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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

167【交換ついでに合同演習編72】訓練二日目:縦走り

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【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】

クルーA
「班長! 八班がまっすぐこちらに突っこんできます!」

六班長・ラムレイ
「うちが八班を砲撃している間に、他の班はここを突破していく作戦か! 何て非情な!」

副長
「非情と言われても……実際問題、それ以外に方法はないと思うが……」

クルーA
「八班が〝半身〟になって左右に分かれました! うちの両脇を通るつもりのようです! でも、隊形が〝魚〟というより、護衛隊形の半分のような……?」

ラムレイ
「うちを両側から挟みこんで、完全に〝盾〟になるつもりか! ジャンケンで負けたか、八班!」

副長
「まさか、そんな決め方はしていないと思うが……」

ラムレイ
「〝盾〟に徹してくれるなら、こちらは外側の六隻で対応できる! 中央四隻! 反転して非情な〝魚〟どもをここから撃ち落とせるだけ撃ち落とせ!」

クルーたち
「了解!」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「げっ! 六班が護衛隊形横置きのまま、後ろから撃ってきた!」

ハワード
「どうやって!?」

クルーA
「上段一隻、中段二隻、下段一隻を反転させています!」

フィリップス
「畜生! あれじゃ〝元四班長撃ち〟もできねえ! もう全速力で逃げるしかないな!」

ハワード
「結局、八班が封じられたのは両脇だけか!」

フィリップス
「それでも充分だ! できれば班長艦を落としたかったが、あれじゃ無理だ!」

ハワード
「無理?」

フィリップス
「六班は〝蛇〟で護衛隊形になってる! 班長艦と副班長艦は、上段と下段の中央だ!」

ハワード
「六班……いつのまにそんな知恵を……」

フィリップス
「俺はあえて悪知恵と呼びたい」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】

クルーA
「……これは夢? 夢ならまだ覚めないでくれ……」

副長補佐
「班長……十二班、全滅しました……」

エリゴール
「よし、よくやった。今度は護衛隊形〝縦走り〟の練習だ」

副長補佐
「〝縦走り〟?」

エリゴール
「一班のフィリップス副長が、護衛隊形を縦に走らせることをそう言っていた。別に公認したわけじゃないが、わかりやすいので使う」

副長補佐
「〝縦走り〟……」

クルーA
「確かにわかりやすいが、よく考えるとおかしいような……」

エリゴール
「まず、全艦艦首を左に九〇度旋回。この班長艦を先頭にして、護衛隊形を崩さないように前進する。……まあ、基本は〝魚〟と同じだ。中段一列増えた分、かえって〝魚〟よりも隊形は整えやすいかもしれん」

操縦士たち
『了解……あ、ほんとだ』

エリゴール
「目標は十班に追いついて後ろから撃つこと。四班はまだ〝縦走り〟できないはずだ。前半と同じように、また四班を置き去りにしていくぞ!」

クルーたち
「了解!」

 ***

【パラディン大佐隊・第四班第一号ブリッジ】

四班長・ワンドレイ
「三班が……あの十二班を全滅させた……!」

副長
「さすが元四班長……〝護衛隊〟にも容赦なし……」

ワンドレイ
「おまけに、あの三班を、護衛隊形のまま縦に走らせている……!」

副長
「あれ……今までうちはしたことありませんよね……?」

ワンドレイ
「もしかして、今あれができないのはうちだけか?」

副長
「いえ、確か十一班もまだしたことは……でも、あそこなら、やろうと思えばすぐにやれると思います」

ワンドレイ
「そうだな……あそこなら……」

副長
「……どうしますか?」

ワンドレイ
「他の班も縦に走りはじめた。またうちの班だけ置き去りにされるわけにはいかない。うちも走るぞ! 縦に!」

副長
「……確かに、うちの班のほうが〝ペナルティ〟……」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「結局、今回は何隻突破できたんだ!? うちは今んとこ十隻!」

二班長・キャンベル
『こちら二班! 予想外に十隻です!』

五班長・ロング
『こちら五班! 同じく十隻!』

八班長・ブロック
『こちら八班! 班長艦と副班長艦の二隻だけ生き残りました!』

フィリップス・二班長・五班長
『何で!?』

八班長・ブロック
『何でって……何ででしょう?』

フィリップス
「おまえら、他の艦、犠牲にしたなあ!」

八班長・ブロック
『皆さんもうちを犠牲に……』

フィリップス
「〝無旋回〟のくせに口答えしやがって! 罰として二隻で突っ走って、最初に十一班の餌食になれ!」

八班長・ブロック
『ええっ!?』

五班長・ロング
『ようするに先に行けってことだ。もしかしたら十一班の一隻くらいは落とせるかもしれない』

八班長・ブロック
『何かいろいろ複雑ですけど、とりあえずお先に失礼しまーす!』

フィリップス
「……やっぱり二隻だけだと速いな」

五班長・ロング
『だが、俺も複雑だ……どうして中央の〝無旋回〟が全滅しなかったんだ……』

二班長・キャンベル
『それは俺も不思議ですけど……それより〝無旋回〟が全滅しなかったことを誰も喜んでいないのが不思議です……』

フィリップス
「あとは……十班! 十班はどうした!?」

十班長・ヒールド
『こちら十班! 突破したときは十隻でしたが……いま後ろに、三班が、三班が……!』

フィリップス
「何ィ!?」

五班長・ロング
『三班がついに〝縦走り〟までマスターしてしまったのか!』

フィリップス
「ひいっ! もしかして、あえて突破させて〝元四班長撃ち〟する作戦!?」

五班長・ロング
『かもしれん! 七班、九班も〝縦走り〟してきたぞ!』

二班長・キャンベル
『七班、九班!』

フィリップス
「あ、二班のトラウマが!」

五班長・ロング
『六班もだ! くそう、やっぱり速い!』

フィリップス
「十一班撃つのに〝無旋回〟の二隻だけじゃ絶対無理だ! 最低でもあと十隻、いや、できたら二十隻は欲しい! とにかく全班全速前進! 今、俺たちが〝元四班長撃ち〟しに行く!」

ハワード
「えっ!?」
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