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「いまどき雁首揃えて会議もないでしょうよぉ、ボス」
「何でまた、この時期に、招集を」
「もぉぉん、お互いがお互いを干渉し合わないってゆってたじゃなぁぁぁい」
始めると切り出した途端にこの悪態だ。つくづく群れでの行動に支障のある奴らばかりだなと嘆息するが。
私は黙ったまま、集まった面々を睥睨するに留める。とある雑居ビルの地下二階に秘密裡に穿たれた「会議室」。空調は行き届いているとは言え、窓の無い小部屋は何となく息苦しさを感じさせる。
急な私の招集の求めに、それでも全員が集まって円卓……では無く、「ロの字」に組まれたキャスター付きの長机を囲んでいる。部屋の照明は落とされ、唯一の光源は、天井のプロジェクタから私の背後のスクリーンに投影されている、今は青一色の「画面」しかない。
完全なる逆光の中にいるので、私の姿かたちはこの場の誰にもほぼほぼ掴めないはずだ。まあ念入りに「変装」を施しているので、見られても特に困ることなどないが。
私の無言の圧力に、場に集まった面々……私を含めず8名がややあってから沈黙。それを見計らって手元のタブレットを操作し、スクリーンに一枚の画像を映す。
「……!!」
8名のうち何人かの息を呑む音が聞こえたことに満足しつつ、私はゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「白鳥が殺された。白昼の路上で。銃で……左脇腹を至近距離から撃たれ、ほぼ即死……だったそうだ」
手元の画面には、ひとりの細面の若者が、口から血を流してアスファルトに突っ伏している画像。見開いた両目と、歪んで開けられた口は、驚いた表情をしているようにも、何らかの意志を持って何かをしようとしているような顔にも見えた。
私の出方を窺っているのか、誰も何も喋ろうとはしない。そこは想定内だったので、私は言葉を続けることにする。
「……銃痕と現場から出た弾丸から、使用されたのは『ローマンMk.V』」
ブハッ、と吹き出す音が聞こえる。右手の方からだ。
「んなもん使うの、このおっさんしかいねえじゃん? なんでハジいたのかは知らねえけどよぉ、わざわざバッカじゃねえのぉ?」
小馬鹿にした口調で、ふんぞり返りながらのたまったのは、うっとおしいほどの長髪で、ガタガタの歯並びをした私の部下の一人、烏丸だった。その視線は、筋肉質の体を地味なスーツに押し込んだ、角刈りの大男に向けられている。
その大男は波戸。ひと目、ひと昔前のドラマから飛び出て来たかのような刑事然とした佇まいだが、もちろん、ここにいるのは皆が皆、それぞれが一流の腕を持つ「殺し屋」であるわけで、剛直そうな顔は、なかなかの「変装」と、そう思う。
「……話がそれで済むなら、わざわざ全員を呼び出さない。ですよね、ボス。波戸が殺ったと思わせるため……そこまで単純でないにせよ、自分の痕跡は割と消せる」
今度は向かって左の方から、落ち着いた物言いが返ってくる。風鳥。こちらの風貌は端正なマスクに隙の無いビジネスカジュアル。絵に描いたような若手でやり手なベンチャー経営者といった感じだが、あまりにそれらしくて、却って嘘くさくも見えてしまうのが、まだまだといったところか。いや、それよりも、こいつはよく見えている。私は話を進める。
「白鳥が次の仕事の詳細を組んでいたのは知ってるな? それがどうやら奪われたらしい。目くらましのためか、それもついでの目的だったかは知らんが、口座からもカネが抜き取られていたが、そこは大したことじゃあない」
全員の反応を見るため、殊更にゆっくりと言葉を紡いでいくが、どの顔もこれといった動きは見せなかった。その辺は流石だ。
