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PKゲーム
1 四番*
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目隠しをされ、猿ぐつわをかまされていた。
両手首はガムテープらしきもので一まとめにされた上で、ロープと思しきもので縛られて前方につながれており、両膝と両足首はガラスのように硬くて冷たい床に金属製の足枷で固定されている。腰には革製のベルトが食いこむほどきつく巻かれていて、尻が少し上に持ち上がるよう、おそらくは鎖で吊り上げられていた。
そして、それら以外に、彼が身につけているものはなかった。
『ジェントルメン&ジェントルメン! お待たせいたしました! 次のゲームは〝PK〟です!』
男のアナウンスが響き渡った。それに応じて、盛大な拍手が湧き起こる。
『ルールは単純明快。あちらの台上に設置いたしましたゴールゲートにゴールを決めるだけです。ただし、手は使わず、五秒以内にゴールできなければ、失格となります。さらに、五秒以内にゴールできても、それから五分以内にゴールゲートをいかせられなければ、ゴール成功として認定されません。なお、今回のゴールゲートには催淫剤は投与されておりません。プレイヤーの皆様の実力が大いに問われます』
歓声が上がった。何も見えないが、無数の視線を感じる。嘲笑まじりの好奇の目。
『今回の挑戦者は五名様。しかし、もし万が一、どなたも成功なさらなかった場合には、飛び入り参加も受けつけます。では一番の方、警笛が鳴ってからお願いします』
自分の尻の後ろに、誰かが立った気配があった。今から自分が何をされるかは、先ほどのアナウンスでわかった。どうにかして逃れようと尻を揺らすと、動くなと低く恫喝された。と、短く警笛が鳴った。
『一番の方、ここでは言葉を発することは厳禁です。以後、お気をつけください。では、どうぞ』
再び警笛が鳴った。同時に、尻の間にぬるぬるとした熱いものを押しつけられた。だが、それはもう一度警笛を鳴らされるまで、尻の間を何度も滑りつづけただけだった。
『時間切れです。一番の方、お疲れ様でした。次の方と交替してください』
一番は小さく舌打ちしたが、アナウンスに従い、離れていった。
それと入れ違うように、また誰かが背後に立った。
『二番の方、準備はよろしいですか? では、どうぞ』
二番も一番と同じく、ゴールは決められなかった。
三番は苛立って、つい彼の尻をつかんでしまったために、即刻失格となった。
『皆様、苦戦されていますね。それでは四番の方、どうぞ』
――どうせまた失敗するだろう。
彼は油断していた。しかし、そんな彼の中心を、四番はいきなり突き破り、一瞬、彼の呼吸を止めさせた。
『すごい! 一発でゴール決まりました! 後は五分以内にいかせられるか!』
膨れあがった四番のものは、一度彼の奧まで侵入した後、彼の入り口付近で小刻みに動きはじめた。絶対にいかせられるはずがない。いや、いかされてたまるか。彼は猿ぐつわを強く噛みしめた。
『おおっと、ゴールゲートがエレクトしてます! あ、腰を振り出しました! すごいすごい! もう先走っています!』
声を出せない彼のかわりに、ベルトの鎖が耳障りな音を立てていた。感じたくないのに、感じてしまう。扱きたい。出したい。早くいきたい。
『制限時間はあと二分少々残っていますが……これはもういきそうですね。あ……あ、いったー!』
痛いほど反り返っていた彼のものが、生温かい液体を撒き散らした。それと同時に、彼の中にいる四番がコンドームの中で弾けた。それでも四番はルールどおり、吐息一つ漏らさなかった。
『四番の方、おめでとうございます! あなたが優勝者です! いやあ、すばらしい! 催淫剤なしで、これほど短時間でいかせられるとは。……ああ、もうゴールゲートに触れてもかまいませんよ。ゲームは終了しましたので』
四番が彼の尻をつかんで、己を彼の中から引き出した。ちゅぷっと淫猥な音がした。
『改めて、お疲れ様でした。優勝賞金はお帰りの際、クロークでお受けとりください。五番以降の方々、今回は残念でした。またの挑戦をお待ちしております。〝PK〟、これにて終了いたします』
アナウンスの後、腰のベルトを外された。力つきて思わず座りこむと、今度は足を固定していた足枷を外された。だが、解かれた拘束はそこまでで、両手首を縛っているロープを引っ張られ、アナウンスとは別の男の声で、立てと言われた。
いったばかりで、足に力が入らなかったが、どうにか立ち上がって、犬か奴隷のように引きずられて歩いた。これから自分はどうなるのだろう。またさっきと同じ目にあわされるのか。それとも。彼が暗澹としたとき、背後からまた別の男の声が聞こえた。
「待ってくれ。そいつはこれからどうするんだ?」
一番ではないことは確かだった。
「こいつですか? さあ……俺はケージの中に入れとくようにしか言われてないんで、その先どうするかは……」
「上に訊いてみないとわからないか? じゃあ、ちょっと訊いてみてくれ。そいつを買いとるにはいくら必要か」
彼も驚いたが、引きずっていた男も驚いたらしい。すぐには返答がなかった。
「お客さん、こいつが欲しいんですか?」
「ああ、欲しい。言い値で買うから、至急訊いてみてくれないか」
「ちょ、ちょっと待ってください。無線で訊いてみます」
男はあわてて答え、無線で誰かと話しはじめた。
(ロープでつながれてなかったら、目隠しと猿ぐつわくらいは外せるのに)
所在なく立っていると、腰にバスタオルのようなものを巻かれた。思わず振り返ったが、もちろん何も見えない。そうして彼が困惑している間に上と話がついたようだ。
「お客さん、いいそうです。ちょっと事務所まで来てもらえますか?」
「こいつも一緒でいいな?」
