上 下
196 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

178【交換ついでに合同演習編83】訓練二日目:確かに面倒

しおりを挟む
【パラディン大佐隊・執務室】

エリゴール
「大佐殿。お帰りになる準備はもうできていますか?」

パラディン
「うん、できてるよ!」

モルトヴァン
「……結局、エリゴール中佐が帰ってきても、ほとんど仕事はしなかった……」

エリゴール
「明日の演習では、本物の『連合』だと思って、コールタン大佐隊を遠慮なく撃ち落としまくってください」

パラディン
「もちろんだよ! コールタン大佐隊に遠慮なんかするわけないじゃないか!」

モルトヴァン
「うわ、心からの笑顔と言葉!」

エリゴール
「例の軍艦ふねの交換の件は、一班長とフィリップス副長には話してあります。十二班以外の班には秘密にしていますから、大佐殿もくれぐれも口を滑らせないように」

パラディン
「わかってるよ! それが今回の合同演習の真の目的だからね!」

エリゴール
「……そうですね。では、お送りします……」

パラディン
「エリゴール中佐……もしよかったら、このまま一緒に食事でも……」

エリゴール
「〝もしよかったら〟がなかったらパワハラですね。……申し訳ありませんが、自分はもう食事は済ませてしまいました。退役したらまた誘ってください」

パラディン
「退役!?」

エリゴール
「上官と食事をするのはいろいろと面倒なので」

パラディン
「面倒って……その言い方だと、上官と食事したことあるんだね!? 誰!? マクスウェル大佐!? まさか、コールタン大佐!?」

エリゴール
「ほら、面倒でしょう」

パラディン
「ねえ、コールタン大佐と食事したの!? コールタン大佐と食事してたら、明日、最大出力で〈デュランダル〉撃つよ!?」

エリゴール
「とりあえず、コールタン大佐殿とは食事はしていません」

パラディン
「あ、そう。それならよかった」

エリゴール
「ですから、明日はあくまで最小出力で」

パラディン
「うん、わかった」

 パラディンが少し席を外した間の会話。

モルトヴァン
「……エリゴール中佐。コールタン大佐と食事したことがないというのは嘘でしょう?」

エリゴール
「少なくとも、上官でいる間は食事したことはありません」

モルトヴァン
「詭弁!?」

エリゴール
「嘘はついていません」

モルトヴァン
「……ほんのちょっとだけ、うちの大佐がかわいそうに……」

エリゴール
「そう思うなら、早く大佐殿を結婚させてください。カラ残業しないでうちに帰るように」

モルトヴァン
「それは、アルスター大佐隊に『連合』を押し戻すことより困難です……」
しおりを挟む

処理中です...