「白鳥の生体認証によりロックが外れたスマホは、現場……死体の側に転がっていた。まあ情報自体を取り出すのにそこまで時間手間はかからない。スマホごと持ち去ってそこから足が着くよりは利口なやり方だ。しかし白鳥を即死させずにいたことで、この『犯人』は最初からそいつが目的だったと、そう告げているようなものでもある。故意か否か? おそらくはそこまでは重要視していなかったのでは? それがこいつが見せた唯一の隙だ」
割とクリティカルな推測を口にしたが、またも面々のリアクションは無い。手強いな。
「こ、殺したのが、この面子の、な、中にいるって、そうおっしゃれ……られられるんで?」
ぼそぼそとした声を発したのは、落ち着きなく自分の耳やら襟元やらを忙しなく探っている小男、逢流だった。この振る舞いも演技なのか、それは分からない。
「……」
その言葉によって各々に緊張は走るものの、やはり真顔以上の表情の動きは見せない。ならば、外堀から……埋めていくか。
「ここから先はお前ら……『白鳥を殺った奴含めて』だが、初出の情報となる」
言いつつ私は画面を切り替える。倒れ伏す白鳥の背中側からのアングル。その左手に握られていたのは……件のスマホ。呻き声にも満たない息遣いの音がどいつかの口許から漏れ出たようだが、私は構わず続ける。
「死の間際、あいつは『犯人』を告発しようと力を絞ったのだろう。見上げた根性だ。組織のために尽力する、表面上はそうとは伺い知ることはできなかったが、白鳥はそういう奴だったということだ。いまさらながら惜しいことをした」
さらに大写しにされたそのひび割れたディスプレイには検索サイトが表示されていた。そこのボックスに打ち込まれていた文字は、
<なかまはずれ>
という、いささか子供向け絵本のようなそんな、のどかさを内包したひらがなであったが、それは白鳥の最後のメッセージでもある。おそらくは私に向けての。
「……この中から『なかまはずれ』を探せってこと? そいつが犯人? はっ、回りくどいことで。直に名前打ち込んだ方が良かったんじゃねえのぉ? ま、唯一、私は『女』っていうのが『なかまはずれ』かもだけど」
はすっぱな物言いは、紅一点……というほどの華やかさは無いが、年齢を掴ませない分厚い化粧を施したでっぷりとした女……鷲見。
「あらぁん、女はこのアタイもそうじゃなぁい。んもぅ、いけずぅ。それより、その回りくどさはあの坊やの周到さってことにならなぁぃん? 近場に犯人がいたら消されるかも、とか」
続けて何とも言えない野太い声で被せてきたのは、大柄で面長の真っ白なおかっぱ頭という、目立ち過ぎて逆に盲点みたいになる出で立ちの孔雀原。こいつは性別も不詳。言ってることはずれてはないが。
「『なかまはずれ』言うたら、わてだけ『未成年』とかでっか? ぎゃは。ま、そもそもここにおるもんで『実態』晒しとる奴なんておらへんですしなぁ」
何とも不可思議な関西弁らしきキンキン響く言葉を発したのは、大橋。そこにどうしても意識と視線が集中してしまう立派な前歯を反り返らせている。
「……ボスの目途はついている。んですよね? だから我々を呼び寄せた」
黒縁眼鏡で脂ぎった簾のような髪を頭頂に被せている中年の男は鶴水。外見はともかく、視線の鋭さがまだその内に隠しきれていないが、的を射た言葉だ。
「ああ……情けない話だが、こうなるまで気づけなかった。盤石と思われた『|巣(ネスト)』にとんだ托卵をされていたとはな。それについて弁明の余地はないが、寸でで全員取っ捕まることだけは避けられた。あとの|決着(ケリ)は私自らが付ける」
ゆっくりと立ち上がった私の右手には既に『コルト・ローマンMk.V』が実包を装填された状態で収まっている。流石に身を強張らせたり、立ち上がり後ずさる者もいるが、全員丸腰であることはチェック済だ。扉も内側からは開かないようにロックしてある。
