寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【06】の裏)

001【炎の七日間編01】0日目:アルスター栄転後

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【パラディン大佐隊・第一班第一号待機室】

フィリップス
「アルスター大佐、やっぱり〝栄転〟になったんだ」

ハワード
「そして、元アルスター大佐隊の指揮官は、やっぱりパラディン大佐」

フィリップス
「まあ、予想どおりだな」

エリゴール
「アルスター大佐は、もしかしたら退役願を出すか、あるいは自殺するかと思ったが……家族がさせなかったかな」

フィリップス
「家族?」

エリゴール
「実態は〝左遷〟でも、形式上は〝栄転〟だろう。あそこなら〝戦死〟だけはないからな。〝心労死〟はあるかもしれないが」

フィリップス
「……そんなにきついのか?」

エリゴール
「コールタン大佐の話では。わかりやすく言うと〝第二分隊〟扱いされるそうだ」

フィリップス
「……今、〝因果応報〟って言葉が頭をかすめた」

ハワード
「俺もだ」

フィリップス
「やっぱり、悪いことはできないな。……どうした、元四班長?」

エリゴール
「いや……本当にそうだな……他人にしたことは、必ず自分に返ってくるな……」

フィリップス
「それで、今日の午後、ドレイク大佐がまた大佐の執務室に来るのか。……何の用で?」

エリゴール
「表向きは〝遊びにくる〟だが、そんなことはないだろう。十中八九、元アルスター大佐隊の扱いについて〝話しにくる〟」

ハワード
「ドレイク大佐は、あの隊をどう扱ってもらいたいと考えてるんだ?」

エリゴール
「とりあえず、〝第二分隊〟扱いはしてもらいたくないと考えてるだろ」

フィリップス
「だろうな。それはわかる」

エリゴール
「だが、それ以上は……正直、何を考えているかわからない」

フィリップス
「元四班長にそこまで言われるなんて……本当に〝悪魔〟だな」

ハワード
「うちにとっては〝いい悪魔〟だけどな」

エリゴール
「俺は今から気が重い……」

フィリップス
「大丈夫だよ。パラディン大佐の前では、元四班長の急所刺すような話はされないよ」

エリゴール
「……ほんとにあんた、人の心を読むな。中途半端に」

フィリップス
「中途半端!?」

エリゴール
「いや、完璧に読まれたらで読まれたで、そっちのほうが困るが」

フィリップス
「でも、うちとしては、元四班長が元アルスター大佐隊に異動するかどうかのほうが最重要問題だ」

エリゴール
「具体的に、何が問題なんだ?」

フィリップス
「うちのおとっつぁんは、班長会議ももう仕切れない」

ハワード
「事実だがはっきり言うな、おい」

エリゴール
「じゃあ、あんたが仕切れば?」

フィリップス
「俺はあくまで副長だよ。おとっつぁんの介助が仕事だよ」

ハワード
「介助と言うな。補佐と言え」

エリゴール
「……自立しろ」

フィリップス
「いやあ、捨てないでえ! あんたがいなかったら、うちは〈フラガラック〉のいない護衛艦隊だよお!」

エリゴール
「……有人艦約六〇〇隻か。勝てる方法はあるのか?」

フィリップス
「うわあ! こっちがまったく意図してないことを考えはじめた!」

ハワード
「ある意味、それでこそ元四班長」

エリゴール
「まあ、俺も異動しなくて済むものなら異動したくないが……あっちにも変態いるかな」

フィリップス
「何、その期待」

ハワード
「変態からかって楽しみたいんだろ。もはや趣味だ」

フィリップス
「……趣味になったの、うちの班長どものせいなんじゃ……?」
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