかな。雪が赤く染まってるから動物だろう。
これも自然の摂理、弱者は喰われるだけ。そして僕がブルホワイト・ベアーを美味しく頂いてあげるからね。えへ。
僕はブルホワイト・ベアーの背中に向けて、枝から飛び降りた。手にはサバイバルナイフを煌めかせ、一気に首筋へと振り下ろした。
「GAUHHH!」
ナイフが突き刺さる前に振り向いた。気づかれたか。
ブルホワイト・ベアーは振り向きざまに前足を振り、鋭い爪を僕に向けた。
バンッ!!
僕は向きを変えて、襲ってきた前足を蹴り上げ反転した。
「あっぶね~~。」
危うく切り裂かれるところだった。んや、ちょっと掠った。足が少し切り裂かれて血が滴ってる。失敗したなぁ。直ぐに修復が開始され、切れた箇所の血が止まって肉が癒着し始めてる。いい仕事してるよ。
しかしこいつやたらと敏捷性が高いな。かなりレベルが高そうだね。
雪の上に降りたら、ズボッと音がして膝上辺りまで雪に埋もれてしまった。はぁ~やっぱ地上に降りるとこうなっちゃうな。もうちょっと背が欲しいなぁ。
じろっと睨みつけ、ブルホワイト・ベアーを分析した。と言っても分析はネクスがやるんだけどね。
細かいことは解らないけど、ネクスはナノマシンを制御して、僕の五感を強化したりとか、静止衛星が観察するデータ、他にも大気中の"魔素"を操って対象を観察し分析する手法を構築したらしい。
なんかお前、魔法使いみたいじゃない?
《ブルホワイト・ベアーの解析結果報告です。
名前: ブルホワイト・ベアー 種族: 白羆熊種 Lv.66
生命力: 9,912 魔力: 111 以上》
Lv.66か。さっきの敏捷性もそれなら納得がいく。ブルホワイト・ベアーとすれば生命力もやたら高いし、成獣ってところかな。
因みにレベルはこの世界の"倭人"達の測定単位を参考にしてるみたい。ネクスは僕の知らないところで、色々観察してデータを貯めこんでるんだろうね。宇宙空間から街の様子も観察し、人々の生活を探っているらしい。
でも僕もミスしたな。お腹空いてたから焦ってたのかな~、僅かに殺気を漏らしちゃったみたいだ。
「GARURURURURHH!」
ブルホワイト・ベアーが真っ赤に染まった眼を僕に向けて、襲いかかってくる。コイツは強靭な四肢を持ってるから、雪に埋もれても屁でもないよね~。やっぱ背が欲しいかも。
雪を舞い上げて僕に向かってくると、大きな身体で伸し掛かってくる。体重は軽く1トンとか2トンとか有るんだろうね。
《推定1.3トンです》
はいはい解った。理解した、どっちにしても潰されたらいくら雪がクッションになっても潰れちゃうよ。
僕はその場でしゃがみ込んで反動をつけ、両前足を広げて覆いかぶさる様に向かってきたブルホワイト・ベアーに向けて跳び上がり、握りしめた拳をブルホワイト・ベアーの下顎にヒットさせた。
「BUGAAHH!」
開かれた顎門が無理やり閉じられ、でっかい身体がもんどりを打ってひっくり返った。
割りとパンチ力有るでしょ。今の状態でパンチングマシンとかやってみたいよ。って、今のナイフで首を突き刺してたら終わりじゃね?アホか僕は……
さて気を取り直して、積雪を押しつぶし転がるブルホワイト・ベアーを追って、奴が起き上がろうとしたところで、奴の背に跳び乗った。
ああ~~~~~~これぇぇぇ~~
気持ちよいフサフサの毛皮~~~