「ずっと盲点だった。特に近頃は面子の入れ代わりがちょくちょくあったからな。だが組織の掟……やや大時代的でアレだが、そのしきたりが、私に気付かさせてくれた。白鳥も無論それに気が付いた。ゆえにそいつに消されたとも見れるかも知れんが」
周りくどい言い方で揺さぶるが、皆、一瞬で自らを落ち着けたようだ。
「ボス、はっきり言ってくれよぉ、しきたりっつーとあれだろ? 『名前に鳥を組み込む』って……」
そう、烏丸の言う通り、我々「巣」の者は、「鳥の名」を呼称する。
カラス、ハト、フウチョウ、ワシ、クジャク、ツル。この辺はそのままだが……ちなみに私は「鳳凰」を名乗っている。誰も信じないが本名だ。先代……親父からその「通り名」も引き継いだわけだが。
「ぼ、僕じゃ、な、ないっ」
皆の視線を受けて、落ち着きのない小男、逢流が、小刻みに顔を震わせながら弁明を始める。
「お、『逢流』を『アウ・ル』と読むんだよっ、アウルは『フクロウ』っ!!」
そして、謎関西弁を操る出っ歯男―大橋を指さしがなり立てる。
「こ、こ、こいつこそ鳥じゃないッ!! だからこいつが『なかまはずれ』ッ!!」
必死だな。その挙動も見たかったので、まあそこは計算通りだ。そしてこいつが根本的なところを勘違いしていることを確信した私は、その醜く歪んだ顔をした小男を壁際まで追いつめ、撃鉄を起こした銃口を突きつける。
「『オオハシ』は鳥だ……『巨嘴鳥』とも言う。そして……勘違いしているようだが、『鳥』だから『鳥』じゃないからという分類でも無いんだな」
ひくつく下瞼を必死で抑え込もうとしながらも、まだ判っていないようなので、最期に教えておいてやろう。
「『全天88星座の中の鳥の名を冠す』。それが『巣』の面子の条件だ。残念ながら『フクロウ座』はそれには入っていないんだよなあ……」
言いつつ私はトリガーを引き絞る。
(終)
「何でまた、この時期に、招集を」
「もぉぉん、お互いがお互いを干渉し合わないってゆってたじゃなぁぁぁい」
始めると切り出した途端にこの悪態だ。つくづく群れでの行動に支障のある奴らばかりだなと嘆息するが。
私は黙ったまま、集まった面々を睥睨するに留める。とある雑居ビルの地下二階に秘密裡に穿たれた「会議室」。空調は行き届いているとは言え、窓の無い小部屋は何となく息苦しさを感じさせる。
急な私の招集の求めに、それでも全員が集まって円卓……では無く、「ロの字」に組まれたキャスター付きの長机を囲んでいる。部屋の照明は落とされ、唯一の光源は、天井のプロジェクタから私の背後のスクリーンに投影されている、今は青一色の「画面」しかない。
完全なる逆光の中にいるので、私の姿かたちはこの場の誰にもほぼほぼ掴めないはずだ。まあ念入りに「変装」を施しているので、見られても特に困ることなどないが。
私の無言の圧力に、場に集まった面々……私を含めず8名がややあってから沈黙。それを見計らって手元のタブレットを操作し、スクリーンに一枚の画像を映す。
「……!!」
8名のうち何人かの息を呑む音が聞こえたことに満足しつつ、私はゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「白鳥が殺された。白昼の路上で。銃で……左脇腹を至近距離から撃たれ、ほぼ即死……だったそうだ」
手元の画面には、ひとりの細面の若者が、口から血を流してアスファルトに突っ伏している画像。見開いた両目と、歪んで開けられた口は、驚いた表情をしているようにも、何らかの意志を持って何かをしようとしているような顔にも見えた。
私の出方を窺っているのか、誰も何も喋ろうとはしない。そこは想定内だったので、私は言葉を続けることにする。
