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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
313【予定は未定編13】副長いろいろ【※第二回予行演習】
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【パラディン大佐隊・第三班第六号待機室】
エリゴール、入室。
室内にいた班員たちが一斉に立ち上がり、エリゴールに向かって敬礼する。
副長(三班副班長代行)
「おはようございます! 元四班長!」
エリゴール
「……そうか。おまえたちには言ってなかったな。今日の俺は、臨時の三班副班長代行だ。長いから副班長でいい」
エリゴール以外
「ええ!? 副班長!?」
エリゴール
「というわけで、現副班長代行。俺がいる間は副長専任で頼む」
副長
「はい、それはまったくかまいませんが……あ、申し遅れました。副長のヒルベルトです。よろしくお願いいたします」
エリゴール
「ああ、よろしく。……クラインとは付き合いは長いのか?」
副長・ヒルベルト
「まあ、長いと言えば長いですね。同じ軍艦には乗っていました」
エリゴール
「なるほど。じゃあ、あいつが考えそうなこともだいたいわかるか?」
副長・ヒルベルト
「まあ、だいたいは。……何かお知りになりたいことでも?」
エリゴール
「いや、今はまだいい……」
そう言いかけたとき、エリゴールをじっと見ている元班長艦操縦士と目が合う。
操縦士
「は、班長ーッ!」
エリゴール
「今日は副班長だが、どうした? 異動初日でもういびられたか?」
操縦士
「そんなことはないですけど、班……いや、副班長の顔見たらホッとして!」
副長・ヒルベルト
「元四……ではなくて副班長。いくら何でも、うちはそこまで荒んでいませんよ」
エリゴール
「そうか。それなら、クラインは操縦士と一緒に異動させて正解だったな」
副長・ヒルベルト
「はい、本当に……え?」
エリゴール以外
「……え?」
***
【パラディン大佐隊・第四班第一号ブリッジ】
四班長・ワンドレイ
「まさか、三班と『連合』役することになるとはな……」
副長
「そうですね。しかし、今日の三班は、実質、元四班長が班長です」
ワンドレイ
「本人は今日だけ副班長のつもりでいるみたいだがな」
副長
「元四班長以外、誰もそうとは思っていないでしょうね」
ワンドレイ
「それにしても、うちが左で三班が右って……絶対何かあるよな?」
副長
「指定したのは大佐ですけど、大佐にそう言わせたのは元四班長でしょうからね」
ワンドレイ
「それは言わずもがなだ」
副長
「うーん……しいて言うなら、三班のほうが〝一班組〟の砲撃を受けやすいかもしれませんが、速度をそろえて飛べとは指示されていませんからね。危険度は左も右も大して変わらないはずです」
ワンドレイ
「とにかく、〝十一班組〟の後方にいる〈フラガラック〉を撃ちにいけ、か。……たった二十隻でどうやって?」
副長
「そうですよね。仮にいいところまで行けたとしても、〈オートクレール〉の的にされる未来しか見えません」
ワンドレイ
「……薄々思ってたが、これ、演習か? 〝留守番〟虐待するゲームじゃねえか?」
副長
「今回の三班以外はそうかもしれません」
ワンドレイ
「そうか! 今回は三班に元四班長がいた!」
副長
「ここぞとばかりに、三班の副班長艦を狙うか。それとも、あえて狙わないか」
ワンドレイ
「おまえだったらどうする?」
副長
「もちろん、あえて避けます! そんな怖いこと、できるわけないじゃないですか!」
ワンドレイ
「……どこも同じこと考えてそうだな」
副長
「今日の三班副班長艦、無敵ですね」
ワンドレイ
「そうだな。〈オートクレール〉も三班の副班長艦だけは見逃しそうだ」
副長
「うちは勝手に勘違いして八班を見逃しましたけどね」
ワンドレイ
「うっ!」
副長
「外部には口外しませんが、『もしかしたら退場になっていないかもしれないので一応八班を撃ちましょう』と俺が進言したことは、退役しても忘れないでください」
ワンドレイ
「ううっ!」
クルーたち
(うちはいつも、副長が無敵。……いいぞ、もっとやれ)
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
ハワード
「『連合』役、前回は縦並びだったが、今回は横並びだな」
フィリップス
「隊形自体は、班長隊が上で副班長隊が下の横列隊形で変わらないけど、あの元四班長が同じことをするとは思えない」
ハワード
「でも、『連合』役なんだから、いつもの『連合』と同じ動きをしてくれないと困るだろ。合同演習のときも、それで元四班長がキレてたんだし」
フィリップス
「それはそうだけど、今回はやたらと〝臨機応変〟を強調してたからさ。まあ、何か仕掛けてくるのを前提にしといたほうが、いざというとき、あわてなくて済むだろ」
ハワード
「ちなみに、おまえが元四班長だったらどうする?」
フィリップス
「俺? ……そうだな。〝壁〟の後ろを飛んでみるか」
ハワード
「〝壁〟の後ろ?」
フィリップス
「つまり、うちの組の後ろ。本物の『連合』は大集団だから自分勝手に動けないけど、たった二十隻ならいくらでもばらけて飛べるだろ? まあ、それを本当にやられたら、うちはとっても困るけど」
ハワード
「そうだな。〝無旋回〟のサンドイッチ作戦のときみたいに……」
フィリップス
「そうそう、あのときみたいに……」
ブリッジ内、しばらく沈黙。
ブリッジ全員
「それだ!」
***
【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】
三班長代行・クライン
「『班長隊はまっすぐ進め』か。……副班長はああいう提案ができないといけなかったんだな……」
副長・ホフマン
「いえ、それは班長が考えることかと」
クライン
「そうか、班長……」
凍りつくクラインとクルーたち。
第六号から異動してきた操縦士
(ここの副長、怖すぎる! ヒルベルト副長! 助けて!)