冬のブルホワイト・ベアーは、毛足が長くてフサフサしててとても気持ちいいんだよね~。これって剥いで毛布にしたら寝心地いいかも~。ああ~~~このままモフモフしていたい~~
なんて感じ入ってる場合じゃなくてぇ、僕はむんずと毛皮を掴み、振り落とされないように身体を固定して、背後から首に向けてナイフを突き刺した。
「GOAAAHHHHHH!!」
悲鳴を上げ首から噴水のように血を吹き出すブルホワイト・ベアー。でもこれで終わりじゃ無い。血抜きは大事なのです。ナイフを刺した手を反対まで回して一気に切り裂いた。
「GUGOBOTHGOBOBOBOBO」
いっそう激しく血が溢れ、口からも血の泡を吹いている。
だけどこいつはそれでも死なない。
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「暴虐の破龍か、推定LV.90か。」
「そうだ、推定LV.90の怪物がアルス山脈の麓に度々現れ、多くの冒険者が犠牲になっている。この依頼、受けてくれるか?」
部屋の一室で、やたらと眼光の鋭いローブ姿の中年男性と、顔に大きな傷を持つ防具を身にまとった中年男性が話していた。
「アルス山脈……魔の山にこの季節でLV.90の怪物、ときたか。あんたとの間柄じゃなきゃ受けたくねえな。」
疵面の男は頭をぼりぼりと掻き毟り、黒い毛に覆われた獣のような耳を引っ張った。
「それじゃ、ガリオン。」
眼光の鋭い中年男は、横に伸びた尖った耳をひくっと動かす。
「ああ、やってやるさ。きっちり狩って素っ首持ってきてやるよ。」
「いや、首はいらん。」
二人の中年男がニヤつき、疵面の男はちらっと背後に立つ、武装した背の高い女に目をやった。
「アリサ、久々の大物だ。」
「ああ、私の地獄の焔で穴だらけにしてやるさ。」
アリサと呼ばれた女は、言いながら手に赤い筒のような武器─機械弩弓を構えガリオンに向ける。
「バ、バカヤロッ、こっちに向けるなぁ!」
慌てて二人が射出口から飛び退いた。
「ゴメン」
女は機械弩弓の射出口を上にあげ、愛くるしい仕草でぺろりと舌を出し、尻から生えたフサフサの尻尾をくねらせた。
ハァッと息を吐きだす傍から、凍っていくような厳寒の季節。ネクスが現在の気温が氷点下だってことを教えてくれる。
僕は木の上から徐ろに地上の雪景色を見渡し、その中に変化を探していた。
いつもの防具の上に、冬用に貰ったマントをかぶっている。これが結構暖かい、風はそれほど強くないけど、寒さは殆ど感じない。マントのお陰もあるけど、多分ネクスの肉体改造の効果も有るんだろうな。
「ズームアップ」
僕が命令すると、眼の構造が変化していく。角膜や水晶体が調整され、視力が高められて地上の景色が数倍にもズームアップされていく。
「見つけた。」
白い森のなかを辿る獣道の中に、転々と続く足跡があった。静かに舞い散り何もかも消しさろうとする雪に消されていない、新しい足跡だ。消されていないってことは、其処を通ってからまだ時間が経っていない事を示している。
僕は猿のように枝を伝って樹木から舞い降り、足跡に鼻を寄せた。
「嗅覚感度アップ」
人の嗅覚では捉えられない野生の匂いを嗅ぎ分ける。この匂いはブルホワイト・ベアーか。
ブルホワイト・ベアーは体長が4メートル位、僕の背の高さのざっと3倍近く有るモンスター種だ。そこ、逆算しない、ちびっ子とかいうな。3年たっても何故か成長しないんだよっ!