「……銃痕と現場から出た弾丸から、使用されたのは『ローマンMk.V』」
ブハッ、と吹き出す音が聞こえる。右手の方からだ。
「んなもん使うの、このおっさんしかいねえじゃん? なんでハジいたのかは知らねえけどよぉ、わざわざバッカじゃねえのぉ?」
小馬鹿にした口調で、ふんぞり返りながらのたまったのは、うっとおしいほどの長髪で、ガタガタの歯並びをした私の部下の一人、烏丸だった。その視線は、筋肉質の体を地味なスーツに押し込んだ、角刈りの大男に向けられている。
その大男は波戸。ひと目、ひと昔前のドラマから飛び出て来たかのような刑事然とした佇まいだが、もちろん、ここにいるのは皆が皆、それぞれが一流の腕を持つ「殺し屋」であるわけで、剛直そうな顔は、なかなかの「変装」と、そう思う。
「……話がそれで済むなら、わざわざ全員を呼び出さない。ですよね、ボス。波戸が殺ったと思わせるため……そこまで単純でないにせよ、自分の痕跡は割と消せる」
今度は向かって左の方から、落ち着いた物言いが返ってくる。風鳥。こちらの風貌は端正なマスクに隙の無いビジネスカジュアル。絵に描いたような若手でやり手なベンチャー経営者といった感じだが、あまりにそれらしくて、却って嘘くさくも見えてしまうのが、まだまだといったところか。いや、それよりも、こいつはよく見えている。私は話を進める。
「白鳥が次の仕事の詳細を組んでいたのは知ってるな? それがどうやら奪われたらしい。目くらましのためか、それもついでの目的だったかは知らんが、口座からもカネが抜き取られていたが、そこは大したことじゃあない」
全員の反応を見るため、殊更にゆっくりと言葉を紡いでいくが、どの顔もこれといった動きは見せなかった。その辺は流石だ。
「白鳥の生体認証によりロックが外れたスマホは、現場……死体の側に転がっていた。まあ情報自体を取り出すのにそこまで時間手間はかからない。スマホごと持ち去ってそこから足が着くよりは利口なやり方だ。しかし白鳥を即死させずにいたことで、この『犯人』は最初からそいつが目的だったと、そう告げているようなものでもある。故意か否か? おそらくはそこまでは重要視していなかったのでは? それがこいつが見せた唯一の隙だ」
割とクリティカルな推測を口にしたが、またも面々のリアクションは無い。手強いな。
「こ、殺したのが、この面子の、な、中にいるって、そうおっしゃれ……られられるんで?」
ぼそぼそとした声を発したのは、落ち着きなく自分の耳やら襟元やらを忙しなく探っている小男、逢流だった。この振る舞いも演技なのか、それは分からない。
「……」
その言葉によって各々に緊張は走るものの、やはり真顔以上の表情の動きは見せない。ならば、外堀から……埋めていくか。
「ここから先はお前ら……『白鳥を殺った奴含めて』だが、初出の情報となる」
言いつつ私は画面を切り替える。倒れ伏す白鳥の背中側からのアングル。その左手に握られていたのは……件のスマホ。呻き声にも満たない息遣いの音がどいつかの口許から漏れ出たようだが、私は構わず続ける。
「死の間際、あいつは『犯人』を告発しようと力を絞ったのだろう。見上げた根性だ。組織のために尽力する、表面上はそうとは伺い知ることはできなかったが、白鳥はそういう奴だったということだ。いまさらながら惜しいことをした」
さらに大写しにされたそのひび割れたディスプレイには検索サイトが表示されていた。そこのボックスに打ち込まれていた文字は、
<なかまはずれ>
という、いささか子供向け絵本のようなそんな、のどかさを内包したひらがなであったが、それは白鳥の最後のメッセージでもある。おそらくは私に向けての。
「……この中から『なかまはずれ』を探せってこと? そいつが犯人? はっ、回りくどいことで。直に名前打ち込んだ方が良かったんじゃねえのぉ? ま、唯一、私は『女』っていうのが『なかまはずれ』かもだけど」