エリゴール、入室。
室内にいた班員たちが一斉に立ち上がり、エリゴールに向かって敬礼する。
副長(三班副班長代行)
「おはようございます! 元四班長!」
エリゴール
「……そうか。おまえたちには言ってなかったな。今日の俺は、臨時の三班副班長代行だ。長いから副班長でいい」
エリゴール以外
「ええ!? 副班長!?」
エリゴール
「というわけで、現副班長代行。俺がいる間は副長専任で頼む」
副長
「はい、それはまったくかまいませんが……あ、申し遅れました。副長のヒルベルトです。よろしくお願いいたします」
エリゴール
「ああ、よろしく。……クラインとは付き合いは長いのか?」
副長・ヒルベルト
「まあ、長いと言えば長いですね。同じ軍艦には乗っていました」
エリゴール
「なるほど。じゃあ、あいつが考えそうなこともだいたいわかるか?」
副長・ヒルベルト
「まあ、だいたいは。……何かお知りになりたいことでも?」
エリゴール
「いや、今はまだいい……」
そう言いかけたとき、エリゴールをじっと見ている元班長艦操縦士と目が合う。
操縦士
「は、班長ーッ!」
エリゴール
「今日は副班長だが、どうした? 異動初日でもういびられたか?」
操縦士
「そんなことはないですけど、班……いや、副班長の顔見たらホッとして!」
副長・ヒルベルト
「元四……ではなくて副班長。いくら何でも、うちはそこまで荒んでいませんよ」
エリゴール
「そうか。それなら、クラインは操縦士と一緒に異動させて正解だったな」
副長・ヒルベルト
「はい、本当に……え?」
エリゴール以外
「……え?」
***
【パラディン大佐隊・第四班第一号ブリッジ】
四班長・ワンドレイ
「まさか、三班と『連合』役することになるとはな……」
副長
「そうですね。しかし、今日の三班は、実質、元四班長が班長です」
ワンドレイ
「本人は今日だけ副班長のつもりでいるみたいだがな」
副長
「元四班長以外、誰もそうとは思っていないでしょうね」
ワンドレイ
「それにしても、うちが左で三班が右って……絶対何かあるよな?」
副長
「指定したのは大佐ですけど、大佐にそう言わせたのは元四班長でしょうからね」
ワンドレイ
「それは言わずもがなだ」
副長
「うーん……しいて言うなら、三班のほうが〝一班組〟の砲撃を受けやすいかもしれませんが、速度をそろえて飛べとは指示されていませんからね。危険度は左も右も大して変わらないはずです」
ワンドレイ
「とにかく、〝十一班組〟の後方にいる〈フラガラック〉を撃ちにいけ、か。……たった二十隻でどうやって?」
副長
「そうですよね。仮にいいところまで行けたとしても、〈オートクレール〉の的にされる未来しか見えません」
ワンドレイ
「……薄々思ってたが、これ、演習か? 〝留守番〟虐待するゲームじゃねえか?」
副長
「今回の三班以外はそうかもしれません」
ワンドレイ
「そうか! 今回は三班に元四班長がいた!」
副長
「ここぞとばかりに、三班の副班長艦を狙うか。それとも、あえて狙わないか」
ワンドレイ
「おまえだったらどうする?」
副長
「もちろん、あえて避けます! そんな怖いこと、できるわけないじゃないですか!」
ワンドレイ
「……どこも同じこと考えてそうだな」
副長
「今日の三班副班長艦、無敵ですね」
ワンドレイ
「そうだな。〈オートクレール〉も三班の副班長艦だけは見逃しそうだ」
副長
「うちは勝手に勘違いして八班を見逃しましたけどね」
ワンドレイ
「うっ!」
副長
「外部には口外しませんが、『もしかしたら退場になっていないかもしれないので一応八班を撃ちましょう』と俺が進言したことは、退役しても忘れないでください」
ワンドレイ
「ううっ!」
クルーたち
(うちはいつも、副長が無敵。……いいぞ、もっとやれ)
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
ハワード
「『連合』役、前回は縦並びだったが、今回は横並びだな」
フィリップス
「隊形自体は、班長隊が上で副班長隊が下の横列隊形で変わらないけど、あの元四班長が同じことをするとは思えない」
ハワード
「でも、『連合』役なんだから、いつもの『連合』と同じ動きをしてくれないと困るだろ。合同演習のときも、それで元四班長がキレてたんだし」
フィリップス
「それはそうだけど、今回はやたらと〝臨機応変〟を強調してたからさ。まあ、何か仕掛けてくるのを前提にしといたほうが、いざというとき、あわてなくて済むだろ」
ハワード
「ちなみに、おまえが元四班長だったらどうする?」
フィリップス
「俺? ……そうだな。〝壁〟の後ろを飛んでみるか」
ハワード
「〝壁〟の後ろ?」
フィリップス
「つまり、うちの組の後ろ。本物の『連合』は大集団だから自分勝手に動けないけど、たった二十隻ならいくらでもばらけて飛べるだろ? まあ、それを本当にやられたら、うちはとっても困るけど」
ハワード
「そうだな。〝無旋回〟のサンドイッチ作戦のときみたいに……」
フィリップス
「そうそう、あのときみたいに……」
ブリッジ内、しばらく沈黙。
ブリッジ全員
「それだ!」
***
【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】
三班長代行・クライン
「『班長隊はまっすぐ進め』か。……副班長はああいう提案ができないといけなかったんだな……」
副長・ホフマン
「いえ、それは班長が考えることかと」
クライン
「そうか、班長……」
凍りつくクラインとクルーたち。
第六号から異動してきた操縦士
(ここの副長、怖すぎる! ヒルベルト副長! 助けて!)
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