ネクスに聞いても、難しい話をして誤魔化すし、なんかこいつ隠してるっぽい。
それはそうとブルホワイト・ベアーだ。
ここアルス山脈のモンスターとしては中の下ってところかな。弱くもなく強くもない感じ、でもこの季節だと蓄えた脂肪がたっぷりで、肉に脂が乗ってて柔らかいし、とっても美味しいんだよ♪
今日はご馳走かな。
ぐぅぅぅ~~っ
あ~ブルホワイト・ベアーのお肉の味を思い出したら、お腹が鳴ってきたよ。早速行こうか。
再び跳び上がり巨木の枝をつたい、雪の積もった枝を蹴って隣の大木へと飛び移り、アイツの足跡が消えないうちに追いかけた。
ふごっふごっふごっ
しばらく大木の枝を渡り、あいつの足跡を追っていくと、ブルホワイト・ベアーの鳴き声が聞こえた。視界に捉えると、アイツは木の根っ子を掘り返して、なにかを食べている。多分キノコか、または冬眠中の動物辺りでも喰ってるのかな。雪が赤く染まってるから動物だろう。
これも自然の摂理、弱者は喰われるだけ。そして僕がブルホワイト・ベアーを美味しく頂いてあげるからね。えへ。
僕はブルホワイト・ベアーの背中に向けて、枝から飛び降りた。手にはサバイバルナイフを煌めかせ、一気に首筋へと振り下ろした。
「GAUHHH!」
ナイフが突き刺さる前に振り向いた。気づかれたか。
ブルホワイト・ベアーは振り向きざまに前足を振り、鋭い爪を僕に向けた。
バンッ!!
僕は向きを変えて、襲ってきた前足を蹴り上げ反転した。
「あっぶね~~。」
危うく切り裂かれるところだった。んや、ちょっと掠った。足が少し切り裂かれて血が滴ってる。失敗したなぁ。直ぐに修復が開始され、切れた箇所の血が止まって肉が癒着し始めてる。いい仕事してるよ。
しかしこいつやたらと敏捷性が高いな。かなりレベルが高そうだね。
雪の上に降りたら、ズボッと音がして膝上辺りまで雪に埋もれてしまった。はぁ~やっぱ地上に降りるとこうなっちゃうな。もうちょっと背が欲しいなぁ。
じろっと睨みつけ、ブルホワイト・ベアーを分析した。と言っても分析はネクスがやるんだけどね。
細かいことは解らないけど、ネクスはナノマシンを制御して、僕の五感を強化したりとか、静止衛星が観察するデータ、他にも大気中の"魔素"を操って対象を観察し分析する手法を構築したらしい。
なんかお前、魔法使いみたいじゃない?
《ブルホワイト・ベアーの解析結果報告です。
名前: ブルホワイト・ベアー 種族: 白羆熊種 Lv.66
生命力: 9,912 魔力: 111 以上》
Lv.66か。さっきの敏捷性もそれなら納得がいく。ブルホワイト・ベアーとすれば生命力もやたら高いし、成獣ってところかな。
因みにレベルはこの世界の"倭人"達の測定単位を参考にしてるみたい。ネクスは僕の知らないところで、色々観察してデータを貯めこんでるんだろうね。宇宙空間から街の様子も観察し、人々の生活を探っているらしい。
でも僕もミスしたな。お腹空いてたから焦ってたのかな~、僅かに殺気を漏らしちゃったみたいだ。
「GARURURURURHH!」
ブルホワイト・ベアーが真っ赤に染まった眼を僕に向けて、襲いかかってくる。コイツは強靭な四肢を持ってるから、雪に埋もれても屁でもないよね~。やっぱ背が欲しいかも。
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《推定1.3トンです》
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さて気を取り直して、積雪を押しつぶし転がるブルホワイト・ベアーを追って、奴が起き上がろうとしたところで、奴の背に跳び乗った。
ああ~~~~~~これぇぇぇ~~
気持ちよいフサフサの毛皮~~~
冬のブルホワイト・ベアーは、毛足が長くてフサフサしててとても気持ちいいんだよね~。これって剥いで毛布にしたら寝心地いいかも~。ああ~~~このままモフモフしていたい~~
なんて感じ入ってる場合じゃなくてぇ、僕はむんずと毛皮を掴み、振り落とされないように身体を固定して、背後から首に向けてナイフを突き刺した。
「GOAAAHHHHHH!!」
悲鳴を上げ首から噴水のように血を吹き出すブルホワイト・ベアー。でもこれで終わりじゃ無い。血抜きは大事なのです。ナイフを刺した手を反対まで回して一気に切り裂いた。
「GUGOBOTHGOBOBOBOBO」
いっそう激しく血が溢れ、口からも血の泡を吹いている。
だけどこいつはそれでも死なない。
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