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chrono-11:集中力は、ダイブ!だいぶ定着したよね!(ええ…)の巻
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陽光が遥か高みから僕らの頭頂部に差し込む/刺し込むように照らしてきている。その出処のよく分からない光源も何か嘘くさいところはあるんだけれど、そういったことを気にしている場合でもない。この「場」も【アイス】とか名乗った僕が作りだしているとでもいうの? であれば僕もそうとイメージすれば作れたりするのかな……でも行き当たりばったりの駆け引きを撃てる状況では無いということも分かっているわけで。
<『元老』六人の構成は、『知性派』三の『脳筋』三ッ!! バランスの取れた布陣だよサーティーン、注意するんだッ!!>
ファイブのいつもながらの助言を聞きながら、まずは様子見先制、とばかりに「魚雷」三発を相手の右・左・後方に散らせてから一気に加速させて一点に収束させてみた僕だったけど、あっさりさっきの「ファイヤー」の身体周囲をぐるぐる回る「火球」にて防がれてしまった。だよね……あまり手の内を晒し過ぎるのもあれだった……であればこいつはどうだ?
「【コミュ力】は【ダスト】ッ!! の、二連発だぁッ!!」
仕掛ける前に技名を叫んでしまうのはいかがなものかとは思うけれど、続けざまに僕はスクラップ屑が立方体に固められたような身長くらいある巨大塊を二つ現出させて、それを【アイス】目掛けて挟みぶつけにいこうとするけど。
「……【筋力】ボンバーッ!!」
その技名のダサさと反比例して、相手の能力は素直に有用、素直に強いと認めざるを得ない。身体の両脇に掲げた両腕がいやにマッシブなプロテクターみたいな物に覆われたかと思ったら、結構威力質力ありそうな(あくまでイメージだけれど)ダスト塊を各々軽々受け止められて、そのまま一呼吸のちにこちらに向かって投げ返されてきたぁぁぁぁッ、さらに何らかの衝撃をも既に加えられていたのか、眼前でその立方体は内部から弾け飛ぶようにして爆散してきたよやばぁぁぁぁぁいッ!!
刹那、だった……
「【協力】は【リング】……全部、掠め取れぇぇッ!!」
あれ、「僕」の意識では無いけれど、おそらく【協力】の持ち主が自発的に発現してくれたのかな……金属質の、テカる金色の手のひらサイズの「輪っか」が僕の黄色に変化した手からいつの間にか射出されていて、それが空中を意志ある動きでジグザグに飛び回ると、ダストの破片を残さず隈なく吸着させていたのだった……うぅぅん、機序はよく分からないけど使えるぅぅぅ……
先ほどまでの決意はどこへやら、状況に流されるだけ流されておるだけの自分に、一発鼻から強めに息を吸い込んで気合いを入れる。現実世界の僕は鼻の骨が折れちまってるに違いないけれど、今の「意識の僕」ならッ……「意識を集中させること」、それは可能なはずだッ!!
<相手の残り『17』に対し、こちらは残弾『16』まで減ってしまったよ、サーティーン!! 相手の出方を見て、ここからは少しの耐え時だ……!!>
僕の内部からそんな忠告。ファイブは本当に【観察力】に長けておるねえ……受けに回る……でもそれが最善なんだろうか?
「一度見せた技が、次そうはうまく決まるとかは思わない方がいいぜぇ……【分析力6】の野郎が先ほどからてめえの能力と、そして思考のクセなんかに至るまで探り続けているからなぁ……」
彼我距離五メートルくらい。氷の塊の上でわざとらしいほどに唇をひしゃげさせながら、【アイス】はそうのたまうものの。
焦ってはダメだ。
僕の迂闊な攻撃が、きっちり綺麗に防がれていることを認識しろ。いつの間にか両掌に滲んでいた汗を、纏った全身タイツの尻の辺りで拭う。待てよ、何で僕はいつどんな時もこのラメる紫に薄く身を包まれているだけなんだ? 初期はそれでもカラーリングくらいは変わってたように記憶しているけど……それでもタイツはタイツだった。タイツのままで、というのが当たり前だったから、そこから飛躍できなかったとか? 何が?
