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<M09> 骸竜と不死神
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††
ゲームとかに出てくるゴーレムってのは、なかなかにかっこ良かったり、愛くるしかったりするんだけど、こいつらはちょっと不気味だ。
鉄の塊が幾つも連なって、やたらと太い腕と胴体、それを支える三本の脚を持ってる。
顔なんかはちょっと盛り上がってるだけで、よく見えないが赤く光る火の玉のような双眸が余計不気味さを醸し出してる。
大木よりも太い腕が振り上げられ、俺に向かって振り下ろされる。俺が避けると俺の居たあたりの地面に、太い腕が突き刺さって地面が抉られた。
結構な戦力だな。あれで殴られたら、普通の人間なら一発でひき肉だろう。オーガクラスの防御力でも辛いんじゃなかろうか。
さらに背後でまた煙が舞い上がると、黄金色のゴーレムと銀色のゴーレムが現れる。
鋼鉄の巨像《アイアンゴーレム》に銀の巨像《シルバーゴーレム》、金の巨像《ゴールドゴーレム》かい?
都合3体のゴーレムが俺に向かってきた。ゴールドゴーレムは売ったら高く……なわけないか。
「おいおいおいおい、あいつらマジかぁ?」
「アリス様、あれは危険です。止めさせましょう。」
クリフとツェザーリが騒ぎ出した。
確かにこのゴーレム3体はちっと面倒だ。攻撃魔法が通じないなら、召喚ゴーレムでの物理攻撃ってことね。
ちなみにこれさ、さっきアリスと戦った戦士たちは勝てるのかい?アリスなら一瞬で叩き切るかもしれないけどなぁ。
多分勝てるんだろうな。さっきはアリスが強すぎて、彼らも実力を出せずに終わってしまったのだろう、とフォローしておこう。
「問題はない、でしょ?ルミちゃん」
「うん、ジュンヤ平気。」
なんだこの二人、妙に波長があってんな~~。
んじゃ期待に応えて俺も本気出しますよ?
俺は魔力を込めて身体強化を行い、攻撃力を更に高めていく。ついでに模擬刀にも魔力を注いでやる。
相手が人間じゃなければ遠慮はいらんとばかりに、振り下ろされたアイアンゴーレムの腕に向けて、魔力を込めた模擬刀をフルスイング。
「爆裂斬《インパクトスラッシュ》!!」
途端に凄まじい炸裂音が響き渡り、ゴーレムの腕が吹き飛んだ。
兵士たちからどよめきが迸り、魔道士達も驚きぽかんと口を開けてる。
「なんだあれわ!」
マーク将軍が驚いてる。
俺の唯一の魔法的な戦法です。魔力操作によって模擬刀に俺の有り余る魔力を注ぎ、あとは爆発させるだけの単純明快な爆裂魔法《自称ですが》。
相手が鉄だろうがなんだろうが関係ない。ひたすら強引な魔力爆発を起こして吹っ飛ばす。相手が硬けりゃ魔力をもっと注ぐだけ。ちなみにこのアイアンゴーレムクラスの硬度なら、上級魔法2発分程度の魔力で破壊可能、だった。
「おいおいおいおい、あいつアイアンゴーレムをふっ飛ばしたぞ、あんな魔法使えたのか。」
クリフも驚いてるな。うん使えるんだよ。てかこれって魔力操作の初歩じゃないの?ただ俺は使える魔力量が多いだけなんだけどね。
「クリフ様、あれは魔法ではありません。ジュンヤ様は魔法を使えない、と仰ってました。」
マリアが静かにいうとクリフがあんぐりと口を開ける。
「魔法を使えないだって、嘘だろあれはどう見ても魔法だぞ。」
「いえ、彼は魔法を使えない故に、魔力を操作する方法を伸ばしたようです。」
「魔力操作?」
クリフが疑わしげに聞き返すと、マリアはコクリと頷いた。
「今ので上級攻撃魔法2,3発、くらいかしら。下手な魔道士なら魔力を使い果たし兼ねない量の魔力。」
アリスが含み笑いを浮かべ、悠然と語った。解ってるじゃない。
「でもジュンヤにはまだ余裕が、いえ彼はまだ魔力を殆ど使っていないに等しいわ。」
その言葉にクリフとツェザーリが愕然とする。
「あれだけの量の魔力を操作できるのは彼ぐらいのものでしょう。正直ジュンヤと本気で戦うことは、できればしたくないわね。」
アリス、お前にそれを云われたくない。俺のほうが願い下げだ!
