寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

229【交換ついでに合同演習編134】合同演習二日目:誰がために疾走する

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【コールタン大佐隊・旗艦〈デュランダル〉ブリッジ】

コールタン
「移動隊形縦にして、六班横並びで突っこんでくるだと!? あいつら、本当に何考えてやがる!」

クルタナ
「もちろん、偽物の〈フラガラック〉を撃ちにいくつもりでしょう。そこは本物の『連合』と同じです」

コールタン
「くそう! ここに残って応戦しろって言われてなけりゃ、一緒に撤退してたのに!」

クルタナ
「パラディン大佐の真意はともかく、殿下に覗き見されている可能性がある以上、その判断は妥当かと」

コールタン
「有人艦一二〇隻を有人艦一〇一隻で〝全艦殲滅〟か。ちょっとした無理ゲーだな」

クルタナ
「相撃ち覚悟で止めるしかありませんね。そうすれば、元パラディン大佐隊は十九隻を相手にするだけで済みます」

コールタン
「一応、砲撃隊形はとらせたが……あれを撃てたら、うちもすぐに砲撃に転向できるな」

クルタナ
「完全に突破に特化していますよね。ただし、残りの六班はまた違う隊形をとっていますが」

コールタン
「……エリゴールはどっちにいると思う?」

クルタナ
「かなりの確率で、残りの六班のほうではないかと」

コールタン
「俺もそんな気がものすごくする」

クルタナ
「なぜ二隊に分けたんでしょう?」

コールタン
「突破された後の俺らを撃つためじゃねえのか。……得意の背面撃ちで」

クルタナ
「ひい!」

コールタン
「奴らに背後をとられたらおしまいだ! 移動隊形縦のほうは、当たればラッキーくらいに攻撃しとけ! 本命は残りの六班! 後方に回りこんで、背面撃ちされる前に背面撃ちするぞ!」

クルタナ
「昨日一日で、すっかり背面撃ちがトラウマになりましたね……」

 ***

【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】

副長
「護衛がまさかの砲撃隊形!」

クルーA
「これは想定外でしたね……砲撃隊形だったら、横から当てられる可能性もあります」

副長
「昨日といい今日といい、本当に一筋縄ではいかないな、コールタン大佐。……〈デュランダル〉は今どこにいる?」

クルーA
「右翼のいちばん奥……ですね。そこもまた想定外」

クルーB
「どうします?」

副長
「どうするも何も、俺たちはコールタン大佐隊を突破して、〈オートクレール〉に追いつくしかないだろ」

クルーC
「その前に、〝先生〟に追いつかないと!」

クルーB
「それはもう諦めて、〝先生〟が先陣を切っていると割りきったほうが……」

クルーA
「あ、〈デュランダル〉が離脱しました!」

副長
「何!? 〈オートクレール〉の後を追うつもりか!?」

クルーA
「いえ……進行方向が違います……これは……大きく迂回して、〝背面撃ち組〟を撃とうとしている……?」

クルーA以外(ラムレイを除く)
「何!?」

副長
「それはまずい! 早く〈デュランダル〉を止めないと!」

クルーC
「九班なら何とか……有効射程に入らないか!」

クルーB
「どうします!?」

副長
「俺たちが気づいたんだから、他の班も気づいてるだろうが……とにかく、元四班長に連絡……」

ラムレイ
「だったら追え!」

クルーA
「あ、班長!」

副長
「びっくりした! 起きてたのか!」

ラムレイ
「即刻突破を中止、反転して逆走しろ! ちょうどいい感じに真ん中も開いている!」

ラムレイ以外
「ええっ!」

ラムレイ
「俺たちが抜けても、〝先生〟なら必ず突破してくれる! それよりも〈デュランダル〉だ! このままだと〝背面撃ち組〟が側面撃ちされる!」

クルーA
「班長が班長みたいなことを言っている……やっぱりおかしい!」

副長
「俺もそうは思うが、そんなことができるのは、十一班以外にはうちだけだ! 逆走して〈デュランダル〉を撃つ! そうだな、班長!」

ラムレイ
「そうだ! 〈デュランダル〉に〝先生〟の後は追わせない!」

副長
「やっぱりおかしいが、まあいいか! 通信士、全艦に指示! ついでに元四班長にも連絡しとけ! 間違って俺たちを撃たないでくださいってな!」

通信士
「了解!」
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