発想が。「イメージをオマージュしてオマジュ何とか」、って言ってたよね誰かが。
「……!!」
飛躍させろ。思考を。瞬間、グオ、というような音が僕の脳内で鳴ったように感じた。【成長力】……僕なんかには皆無と思われたそれを、確かにいま「僕」は感じている。
イメージしたのはSFものとかで主人公側が装着していそうな、全身鎧のような「スーツ」。白色と銀色の中間のような、そのどちらとも掴ませないような淡い光をなぜか自ら発している、そんな「プロテクター」が、僕の身体を覆い込むようにして現出していた。
「脈絡ねえな……その脈絡の無さが逆に不気味だがよぉ」
一瞬、【アイス】が躊躇した、かに思えた。外面には出さなかったけど。何というか、気持ち的に? うぅん……何とも説明しづらいけれど。と認識した時にはもう体は弾けるようにして動いていた。
「【【魅力×コミュ力】】、【ブライトダスト】ぉぁッ!!」
考えろ。考えれば無限。右手と左手に同時に別々の「能力」を宿し、さらに同時に両脚に力を溜めてから一気に伸ばし、僕はかなりの高さまでの跳躍を果たす。そして「出来る」と思えば、思い込みさえすれば、この「世界」……自分の意識空間では何でも出来る、そのはずだッ!!
目測十メートルくらいの上空。降り注ぐ陽の光に負けないほどに、放たれた「光り輝くスクラップ」が、真上を取った僕の手から、激しく破裂したかと思うと、まるで流星群のように(見たことないけど。いつだったか妹とふたり、寄り添いながら布団を頭から被って待ってたら寝てた。妹は見たらしい)、【アイス】の頭上、直径三十メートルほどを埋め尽くすほどに散り散りに降り注いでいく……それは、
一度も見せてない、だろ? 対処は出来ない、まではいかないだろうけど、最低でも「対処はしづらい」、はずだッ!! 勝利を確信、とどめの一撃を放とうと集中を高めた僕だったけど、
刹那、だった……
「……?」
はじめは、相手が「分身」でもしたのかと思った。ま、僕らも「融合」していることだし、それがまた離れるなんてことも多分出来るんじゃないかと思ってたフシはある。けど、「流星群」の合間に覗くもうひとつのシルエットは明らかに「僕」じゃあなかった。
じゃあ誰だ?
輝くつぶて、みたいなのがいくつも飛び回っていてその先が見えづらいな、とか思って、無意識に出していた【集中力】魚雷を両足裏にはっつけつつ浮遊していた空中で、眼下を覗こうと首を伸ばして目を凝らしてみた。考えてみると、考え無しな無防備体勢。それがいけなかった。
「!!」
いきなり下から飛んできたのは、何だ「水」? 体温くらいの温度なのか、顔面からぶっかけられたわけなんだけどあまり冷たい温かいの感覚としては伝わってこなかった。が、が、だった。
「うわぁ」
思わず間抜けな声が出てしまう。のの大分前に、僕の身体は支えを失ったかのように空中を滑落するように落下し始めていたのだけれど。慌ててまた「魚雷」を現出させようとするものの、パス、みたいな抜けた音しか出てこないよいやまだ打ち止めでは無いはずなのにィッ!!
「ぐっ……!!」
プロテクターがあったから、何とか無事だった。と思ったから大丈夫だった? 分からない、けど痛いは痛い……結構な高さから例のびっしり敷き詰められたテカる「氷」の上に落とされた僕は、咄嗟に体をちぢこめてみたものの、右半身を強めに打ち付けてしまって正にのぐうの音しか出ない。
「……ずいぶん、あっちのは無様、なのね」
そして数瞬前、僕は認めたその姿にも驚愕をしていたわけで。プラスなんで「ここ」にいるの?感も高波のように押し寄せてきていたわけで。
細身の身体にウチの制服をきちんと身に着けて、寒がりなのか結構暖かくなってきている今の季節でもデニール値の高そうな黒いタイツ……は何かわからないけどなまめかしい。目線を上げると細い首、黒いストレートを肩下まで落とし、そのいつも冷めたような目つきは、相対した僕の居心地をいつも悪くするッ……
洞渡 泉先輩が、なぜいまここに?