さて、戦いは終わってないよと、まだまだ行くよ?魔力を剣に溜めてと、さあ吹っ飛べ。
3体のゴーレムが粉々になるのに、さして時間はかからなかった。これで魔道士達も諦めて降参するかと思ったんだが、魔道士達はまだやる気のようです。
再び3人同時に詠唱が始まった。どうやら同じタイミングで同じ呪文を唱えているようだ。今度こそ集団魔法ってところかな。
「まてっ!その魔法は使うなっ!」
なにやらマーク将軍が叫んでいる。必殺魔法でも使うのか?よほど危険なのかな。
なんてのほほんとしていたら、いきなり地面に魔法陣が出現した。
魔法で魔法陣を描くのか?なんか便利だな。なんて気軽に思っていたら、さっきよりどす黒い煙が舞い上がり、巨大な陰が出来上がっていく。
「ば、馬鹿者ーっ!」
うーん、なんでこんなもん呼び出すか。周りを囲んでいた兵士たちが一斉に引いたぞ。うん、文字通り駆け出して下がっている。
「ほう、骸竜《スケルトンドラゴン》か。」
アリスがぺろっと舌なめずりしてる。なんなら代わりますか?
骸竜《スケルトンドラゴン》、そいつは文字通り大きな骨でできたドラゴンだ。いままで会ったことも見たことも無いデカブツに、流石に俺もちょっと引いた。
「KIIIIIIIYYYYYYYYYYYYYYHHHHHHHHH!」
凶悪そうな面構えに、幾重にも絡まった骨格。体長は30メートル以上はありそうだ。背中から生えた骨の翼が舞い上がり、不気味な雄叫びを上げて、赤い双眸が俺を睨みつけてくる。
「マーク将軍、あれはなんですかぁ!やり過ぎでしょう!!」
クリフが叫んだ。顔色が悪いぞ。
でもさ、これ、練習試合のはずだよな。
俺に魔法が効かないし、ゴーレム潰されるしで、魔道士達ブチ切れたか?
まあその前からブチ切れてたのか、俺を殺しにかかってるのは見えていたけど。将軍が停めるのも聞かずに、こんなでかいバケモン呼び出しやがって、馬鹿かっ!
とにかく俺の目の前には科学博物館とかにでも飾ってそうな、古生代の恐竜の骨がいる。いやもっとめちゃくちゃ禍々しいけどな。
さてどうするよ。
まずは身体強化をもうちょっと強めに掛けてみる。
どうやって攻めようか、なんてこと考えてたら、奴の口がパカっと開いて、うわお黒い炎が来た!
魔法、か?魔法の焔なら全然オーケーなんだけど……
嫌な予感がした俺は慌てて避けた。掠ったところがちょっとヒリヒリしてる。見ると、おい!腐ってるぞ!!
なんじゃこりゃ!俺がダメージを受けたってことは魔法とは違ってことか、避けてよかった。すぐさま再生が始まるけど、こんなもん大量に浴びたらヤバイぞ。
振り向いてみると、黒い炎で薙ぎ払われた地面が腐っていた。
地面が腐る?そんな事あるのか。だけどうん、これって腐ってるよな。ボコボコ嫌な泡が立ってて、暗い紫色に変色して異様な匂いを発してる。
「それは腐食性ガスだ。」
アリスの言葉が飛んでくる。
腐食性ガスだって?まじかよ。そんなもん耐性全く無いぞ。
どうやって対処するなんて考えてたら、でっかくて長い尻尾が横薙ぎに来た。だから考える前に動けってことだろうな。
避けようとするも無駄だった、ちょっと動き早くね?骨のくせに。なんて云ってる時じゃない。
ぶんと唸った尻尾が俺を捉えた。早すぎだっての、なんていう間もなく俺は吹っ飛ばされた。
横腹に結構な衝撃を受けて、十数メートル吹っ飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がってしまう。
「あっつ~、なんちゅう衝撃だぁ」
騎士たちが慌てて逃げ惑ってるのを見ながらくらくらしてると、なにやらズンズンズンズンと足音が近づいてきて、俺が見上げた時には、巨大な骨の足が真上にあった。
避ける間もなく足の裏が迫り、俺はあっけなく押し潰された。
まじか、すっげぇ重圧が体中にのしかかって、俺の身体は地面にめり込んじまった。
「げぶっ」
流石にこれに抵抗なんて出来ない。衝撃と重圧に目眩を覚えるが、すぐに足が引き上げられた。
そしてまた落ちてきて、俺の身体を踏みつける。
「げぶっ」
やばい、アンコが出そうだ。
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ゲームとかに出てくるゴーレムってのは、なかなかにかっこ良かったり、愛くるしかったりするんだけど、こいつらはちょっと不気味だ。
鉄の塊が幾つも連なって、やたらと太い腕と胴体、それを支える三本の脚を持ってる。
顔なんかはちょっと盛り上がってるだけで、よく見えないが赤く光る火の玉のような双眸が余計不気味さを醸し出してる。
大木よりも太い腕が振り上げられ、俺に向かって振り下ろされる。俺が避けると俺の居たあたりの地面に、太い腕が突き刺さって地面が抉られた。
結構な戦力だな。あれで殴られたら、普通の人間なら一発でひき肉だろう。オーガクラスの防御力でも辛いんじゃなかろうか。
さらに背後でまた煙が舞い上がると、黄金色のゴーレムと銀色のゴーレムが現れる。
鋼鉄の巨像《アイアンゴーレム》に銀の巨像《シルバーゴーレム》、金の巨像《ゴールドゴーレム》かい?