はすっぱな物言いは、紅一点……というほどの華やかさは無いが、年齢を掴ませない分厚い化粧を施したでっぷりとした女……鷲見。
「あらぁん、女はこのアタイもそうじゃなぁい。んもぅ、いけずぅ。それより、その回りくどさはあの坊やの周到さってことにならなぁぃん? 近場に犯人がいたら消されるかも、とか」
続けて何とも言えない野太い声で被せてきたのは、大柄で面長の真っ白なおかっぱ頭という、目立ち過ぎて逆に盲点みたいになる出で立ちの孔雀原。こいつは性別も不詳。言ってることはずれてはないが。
「『なかまはずれ』言うたら、わてだけ『未成年』とかでっか? ぎゃは。ま、そもそもここにおるもんで『実態』晒しとる奴なんておらへんですしなぁ」
何とも不可思議な関西弁らしきキンキン響く言葉を発したのは、大橋。そこにどうしても意識と視線が集中してしまう立派な前歯を反り返らせている。
「……ボスの目途はついている。んですよね? だから我々を呼び寄せた」
黒縁眼鏡で脂ぎった簾のような髪を頭頂に被せている中年の男は鶴水。外見はともかく、視線の鋭さがまだその内に隠しきれていないが、的を射た言葉だ。
「ああ……情けない話だが、こうなるまで気づけなかった。盤石と思われた『|巣(ネスト)』にとんだ托卵をされていたとはな。それについて弁明の余地はないが、寸でで全員取っ捕まることだけは避けられた。あとの|決着(ケリ)は私自らが付ける」
ゆっくりと立ち上がった私の右手には既に『コルト・ローマンMk.V』が実包を装填された状態で収まっている。流石に身を強張らせたり、立ち上がり後ずさる者もいるが、全員丸腰であることはチェック済だ。扉も内側からは開かないようにロックしてある。
「ずっと盲点だった。特に近頃は面子の入れ代わりがちょくちょくあったからな。だが組織の掟……やや大時代的でアレだが、そのしきたりが、私に気付かさせてくれた。白鳥も無論それに気が付いた。ゆえにそいつに消されたとも見れるかも知れんが」
周りくどい言い方で揺さぶるが、皆、一瞬で自らを落ち着けたようだ。
「ボス、はっきり言ってくれよぉ、しきたりっつーとあれだろ? 『名前に鳥を組み込む』って……」
そう、烏丸の言う通り、我々「巣」の者は、「鳥の名」を呼称する。
カラス、ハト、フウチョウ、ワシ、クジャク、ツル。この辺はそのままだが……ちなみに私は「鳳凰」を名乗っている。誰も信じないが本名だ。先代……親父からその「通り名」も引き継いだわけだが。
「ぼ、僕じゃ、な、ないっ」
皆の視線を受けて、落ち着きのない小男、逢流が、小刻みに顔を震わせながら弁明を始める。
「お、『逢流』を『アウ・ル』と読むんだよっ、アウルは『フクロウ』っ!!」
そして、謎関西弁を操る出っ歯男―大橋を指さしがなり立てる。
「こ、こ、こいつこそ鳥じゃないッ!! だからこいつが『なかまはずれ』ッ!!」
必死だな。その挙動も見たかったので、まあそこは計算通りだ。そしてこいつが根本的なところを勘違いしていることを確信した私は、その醜く歪んだ顔をした小男を壁際まで追いつめ、撃鉄を起こした銃口を突きつける。
「『オオハシ』は鳥だ……『巨嘴鳥』とも言う。そして……勘違いしているようだが、『鳥』だから『鳥』じゃないからという分類でも無いんだな」
ひくつく下瞼を必死で抑え込もうとしながらも、まだ判っていないようなので、最期に教えておいてやろう。
「『全天88星座の中の鳥の名を冠す』。それが『巣』の面子の条件だ。残念ながら『フクロウ座』はそれには入っていないんだよなあ……」
言いつつ私はトリガーを引き絞る。
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