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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

252【挨拶回りの前後編04】班長以外は大歓迎

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【パラディン大佐隊・第三班第一号待機室】

 三班長・プライスが待機室に戻ってくる。顔面蒼白。

副長
「班長、何かあったんですか? 顔色悪いですよ?」

三班長・プライス
「……十四時に、元四班長がここに来る」

副長
「ええッ!?」

 元四班長と聞いて、班員たちも一斉に注目する。

プライス
「一緒に、ハワードとフィリップスも来るそうだ。俺は小会議室で副班長と話してるから、三人が来たら連れてきてくれ」

副長
「は、はい……了解しました……」

 副長が戸惑っている間に、プライスはおぼつかない足取りで待機室を出ていく。
 それを待っていたかのように、班員たちがわらわらと副長を取り囲む。

班員A
「元四班長が来るんですか? いったい何の用で?」

副長
「さあ……思い当たることと言えば、昨日の〝死んだふり〟くらいだが……」

班員A
「それなら、二号の艦長も同席させるんじゃないですか? それこそ当事者なんだし」

班員B
「そうだよな。副班長よりそっちだよな」

副長
「とにかく、俺がすべき仕事は、元四班長たちを出迎えて、小会議室に連れていくことだけだ」

班員B
「班長が自分で出迎えればいいのに……元四班長なんだから」

班員A
「元四班長だから、怖くて出迎えられないんじゃないのか?」

班員B
「あ、そうか」

班員A
「副長……自分も出迎えに行っては駄目ですか?」

班員B
「あ、俺も!」

班員たち
「俺も俺も!」

副長
「気持ちはわかるが、それはまずいだろ……」

班員B
「いいなあ、副長。俺も至近距離から元四班長を拝みたい……」

班員C
「防犯カメラいじって、元四班長盗み撮りするか」

班員たち
「いいな、それ! そうしよう! そうしよう!」

副長
「『そうしよう!』じゃない。よくないからするな。絶対にするな」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班ドック専用駐車場】

 移動車の後部座席から降りるフィリップスとハワード。
 運転手のエリゴールは最後に降りる。

フィリップス
「元四班長が運転手……恐れ多くて緊張した……」

エリゴール
「平隊員の俺が運転するのが当然だろうと何度言わせるつもりだ」

フィリップス
「そりゃ、肩書はないけど、元四班長は実質大佐代行じゃん」

ハワード
「代行どころか、大佐超えてるときが多々あるよな」

 中央エントランスで待機していた第三班第一号の副長、あわてて三人の前に飛び出す。

副長
「あの! ようこそいらっしゃいました!」

エリゴール
「ああ、一号の副長か。突然悪いな。さっそくだが、三班長とはどこで話せる?」

副長
「お、覚えていらしたんですか!?」

エリゴール
「そりゃ覚えてるに決まってるだろ。一日三班長したんだぞ?」

副長
「元四班長……!」

 副長、感激のあまり涙ぐむ。

フィリップス
「いや、元四班長。そういう問題じゃないから」

ハワード
「元四班長にとっては、一日でも一緒にいれば、顔は覚えられて当然なんだろう……」

フィリップス
「うっ! 当然じゃなくてごめんなさい!」

ハワード
「俺よりは覚えてるだろ……」

フィリップス
「それも介添えの仕事の一つだから」

ハワード
「介添えと言うより介護だな」

副長
「ええと、班長ですね! 副班長と一緒に会議室にいるそうなので、今からご案内いたします!」

エリゴール
「そうか。……まだ班員の前では話さないか」

副長
「はい?」

エリゴール
「いや、何でもない。じゃあ、案内頼む」

副長
「はい! 了解いたしました!」

フィリップス
「……元四班長しか視界に入ってないな」

ハワード
「俺たちは元四班長のオマケなんだろう……」

フィリップス
「いや、ここまで完全に無視されてるところを見ると、オマケにもなってないな」

ハワード
「俺たち、ついてくる必要なかったんじゃないか?」

フィリップス
「元四班長には必要だったんだろ。立会人として」

ハワード
「立会人ねえ……まあ、プライスは俺たちがいたほうがいいだろうな」

フィリップス
「たぶん今、三班長は死刑判決を待ってるような気分でいると思う」

ハワード
「……自分に置き換えてみると胃が痛くなる……」

フィリップス
「激しく同意」
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