寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

113【交換ついでに合同演習編18】訓練一日目:椅子作りレース一回戦

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【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】

エリゴール
『タイムはともかく、十二班全部〝椅子〟ができるようになった。〝先生〟、お疲れさん。三班の班長艦、明日俺が遊びにいくからよろしく』

八班長・ブロック
「いいなあ、三班」

副長・ウィルスン
「どう考えてもペナルティじゃないよな」

ブロック
「元四班長がいてくれたらセイフティ」

エリゴール
『さて、最後の訓練の前準備として、これから〝椅子〟組限定でちょっとしたレースを行う。実戦では、アルスター大佐隊、一班組の後に発進して、今うちがいるあたりに〝椅子〟を並べることになるが、これを今から五回連続でやってもらう。
 いちばん早く〝椅子〟を完成させて、砲撃できる状態にした班が〝勝ち〟だ。勝った回数がいちばん多かった班に〝飴ちゃん〟五個進呈する。判定員は〝椅子〟組以外の班全部。勝者決定は多数決だ。判定結果は……そうだな、二班がまとめて発表してくれ』

ウィルスン
「〝飴ちゃん〟五個!?」

ブロック
「一回戦につき一個計算かな。もし勝ち数同じになったらジャンケン?」

ウィルスン
「きっと、勝ち数同じ同士で決戦させるんじゃないか? そっちのほうが面白そうだ」

エリゴール
『で、その〝椅子〟組以外全部。最後の訓練では、護衛隊形で縦一列になって〝椅子〟組を砲撃する。その練習も兼ねて、判定は護衛隊形でしろ。そのほうが〝椅子〟もよく見えるだろ。今のうちに前に並んでおけ』

ブロック
「まあ、言われてみれば」

ウィルスン
「……何か、自然と〝ファイアー・ウォール〟状態になってるな」

エリゴール
『スタートの号令は、最初の一回は俺がかけるが、それからは勝者が次の号令をかける。自分のタイミングでかけつづけたければ、ずっと勝ちつづけろ。もちろん、号令かけるのは、全班スタート地点についてからだ』

ウィルスン
「そりゃそうだ。……あれ? 一班が〝椅子〟組のほうに行っちまったぞ? 一班にあっちに行かれたら、ゴール地点わからなくならないか?」

ブロック
「俺たちが移動しなければ、測定してわかるんじゃないのか?」

ウィルスン
「あ、そうか」

エリゴール
『なお、うちは六班の次に合格できたのにもかかわらず、今まで他の班の面倒を見ていて休憩がとれなかった。ので、その休憩時間を使って、この〝椅子〟組のレースに参加する。ただし、うちが一位になったら、勝者の権利は二位に譲る。でも、順位発表の中には入れてくれ』

ウィルスン
「すげえ身勝手! でも、勝者になれなくてもいいからレースに参加したいなんて……何で?」

ブロック
「たぶん、移動しながら変形したかったんじゃないか? 六班みたいに」

ウィルスン
「一班……大丈夫か?」

ブロック
「元四班長がいるから大丈夫だろう。……たぶん」

エリゴール
『じゃあ〝椅子〟組、準備はいいか? ゴー』

ブロック
「まさかのフェイント!」

ウィルスン
「あれ、不正行為だろ!?」

 ***

【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】

六班長・ラムレイ
「さすが元四班長! 俺たちの魂の叫びをわかってくれてるぜ!」

クルーA
「これなら安心して〝先生〟越えできますね!」

ラムレイ
「やっぱり変形は移動しながらだぜ!」

クルーA
「そのうち、移動しながら合体までいきたいですね!」

ラムレイ
「ああ! でも、今はとにかくトップをとる!」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

ハワード
「六班の歓喜の叫びが聞こえてくるようだ……」

フィリップス
「ありがとう! 元四班長! でも、スタートの号令は普通にかけたほうが……」

エリゴール
「スタートダッシュに遅れる班が出てくるかと思ったが、そんなことはなかったな。さすがに出来のいい班が多いだけある」

フィリップス
「〝先生〟が……やっぱり速い……」

エリゴール
「あそこは負けず嫌いだから……六班の〝移動しながら変形〟とどっちが速いかな」

フィリップス
「え……元四班長……うちは?」

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ザボエス
「何つーか……大佐的練習方法……」

ヴァッサゴ
「〝飴ちゃん〟は欲しいが……〝先生〟には勝てない……」

ザボエス
「安心しろ。たぶん俺らは一班にも勝てない」

 ***

【パラディン大佐隊・第二班第一号ブリッジ】

エリゴール
『二班長! 判定結果は?』

二班長・キャンベル
「しょ、少々お待ちください! 今から各班に問い合わせて、判定結果をまとめます!」

クルーA
「しかし、どうして元四班長は、俺たちを集計係にしたんだろうな?」

クルーB
「さあ……別に深い意味はないんじゃないか? 単に一班の隣は二班だからとか」

クルーA
「おまえじゃないんだから、そんな簡単な決め方しないだろ」

クルーB
「でも、うちじゃなきゃならない特別な理由なんてあるか?」

クルーA
「……ないよな?」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「〝先生〟は、やっぱり〝移動しながら変形〟はしなかった……」

ハワード
「〝先生〟の意地だな」

フィリップス
「それなのに、俺たちよりも速かった……!」

ハワード
「しょうがない。うちはこれが初めての〝移動しながら変形〟だ。次こそは〝先生〟に勝つ……!」

エリゴール
「……あんたらの、その〝移動しながら変形〟にかける情熱は、いったいどこから湧いて出てるんだ……」

エリゴール以外
「魂!」

エリゴール
「乗組員全員で、答えを打ち合わせておいたのか?」

二班長・キャンベル
『お待たせしました! 一回戦の判定結果、三位まで発表します! 一位・六班、二位・十一班、三位・一班です!』

フィリップス
「せ……〝先生〟が六班に負けた……!?」

ハワード
「〝移動しながら変形〟が〝その場で変形〟に勝ったのか!? う、嬉しいが、六班に負けたのは悔しい……!」

エリゴール
「ほう……十一班が負けたか……こりゃ荒れるな……」

フィリップス
「元四班長……ものすごく楽しそうだな……」

 ***

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

レラージュ
「……なるほど。六班が休憩時間中、延々と自主練していたのは、このためでしたか……」

ロノウェ
「レラージュ……落ち着けよ? あとまだ四回戦もあるんだからな?」

レラージュ
「班長、俺は落ち着いていますよ。確かに〝移動しながら変形〟したほうが、配置についたとき、早く〝椅子〟になれます。でも、最初から〝椅子〟になるつもりなら、わざわざ〝移動しながら変形〟する必要はありません」

ロノウェ
「へ?」
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