寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

219【交換ついでに合同演習編124】合同演習一日目:十一班一号待機室の着目

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【パラディン大佐隊・第十一班第一号待機室】

ロノウェ
「なあ、レラージュ。……八班長の本命、誰だと思う?」

レラージュ
「それなら、フィリップス副長です」

ロノウェ
「えっ!? もう断言!? 根拠は!?」

レラージュ
「一班長とフィリップス副長がミーティング室に来てから、それとなく八班長を観察していましたが、ほとんどの時間、一班長ではなくフィリップス副長を見ていました」

ロノウェ
「おまえ、観察してたのか!? 全然興味ねえようなこと言ってたくせに!」

レラージュ
「班長があんまりしつこく言うのでつい。ついでに言うと、十二班長もフィリップス副長を見てました……」

ロノウェ
「……エリゴールは気づいてるのか? 特にザボエスのほう……」

レラージュ
「さあ……ただ、班長が言ってたとおり、本当に元四班長はフィリップス副長のことを気に入ってますね。〝養子にしたい〟というのも、あながち冗談ではないかも……」

ロノウェ
「やっぱり三つどもえか!?」

レラージュ
「どうしてそんなに嬉しそうな顔をするんですか?」

ロノウェ
「いや、ここまで来たら、この先の展開が気にならねえか?」

レラージュ
「展開って……何がどうなるっていうんですか? フィリップス副長は変態嫌いのまっとうな人ですよ?」

ロノウェ
「フィリップス副長にはその気はねえだろうが、あの三人の間でバトルが勃発……」

レラージュ
「それはないでしょう。ただ、三人の中で唯一嫌われている十二班長の動向は気になりますが」

ロノウェ
「フィリップス副長に罵られたのがそんなによかったのか……」

レラージュ
「そういえば、今まで十二班長はそんな目にあったことはないかもしれませんね」

ロノウェ
「おまえに嫌味はさんざん言われてたけどな」

レラージュ
「やはり、嫌味と罵倒は違いますから」

ロノウェ
「確かに、フィリップス副長の罵倒にはキレがある……」

レラージュ
「班長……?」

ロノウェ
「あ、いや、とにかく、これからあの三人の動きに注目だ!」

レラージュ
「もっと他に注目すべきことがいくらでもあると思いますけど……」

ロノウェ
「……ザボエスに〝飴ちゃん〟は一個もやりたくねえな」

レラージュ
「〝飴ちゃん〟はどうでもいいですけど、それは同感です」
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