都合3体のゴーレムが俺に向かってきた。ゴールドゴーレムは売ったら高く……なわけないか。
「おいおいおいおい、あいつらマジかぁ?」
「アリス様、あれは危険です。止めさせましょう。」
クリフとツェザーリが騒ぎ出した。
確かにこのゴーレム3体はちっと面倒だ。攻撃魔法が通じないなら、召喚ゴーレムでの物理攻撃ってことね。
ちなみにこれさ、さっきアリスと戦った戦士たちは勝てるのかい?アリスなら一瞬で叩き切るかもしれないけどなぁ。
多分勝てるんだろうな。さっきはアリスが強すぎて、彼らも実力を出せずに終わってしまったのだろう、とフォローしておこう。
「問題はない、でしょ?ルミちゃん」
「うん、ジュンヤ平気。」
なんだこの二人、妙に波長があってんな~~。
んじゃ期待に応えて俺も本気出しますよ?
俺は魔力を込めて身体強化を行い、攻撃力を更に高めていく。ついでに模擬刀にも魔力を注いでやる。
相手が人間じゃなければ遠慮はいらんとばかりに、振り下ろされたアイアンゴーレムの腕に向けて、魔力を込めた模擬刀をフルスイング。
「爆裂斬《インパクトスラッシュ》!!」
途端に凄まじい炸裂音が響き渡り、ゴーレムの腕が吹き飛んだ。
兵士たちからどよめきが迸り、魔道士達も驚きぽかんと口を開けてる。
「なんだあれわ!」
マーク将軍が驚いてる。
俺の唯一の魔法的な戦法です。魔力操作によって模擬刀に俺の有り余る魔力を注ぎ、あとは爆発させるだけの単純明快な爆裂魔法《自称ですが》。
相手が鉄だろうがなんだろうが関係ない。ひたすら強引な魔力爆発を起こして吹っ飛ばす。相手が硬けりゃ魔力をもっと注ぐだけ。ちなみにこのアイアンゴーレムクラスの硬度なら、上級魔法2発分程度の魔力で破壊可能、だった。
「おいおいおいおい、あいつアイアンゴーレムをふっ飛ばしたぞ、あんな魔法使えたのか。」
クリフも驚いてるな。うん使えるんだよ。てかこれって魔力操作の初歩じゃないの?ただ俺は使える魔力量が多いだけなんだけどね。
「クリフ様、あれは魔法ではありません。ジュンヤ様は魔法を使えない、と仰ってました。」
マリアが静かにいうとクリフがあんぐりと口を開ける。
「魔法を使えないだって、嘘だろあれはどう見ても魔法だぞ。」
「いえ、彼は魔法を使えない故に、魔力を操作する方法を伸ばしたようです。」
「魔力操作?」
クリフが疑わしげに聞き返すと、マリアはコクリと頷いた。
「今ので上級攻撃魔法2,3発、くらいかしら。下手な魔道士なら魔力を使い果たし兼ねない量の魔力。」
アリスが含み笑いを浮かべ、悠然と語った。解ってるじゃない。
「でもジュンヤにはまだ余裕が、いえ彼はまだ魔力を殆ど使っていないに等しいわ。」
その言葉にクリフとツェザーリが愕然とする。
「あれだけの量の魔力を操作できるのは彼ぐらいのものでしょう。正直ジュンヤと本気で戦うことは、できればしたくないわね。」
アリス、お前にそれを云われたくない。俺のほうが願い下げだ!