僕の意識は(今も意識なんだけど)、ぐわぐわと揺さぶられてしまうばかりであって。
<『元老』六人の構成は、『知性派』三の『脳筋』三ッ!! バランスの取れた布陣だよサーティーン、注意するんだッ!!>
ファイブのいつもながらの助言を聞きながら、まずは様子見先制、とばかりに「魚雷」三発を相手の右・左・後方に散らせてから一気に加速させて一点に収束させてみた僕だったけど、あっさりさっきの「ファイヤー」の身体周囲をぐるぐる回る「火球」にて防がれてしまった。だよね……あまり手の内を晒し過ぎるのもあれだった……であればこいつはどうだ?
「【コミュ力】は【ダスト】ッ!! の、二連発だぁッ!!」
仕掛ける前に技名を叫んでしまうのはいかがなものかとは思うけれど、続けざまに僕はスクラップ屑が立方体に固められたような身長くらいある巨大塊を二つ現出させて、それを【アイス】目掛けて挟みぶつけにいこうとするけど。
「……【筋力】ボンバーッ!!」
その技名のダサさと反比例して、相手の能力は素直に有用、素直に強いと認めざるを得ない。身体の両脇に掲げた両腕がいやにマッシブなプロテクターみたいな物に覆われたかと思ったら、結構威力質力ありそうな(あくまでイメージだけれど)ダスト塊を各々軽々受け止められて、そのまま一呼吸のちにこちらに向かって投げ返されてきたぁぁぁぁッ、さらに何らかの衝撃をも既に加えられていたのか、眼前でその立方体は内部から弾け飛ぶようにして爆散してきたよやばぁぁぁぁぁいッ!!
刹那、だった……
「【協力】は【リング】……全部、掠め取れぇぇッ!!」
あれ、「僕」の意識では無いけれど、おそらく【協力】の持ち主が自発的に発現してくれたのかな……金属質の、テカる金色の手のひらサイズの「輪っか」が僕の黄色に変化した手からいつの間にか射出されていて、それが空中を意志ある動きでジグザグに飛び回ると、ダストの破片を残さず隈なく吸着させていたのだった……うぅぅん、機序はよく分からないけど使えるぅぅぅ……
先ほどまでの決意はどこへやら、状況に流されるだけ流されておるだけの自分に、一発鼻から強めに息を吸い込んで気合いを入れる。現実世界の僕は鼻の骨が折れちまってるに違いないけれど、今の「意識の僕」ならッ……「意識を集中させること」、それは可能なはずだッ!!
<相手の残り『17』に対し、こちらは残弾『16』まで減ってしまったよ、サーティーン!! 相手の出方を見て、ここからは少しの耐え時だ……!!>
僕の内部からそんな忠告。ファイブは本当に【観察力】に長けておるねえ……受けに回る……でもそれが最善なんだろうか?
「一度見せた技が、次そうはうまく決まるとかは思わない方がいいぜぇ……【分析力6】の野郎が先ほどからてめえの能力と、そして思考のクセなんかに至るまで探り続けているからなぁ……」
彼我距離五メートルくらい。氷の塊の上でわざとらしいほどに唇をひしゃげさせながら、【アイス】はそうのたまうものの。
焦ってはダメだ。
僕の迂闊な攻撃が、きっちり綺麗に防がれていることを認識しろ。いつの間にか両掌に滲んでいた汗を、纏った全身タイツの尻の辺りで拭う。待てよ、何で僕はいつどんな時もこのラメる紫に薄く身を包まれているだけなんだ? 初期はそれでもカラーリングくらいは変わってたように記憶しているけど……それでもタイツはタイツだった。タイツのままで、というのが当たり前だったから、そこから飛躍できなかったとか? 何が?
