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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

172【交換ついでに合同演習編77】訓練二日目:副長VS副長

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【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

クルーA
「副長! 一班の副班長隊が抜け出してきました!」

レラージュ
「さすがに一班の副班長隊は、他の班の副班長隊とは出来が違うか。……中央! 反転して一班の副班長隊を落とせ!」

十一班艦長たち
『了解!』

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

一班副班長
『班長! 十一班の中央二隻が反転してまっすぐこちらに向かってきます!』

フィリップス
「何ィ!?」

ハワード
「ほんとにもう、勝つためには何でもありだな……」

フィリップス
「前から撃ってもどうせ当たらないか! 〝移動しながら横〟でかわして、十一班の班長艦の後方につけ! 追いつけなくてもかまわない! 後ろから下手に撃ったら班長艦に当たるかもしれないと思えるように位置どりしろ!」

一班副班長
『了解!』

 ***

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

十一班艦長
『レラージュ副長! 一班の副班長隊が〝移動しながら横〟になって俺らをかわしました!』

レラージュ
「……つまり、普通の移動隊形になって?」

十一班艦長
『あ、そうか! そうです! 移動隊形でそちらを追っています!』

レラージュ
「それなら、いきなり副班長艦は狙わずに、最後尾から順に落としていけ。副班長艦は最後に挟み撃ちだ」

十一班艦長
『了解!』

ロノウェ
「……こええ落とし方……」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

一班副班長
『班長! 十一班が、十一班が……!』

フィリップス
「くそう、その手があったか! まさに〝嬲り撃ち〟!」

ハワード
「嬲り撃ち。……確かに」

通信士
「班長! 副班長に何か!」

フィリップス
「最後の一隻になったら旋回して離脱しろ! 意地でも十一班の班長艦に食らいつけ!」

通信士
「了解!」

ハワード
「……やっぱりおまえが班長になったほうが……」

フィリップス
「俺は失敗した責任は負いたくないんだよ!」

ハワード
「本音すぎる!」

 ***

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

十一班艦長A
『レラージュ副長! 一班の副班長艦に逃げられました! 今そちらに向かっています!』

レラージュ
「……おまえらはもう戻ってこなくていい」

十一班艦長A
『ああッ、すみませんッ! 絶対にしとめますッ!』

レラージュ
「当たり前だ! しとめられなかったら、開きはやっぱりビニール袋なしだ!」

十一班艦長A
『ひいッ!』

十一班艦長B
『レラージュ副長! 一班の班長隊が後方から来ます!』

レラージュ
「ついに来たか。……二班、五班、十班はもう全部退場アウトさせたな? また三隻ずつ組んで、両側から班長艦を落とせ。一班の班長艦さえ落とせば〝レフト〟は終わりだ」

十一班艦長B
『了解!』

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「畜生、〝ミニ半身〟! ちゃっかり二枚待ちかまえてやがる!」

ハワード
「六班二分の一は一枚だったから〝移動しながら横〟でかわせたが……二枚だとさっきの副班長隊と同じことになるぞ。いったいどうやってあれをかわす?」

フィリップス
「……〝ヘコアユ〟になって突破する」

ハワード
「は?」

 ***

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

十一班艦長B
『レラージュ副長! 一班の班長隊が!』

レラージュ
「どうした? また〝移動しながら横〟になったのか?」

十一班艦長B
『いえ、二列目・三列目が班長艦と並んで、縦一列になりました! そのまま速度を落とさずに突っこんできます!』

レラージュ
「班長艦は!? とにかく班長艦を潰せ!」

十一班艦長B
『了解……あ!』

レラージュ
「どうした!?」

十一班艦長B
『急降下されました! 〝半身〟に戻って、そちらに向かっています!』

レラージュ
「……おまえらももう戻ってこなくていい」

十一班艦長B
『ああッ、そんなッ! レラージュ副長ッ!』

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「飛ばせ! 飛ばせ! 飛ばせ! 射程圏内に入ったと同時に〝移動しながら横〟になって〝元四班長撃ち〟!」

クルーたち
「了解!」

ハワード
「……この対抗戦は〝元四班長撃ち〟の訓練なのか……?」

   *

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

クルーA
「副長! 一班の班長隊が射程圏内に入りかけています!」

レラージュ
「……どいつもこいつも役立たずが……!」

ロノウェ
「レラージュ……」

十一班艦長A
『レラージュ副長! 一班の副班長艦しとめました!』

レラージュ
「…………」

十一班艦長A
『ああッ! 無視ですかッ!? レラージュ副長ッ!』

レラージュ
「……一班の班長隊をしとめそこねた六隻と合流して、四隻の〝半身〟を二枚作れ。それで一班の班長隊を追って、奴らが〝移動しながら横〟になったら、おまえらも〝移動しながら横〟になって〝卑怯撃ち〟しろ。早く!」

十一班艦長A
『了解ッ!』

ロノウェ
「間に合うのか?」

レラージュ
「わかりません。ただ、これで一班に負けたら、悔しくて眠れません」

ロノウェ
「おい……これはあくまで訓練だぞ?」

レラージュ
「訓練でも練習でも、負けるのは悔しいんです!」

ロノウェ
「ほんとにもう、とことん負けず嫌いだな……」

クルーA
「副長! 一班の班長隊が射程圏内に入りました! 〝移動しながら横〟になっています!」

十一班艦長B
『レラージュ副長! うちも〝移動しながら横〟になりました! 一斉掃射開始します!』

レラージュ
「よし! やれ! 当たるまで撃ちつづけろ! たとえこの軍艦ふねが落とされても、おまえらが一隻でも残っていればうちの勝ちだ!」
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