さて、戦いは終わってないよと、まだまだ行くよ?魔力を剣に溜めてと、さあ吹っ飛べ。
3体のゴーレムが粉々になるのに、さして時間はかからなかった。これで魔道士達も諦めて降参するかと思ったんだが、魔道士達はまだやる気のようです。
再び3人同時に詠唱が始まった。どうやら同じタイミングで同じ呪文を唱えているようだ。今度こそ集団魔法ってところかな。
「まてっ!その魔法は使うなっ!」
なにやらマーク将軍が叫んでいる。必殺魔法でも使うのか?よほど危険なのかな。
なんてのほほんとしていたら、いきなり地面に魔法陣が出現した。
魔法で魔法陣を描くのか?なんか便利だな。なんて気軽に思っていたら、さっきよりどす黒い煙が舞い上がり、巨大な陰が出来上がっていく。
「ば、馬鹿者ーっ!」
うーん、なんでこんなもん呼び出すか。周りを囲んでいた兵士たちが一斉に引いたぞ。うん、文字通り駆け出して下がっている。
「ほう、骸竜《スケルトンドラゴン》か。」
アリスがぺろっと舌なめずりしてる。なんなら代わりますか?
骸竜《スケルトンドラゴン》、そいつは文字通り大きな骨でできたドラゴンだ。いままで会ったことも見たことも無いデカブツに、流石に俺もちょっと引いた。
「KIIIIIIIYYYYYYYYYYYYYYHHHHHHHHH!」
凶悪そうな面構えに、幾重にも絡まった骨格。体長は30メートル以上はありそうだ。背中から生えた骨の翼が舞い上がり、不気味な雄叫びを上げて、赤い双眸が俺を睨みつけてくる。
「マーク将軍、あれはなんですかぁ!やり過ぎでしょう!!」
クリフが叫んだ。顔色が悪いぞ。
でもさ、これ、練習試合のはずだよな。
俺に魔法が効かないし、ゴーレム潰されるしで、魔道士達ブチ切れたか?
まあその前からブチ切れてたのか、俺を殺しにかかってるのは見えていたけど。将軍が停めるのも聞かずに、こんなでかいバケモン呼び出しやがって、馬鹿かっ!
とにかく俺の目の前には科学博物館とかにでも飾ってそうな、古生代の恐竜の骨がいる。いやもっとめちゃくちゃ禍々しいけどな。
さてどうするよ。
まずは身体強化をもうちょっと強めに掛けてみる。
どうやって攻めようか、なんてこと考えてたら、奴の口がパカっと開いて、うわお黒い炎が来た!
魔法、か?魔法の焔なら全然オーケーなんだけど……
嫌な予感がした俺は慌てて避けた。掠ったところがちょっとヒリヒリしてる。見ると、おい!腐ってるぞ!!
なんじゃこりゃ!俺がダメージを受けたってことは魔法とは違ってことか、避けてよかった。すぐさま再生が始まるけど、こんなもん大量に浴びたらヤバイぞ。
振り向いてみると、黒い炎で薙ぎ払われた地面が腐っていた。
地面が腐る?そんな事あるのか。だけどうん、これって腐ってるよな。ボコボコ嫌な泡が立ってて、暗い紫色に変色して異様な匂いを発してる。
「それは腐食性ガスだ。」
アリスの言葉が飛んでくる。
腐食性ガスだって?まじかよ。そんなもん耐性全く無いぞ。
どうやって対処するなんて考えてたら、でっかくて長い尻尾が横薙ぎに来た。だから考える前に動けってことだろうな。
避けようとするも無駄だった、ちょっと動き早くね?骨のくせに。なんて云ってる時じゃない。
ぶんと唸った尻尾が俺を捉えた。早すぎだっての、なんていう間もなく俺は吹っ飛ばされた。
横腹に結構な衝撃を受けて、十数メートル吹っ飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がってしまう。
「あっつ~、なんちゅう衝撃だぁ」
騎士たちが慌てて逃げ惑ってるのを見ながらくらくらしてると、なにやらズンズンズンズンと足音が近づいてきて、俺が見上げた時には、巨大な骨の足が真上にあった。
避ける間もなく足の裏が迫り、俺はあっけなく押し潰された。
まじか、すっげぇ重圧が体中にのしかかって、俺の身体は地面にめり込んじまった。
「げぶっ」
流石にこれに抵抗なんて出来ない。衝撃と重圧に目眩を覚えるが、すぐに足が引き上げられた。
そしてまた落ちてきて、俺の身体を踏みつける。
「げぶっ」
やばい、アンコが出そうだ。
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