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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

191【交換ついでに合同演習編96】合同演習一日目:サンドイッチ作戦・改

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【コールタン大佐隊・旗艦〈デュランダル〉ブリッジ】

クルタナ
「大佐! パラディン大佐隊の三班がうちの最後尾にとりついて、背面撃ちを繰り返しているそうです!」

コールタン
「何!?」

クルタナ
「それも、護衛隊形を縦にした二班で左右に逃げられないようにしておいてから、残り一班でうちを背面撃ちしていくという非道っぷりです!」

コールタン
「……間違いなくエリゴールだな」

クルタナ
「ええ、間違いありません」

コールタン
「しかし、護衛隊形を縦にするって……今、艦首を右に向けて走ってるってことか? ……砲撃の考えることは違うな……」

クルタナ
「おまけに、その縦になった護衛隊形も、横撃ちしてきているそうです」

コールタン
「嬲り殺し状態だな。今、うちは何隻退場アウトさせられてる?」

クルタナ
「現時点で確認できているのは、元パラディン大佐隊の六十隻とパラディン大佐隊の第三班十隻です」

コールタン
「……仲間も撃ったのか」

クルタナ
「最初に撃ったそうです」

コールタン
「でも、パラディン大佐隊からは、もう一班、うちに回されてなかったか?」

クルタナ
「第八班がいましたが、第三班が撃たれている間に、やはり護衛隊形を縦にして、そこから離脱したそうです。ちょうど今、我々のいる列の左側にいます」

コールタン
「何でそこに!?」

クルタナ
「さあ……通信を入れて移動させましょうか?」

コールタン
「いや、それより、うちの尻を囓ってる奴らを駆除するほうが先だ。このままじゃ、中央攻撃する前にこっちが食いつくされちまう。……元パラディン大佐隊を切り離して、エリゴールたちを〝全艦殲滅〟させろ。エリゴールはここで退場アウトさせておかないと、この先何をされるかわからねえ」

クルタナ
「同感で了解です」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「コールタン大佐隊が……止まった?」

エリゴール
「いや、俺たちを殲滅するために、隊の半分を切り離したんだろ。切り離されたのは、たぶん元パラディン大佐隊だ。コールタン大佐の性格的に、隊列の前半分は本来のコールタン大佐隊で固めてたはずだ」

フィリップス
「え、ということは、今までうちが撃ち落としてたのはあんたの元同僚?」

エリゴール
「初っ端に撃ち落としたのは、あんたらの現同僚だっただろうが」

フィリップス
「うっ、それを言われると!」

エリゴール
「それはともかく、元パラディン大佐隊だけは、〈オートクレール〉に撃たれる前にここで殲滅しておかないと。……二班! 五班! 全速前進で今度は元パラディン大佐隊の背後に回りこんで〝背面撃ち〟!」

二班長・五班長
『了解!』

ハワード
「うちは!?」

エリゴール
「〝半身〟になって両側から〝側面撃ち〟! 横に広がられる前に囓りまくる!」

ハワード
「了解!」

フィリップス
「囓るといえば……〝無旋回〟は今、どこで何を?」

五班長・ロング
『こちら五班! 〝無旋回〟なら、コールタン大佐隊の左横で〝縦走り〟してるぞ!』

フィリップス
「何でまた!?」

五班長・ロング
『さあ……今日は〝連合〟だから、退場アウトさせられないように逃げつづけてるんじゃないのか?』

フィリップス
「まあ、それもそうか」

ハワード
「あと、撮影のこともあるんじゃないのか。あそこにいれば中央が撮れる」

エリゴール
「なるほど。〝無旋回〟にとっては演習より撮影か」

ハワード
「まるで従軍カメラマンのようだな」

フィリップス
「第二の撮影班として採用するかどうかは別として、今日撮ったやつは見てみたいな」

ハワード
「ここまで頑張ってるんだから、もう正式に採用してやれよ……」

 ***

【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】

八班長・ブロック
「一班は容赦なく撃ってくるから、なかなか撮れないなあ……」

副長・ウィルスン
「本当に一班にしか興味ないんだな。いっそ、一班専属の撮影班にしてもらえ」

ブロック
「そうだな……本当にそうしてもらえるんなら、それがいちばんいいな……」

ウィルスン
「まずい! それじゃ公式ストーカー!」
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