寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

文字の大きさ
上 下
253 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

235【交換ついでに合同演習編140】合同演習二日目:そこまでやる

しおりを挟む
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

ロノウェ
「コールタン大佐隊はかわせたが、元〝本隊〟はどうするかねえ……」

レラージュ
「どうするも何も、やはりかわしていくしかないでしょう」

ロノウェ
「たぶん、あっちは全速力で振り切る作戦だぞ。……コールタン大佐隊もそうしてたらよかったのにな」

レラージュ
「おおかた、パラディン大佐についてくるなと命令されたんじゃないですか?」

ロノウェ
「……間違いなくそうだな」

レラージュ
「でもまあ、〝切りこみ組〟はうち以外ほぼ全滅しましたから、まったくの無駄というわけでもなかったですが」

ロノウェ
「相変わらず、言うこと悪魔だな」

レラージュ
「しかし、うちの班だけでは心許ないことも確かです。〝背面撃ち組〟も追いかけては来ていますが、演習中に追いつけるかどうか……」

ロノウェ
「護衛艦と砲撃艦とじゃ、こんなにスペック違うんだな」

レラージュ
「スペックというか、役割の違いです。護衛艦は旗艦についていける足がなければ話になりませんから……」

オペレータ
「副長! 〝背面撃ち組〟、来ました!」

レラージュ
「何?」

オペレータ
「というか、ぶっちゃけ、十二班です!」

ロノウェ
「そうか! あいつらも〝護衛隊〟だった!」

レラージュ
「うっかり忘れていましたね。元四班長に発破をかけられたんでしょうか」

ロノウェ
「そうだな……コールタン大佐隊に足止めされてたのに、もうここまで……」

レラージュ
「……先に行かせて、元〝本隊〟と相撃ちさせましょうか?」

ロノウェ
「とことん、言うこと悪魔だな」

レラージュ
「でも、やっぱり追い越されるのは癪なので、ゲアプ中尉、もっと速度を上げてください」

ゲアプ
「了解しました!」

ロノウェ
「え、まだ上げられるのか?」

ゲアプ
「はい! ただし、簡単には止まれなくなります!」

ロノウェ
「それ、やべえだろ!」

レラージュ
「班長。勝つためには仕方ありません」

ロノウェ
「仕方ありませんって……演習でそこまでやらなくてもいいだろ!?」

レラージュ
「うちはやるんです! 班長は安全ベルト締めて黙っててください!」

ロノウェ
「……俺、艦長席に戻るから、おまえも座れよ、レラージュ」

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ヴァッサゴ
「すげえ……本当に十一班に追いついた……!」

ザボエス
「追いついただけじゃ駄目だ! 〈オートクレール〉撃たねえと! しかも当てねえと!」

ヴァッサゴ
「フィリップス副長は、そこまで期待してないと思うが……」

ザボエス
「期待されてねえ分、やれたら多少は見直してもらえるだろ!」

ヴァッサゴ
「多少にしかならない自覚はあるんだな」

ザボエス
「だがたぶん、レラージュは俺らを自分の前には行かせねえ!」

ヴァッサゴ
「それはまあ、あっちは〝切りこみ組〟だし……」

ザボエス
「……邪魔だな」

ヴァッサゴ
「おい……まさか十一班、撃つ気じゃないだろうな?」

ザボエス
「……射程には入ってるな」

ヴァッサゴ
「やめろ。絶対にやめろ。〝役立たず〟じゃすまなくなる」

プルソンたち
(あの班長に『やめろ』と言えるなんて……さすが悪の黒幕……)
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

無冠の皇帝

有喜多亜里
BL
「連邦」、「連合」に次ぐ銀河系内の第三勢力「帝国」。その宗主であった「連合」五星系の一つザイン星系は「帝国」の再植民地化をもくろみ侵攻しようとするも「帝国」宇宙軍と皇帝軍護衛艦隊に阻まれる。「帝国」の元皇太子アーウィンが司令官を務める皇帝軍護衛艦隊の鉄則はただ一つ。〝全艦殲滅〟。――なーんて感じの「なんちゃってSF」。コメディ寄りのボーイズラブ(自称)。大佐(変態だけどまとも)×元皇太子(ツンデレストーカー)。 ---- ◆BOOTH様で同人誌を通販しています。既刊4冊(https://aarikita.booth.pm/)。 ◆表紙はかんたん表紙メーカー様で作成いたしました。ありがとうございました(2023/03/16)。 ---- ◆「第11回BL小説大賞」(2023)で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。 ◆「第12回BL大賞」(2024)で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

風紀委員長様は今日もお仕事

白光猫(しろみつにゃん)
BL
無自覚で男前受け気質な風紀委員長が、俺様生徒会長や先生などに度々ちょっかいをかけられる話。 ※「ムーンライトノベルズ」サイトにも転載。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが

なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です 酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります 攻 井之上 勇気 まだまだ若手のサラリーマン 元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい でも翌朝には完全に記憶がない 受 牧野・ハロルド・エリス 天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司 金髪ロング、勇気より背が高い 勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん ユウキにオヨメサンにしてもらいたい 同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

処理中です...