発想が。「イメージをオマージュしてオマジュ何とか」、って言ってたよね誰かが。
「……!!」
飛躍させろ。思考を。瞬間、グオ、というような音が僕の脳内で鳴ったように感じた。【成長力】……僕なんかには皆無と思われたそれを、確かにいま「僕」は感じている。
イメージしたのはSFものとかで主人公側が装着していそうな、全身鎧のような「スーツ」。白色と銀色の中間のような、そのどちらとも掴ませないような淡い光をなぜか自ら発している、そんな「プロテクター」が、僕の身体を覆い込むようにして現出していた。
「脈絡ねえな……その脈絡の無さが逆に不気味だがよぉ」
一瞬、【アイス】が躊躇した、かに思えた。外面には出さなかったけど。何というか、気持ち的に? うぅん……何とも説明しづらいけれど。と認識した時にはもう体は弾けるようにして動いていた。
「【【魅力×コミュ力】】、【ブライトダスト】ぉぁッ!!」
考えろ。考えれば無限。右手と左手に同時に別々の「能力」を宿し、さらに同時に両脚に力を溜めてから一気に伸ばし、僕はかなりの高さまでの跳躍を果たす。そして「出来る」と思えば、思い込みさえすれば、この「世界」……自分の意識空間では何でも出来る、そのはずだッ!!
目測十メートルくらいの上空。降り注ぐ陽の光に負けないほどに、放たれた「光り輝くスクラップ」が、真上を取った僕の手から、激しく破裂したかと思うと、まるで流星群のように(見たことないけど。いつだったか妹とふたり、寄り添いながら布団を頭から被って待ってたら寝てた。妹は見たらしい)、【アイス】の頭上、直径三十メートルほどを埋め尽くすほどに散り散りに降り注いでいく……それは、
一度も見せてない、だろ? 対処は出来ない、まではいかないだろうけど、最低でも「対処はしづらい」、はずだッ!! 勝利を確信、とどめの一撃を放とうと集中を高めた僕だったけど、
刹那、だった……
「……?」
はじめは、相手が「分身」でもしたのかと思った。ま、僕らも「融合」していることだし、それがまた離れるなんてことも多分出来るんじゃないかと思ってたフシはある。けど、「流星群」の合間に覗くもうひとつのシルエットは明らかに「僕」じゃあなかった。
じゃあ誰だ?
輝くつぶて、みたいなのがいくつも飛び回っていてその先が見えづらいな、とか思って、無意識に出していた【集中力】魚雷を両足裏にはっつけつつ浮遊していた空中で、眼下を覗こうと首を伸ばして目を凝らしてみた。考えてみると、考え無しな無防備体勢。それがいけなかった。
「!!」
いきなり下から飛んできたのは、何だ「水」? 体温くらいの温度なのか、顔面からぶっかけられたわけなんだけどあまり冷たい温かいの感覚としては伝わってこなかった。が、が、だった。
「うわぁ」
思わず間抜けな声が出てしまう。のの大分前に、僕の身体は支えを失ったかのように空中を滑落するように落下し始めていたのだけれど。慌ててまた「魚雷」を現出させようとするものの、パス、みたいな抜けた音しか出てこないよいやまだ打ち止めでは無いはずなのにィッ!!
「ぐっ……!!」
プロテクターがあったから、何とか無事だった。と思ったから大丈夫だった? 分からない、けど痛いは痛い……結構な高さから例のびっしり敷き詰められたテカる「氷」の上に落とされた僕は、咄嗟に体をちぢこめてみたものの、右半身を強めに打ち付けてしまって正にのぐうの音しか出ない。
「……ずいぶん、あっちのは無様、なのね」
そして数瞬前、僕は認めたその姿にも驚愕をしていたわけで。プラスなんで「ここ」にいるの?感も高波のように押し寄せてきていたわけで。
細身の身体にウチの制服をきちんと身に着けて、寒がりなのか結構暖かくなってきている今の季節でもデニール値の高そうな黒いタイツ……は何かわからないけどなまめかしい。目線を上げると細い首、黒いストレートを肩下まで落とし、そのいつも冷めたような目つきは、相対した僕の居心地をいつも悪くするッ……
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