「いや、それは……」
「俺が交渉してる間に、またゲームに使われたらかなわない」
謎の客はそう言って、彼の肩を抱き寄せた。
その手は何となく、彼を敗北させた四番に似ているような気がした。
両手首はガムテープらしきもので一まとめにされた上で、ロープと思しきもので縛られて前方につながれており、両膝と両足首はガラスのように硬くて冷たい床に金属製の足枷で固定されている。腰には革製のベルトが食いこむほどきつく巻かれていて、尻が少し上に持ち上がるよう、おそらくは鎖で吊り上げられていた。
そして、それら以外に、彼が身につけているものはなかった。
『ジェントルメン&ジェントルメン! お待たせいたしました! 次のゲームは〝PK〟です!』
男のアナウンスが響き渡った。それに応じて、盛大な拍手が湧き起こる。
『ルールは単純明快。あちらの台上に設置いたしましたゴールゲートにゴールを決めるだけです。ただし、手は使わず、五秒以内にゴールできなければ、失格となります。さらに、五秒以内にゴールできても、それから五分以内にゴールゲートをいかせられなければ、ゴール成功として認定されません。なお、今回のゴールゲートには催淫剤は投与されておりません。プレイヤーの皆様の実力が大いに問われます』
歓声が上がった。何も見えないが、無数の視線を感じる。嘲笑まじりの好奇の目。
『今回の挑戦者は五名様。しかし、もし万が一、どなたも成功なさらなかった場合には、飛び入り参加も受けつけます。では一番の方、警笛が鳴ってからお願いします』
自分の尻の後ろに、誰かが立った気配があった。今から自分が何をされるかは、先ほどのアナウンスでわかった。どうにかして逃れようと尻を揺らすと、動くなと低く恫喝された。と、短く警笛が鳴った。
『一番の方、ここでは言葉を発することは厳禁です。以後、お気をつけください。では、どうぞ』
再び警笛が鳴った。同時に、尻の間にぬるぬるとした熱いものを押しつけられた。だが、それはもう一度警笛を鳴らされるまで、尻の間を何度も滑りつづけただけだった。
『時間切れです。一番の方、お疲れ様でした。次の方と交替してください』
一番は小さく舌打ちしたが、アナウンスに従い、離れていった。
それと入れ違うように、また誰かが背後に立った。
『二番の方、準備はよろしいですか? では、どうぞ』
二番も一番と同じく、ゴールは決められなかった。
三番は苛立って、つい彼の尻をつかんでしまったために、即刻失格となった。
『皆様、苦戦されていますね。それでは四番の方、どうぞ』
――どうせまた失敗するだろう。
彼は油断していた。しかし、そんな彼の中心を、四番はいきなり突き破り、一瞬、彼の呼吸を止めさせた。
『すごい! 一発でゴール決まりました! 後は五分以内にいかせられるか!』
膨れあがった四番のものは、一度彼の奧まで侵入した後、彼の入り口付近で小刻みに動きはじめた。絶対にいかせられるはずがない。いや、いかされてたまるか。彼は猿ぐつわを強く噛みしめた。
『おおっと、ゴールゲートがエレクトしてます! あ、腰を振り出しました! すごいすごい! もう先走っています!』
声を出せない彼のかわりに、ベルトの鎖が耳障りな音を立てていた。感じたくないのに、感じてしまう。扱きたい。出したい。早くいきたい。
『制限時間はあと二分少々残っていますが……これはもういきそうですね。あ……あ、いったー!』
痛いほど反り返っていた彼のものが、生温かい液体を撒き散らした。それと同時に、彼の中にいる四番がコンドームの中で弾けた。それでも四番はルールどおり、吐息一つ漏らさなかった。
『四番の方、おめでとうございます! あなたが優勝者です! いやあ、すばらしい! 催淫剤なしで、これほど短時間でいかせられるとは。……ああ、もうゴールゲートに触れてもかまいませんよ。ゲームは終了しましたので』
四番が彼の尻をつかんで、己を彼の中から引き出した。ちゅぷっと淫猥な音がした。
『改めて、お疲れ様でした。優勝賞金はお帰りの際、クロークでお受けとりください。五番以降の方々、今回は残念でした。またの挑戦をお待ちしております。〝PK〟、これにて終了いたします』
アナウンスの後、腰のベルトを外された。力つきて思わず座りこむと、今度は足を固定していた足枷を外された。だが、解かれた拘束はそこまでで、両手首を縛っているロープを引っ張られ、アナウンスとは別の男の声で、立てと言われた。
いったばかりで、足に力が入らなかったが、どうにか立ち上がって、犬か奴隷のように引きずられて歩いた。これから自分はどうなるのだろう。またさっきと同じ目にあわされるのか。それとも。彼が暗澹としたとき、背後からまた別の男の声が聞こえた。
「待ってくれ。そいつはこれからどうするんだ?」
一番ではないことは確かだった。
「こいつですか? さあ……俺はケージの中に入れとくようにしか言われてないんで、その先どうするかは……」
「上に訊いてみないとわからないか? じゃあ、ちょっと訊いてみてくれ。そいつを買いとるにはいくら必要か」
彼も驚いたが、引きずっていた男も驚いたらしい。すぐには返答がなかった。
「お客さん、こいつが欲しいんですか?」
「ああ、欲しい。言い値で買うから、至急訊いてみてくれないか」
「ちょ、ちょっと待ってください。無線で訊いてみます」
男はあわてて答え、無線で誰かと話しはじめた。
(ロープでつながれてなかったら、目隠しと猿ぐつわくらいは外せるのに)
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「お客さん、いいそうです。ちょっと事務所まで来てもらえますか?」
「こいつも一緒でいいな?」
「いや、それは……」
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