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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

95【合流編14】砲撃としての初出撃の後

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【パラディン大佐隊・執務室】

パラディン
「ちょっと目を離した隙にいつもいなくなっているな、エリゴール中佐は……」

モルトヴァン
「大佐……本当に申し訳ありませんでした!」

パラディン
「モルトヴァン、いきなりどうした?」

モルトヴァン
「大佐が上官のプライドを捨てて、エリゴール中佐に〈オートクレール〉に乗ってくれと頭を下げた理由が、今日の出撃でよくわかりました!」

パラディン
「そうだろう! エリゴール中佐に乗ってもらって、本当によかっただろう!」

モルトヴァン
「はい。やはり護衛と砲撃は全然違いますね。……はっきり言って怖かったです! エリゴール中佐がいたので、いざというときには何とかしてくれるだろうと、どうにか耐えきれました!」

パラディン
「私はもともと砲撃希望だったのを護衛担当にされてしまった人間だが……おまえと同様、やっぱり怖かった! エリゴール中佐が隣にいてくれたから、平気なふりをしていられた!」

モルトヴァン
「さすがにエリゴール中佐は砲撃出身だけあって、とても落ち着いていましたね。大佐にもいつになく親切に対応してくれていましたし」

パラディン
「今日は親切というより優しかったよ! ……軍艦ふねを降りてもああならいいのに」

モルトヴァン
「多くを望んではいけません」

パラディン
「やはりエリゴール中佐を私の専属班に異動させたいのだが……彼はきっとまたあの切り札を持ち出してくるな……」

モルトヴァン
「おそらく。……もうほとんど大佐の側近になっていますが」

パラディン
「それにしても、砲撃担当になってから、〈オートクレール〉の乗組員が妙に生き生きしだしたな」

モルトヴァン
「そうですね。特に副長が。以前、演習のとき、〝我々もリハビリしなくては〟と言っていましたが、今日の戦闘終了直後、いちばん〝ドヤ顔〟をしていたのが副長でした」

パラディン
「……副長も、実は砲撃希望だったのかな」

モルトヴァン
「そう言われてみれば、副長は最初からエリゴール中佐には敬意を払っていましたね……」

パラディン
「やはり、〈オートクレール〉にエリゴール中佐は必要だろう!」

モルトヴァン
「はい! もう二度と乗艦には反対いたしません!」
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