上 下
131 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

113【交換ついでに合同演習編18】訓練一日目:椅子作りレース一回戦

しおりを挟む
【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】

エリゴール
『タイムはともかく、十二班全部〝椅子〟ができるようになった。〝先生〟、お疲れさん。三班の班長艦、明日俺が遊びにいくからよろしく』

八班長・ブロック
「いいなあ、三班」

副長・ウィルスン
「どう考えてもペナルティじゃないよな」

ブロック
「元四班長がいてくれたらセイフティ」

エリゴール
『さて、最後の訓練の前準備として、これから〝椅子〟組限定でちょっとしたレースを行う。実戦では、アルスター大佐隊、一班組の後に発進して、今うちがいるあたりに〝椅子〟を並べることになるが、これを今から五回連続でやってもらう。
 いちばん早く〝椅子〟を完成させて、砲撃できる状態にした班が〝勝ち〟だ。勝った回数がいちばん多かった班に〝飴ちゃん〟五個進呈する。判定員は〝椅子〟組以外の班全部。勝者決定は多数決だ。判定結果は……そうだな、二班がまとめて発表してくれ』

ウィルスン
「〝飴ちゃん〟五個!?」

ブロック
「一回戦につき一個計算かな。もし勝ち数同じになったらジャンケン?」

ウィルスン
「きっと、勝ち数同じ同士で決戦させるんじゃないか? そっちのほうが面白そうだ」

エリゴール
『で、その〝椅子〟組以外全部。最後の訓練では、護衛隊形で縦一列になって〝椅子〟組を砲撃する。その練習も兼ねて、判定は護衛隊形でしろ。そのほうが〝椅子〟もよく見えるだろ。今のうちに前に並んでおけ』

ブロック
「まあ、言われてみれば」

ウィルスン
「……何か、自然と〝ファイアー・ウォール〟状態になってるな」

エリゴール
『スタートの号令は、最初の一回は俺がかけるが、それからは勝者が次の号令をかける。自分のタイミングでかけつづけたければ、ずっと勝ちつづけろ。もちろん、号令かけるのは、全班スタート地点についてからだ』

ウィルスン
「そりゃそうだ。……あれ? 一班が〝椅子〟組のほうに行っちまったぞ? 一班にあっちに行かれたら、ゴール地点わからなくならないか?」

ブロック
「俺たちが移動しなければ、測定してわかるんじゃないのか?」

ウィルスン
「あ、そうか」

エリゴール
『なお、うちは六班の次に合格できたのにもかかわらず、今まで他の班の面倒を見ていて休憩がとれなかった。ので、その休憩時間を使って、この〝椅子〟組のレースに参加する。ただし、うちが一位になったら、勝者の権利は二位に譲る。でも、順位発表の中には入れてくれ』

ウィルスン
「すげえ身勝手! でも、勝者になれなくてもいいからレースに参加したいなんて……何で?」

ブロック
「たぶん、移動しながら変形したかったんじゃないか? 六班みたいに」

ウィルスン
「一班……大丈夫か?」

ブロック
「元四班長がいるから大丈夫だろう。……たぶん」

エリゴール
『じゃあ〝椅子〟組、準備はいいか? ゴー』

ブロック
「まさかのフェイント!」

ウィルスン
「あれ、不正行為だろ!?」

 ***

【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】

六班長・ラムレイ
「さすが元四班長! 俺たちの魂の叫びをわかってくれてるぜ!」

クルーA
「これなら安心して〝先生〟越えできますね!」

ラムレイ
「やっぱり変形は移動しながらだぜ!」

クルーA
「そのうち、移動しながら合体までいきたいですね!」

ラムレイ
「ああ! でも、今はとにかくトップをとる!」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

ハワード
「六班の歓喜の叫びが聞こえてくるようだ……」

フィリップス
「ありがとう! 元四班長! でも、スタートの号令は普通にかけたほうが……」

エリゴール
「スタートダッシュに遅れる班が出てくるかと思ったが、そんなことはなかったな。さすがに出来のいい班が多いだけある」

フィリップス
「〝先生〟が……やっぱり速い……」

エリゴール
「あそこは負けず嫌いだから……六班の〝移動しながら変形〟とどっちが速いかな」

フィリップス
「え……元四班長……うちは?」

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ザボエス
「何つーか……大佐的練習方法……」

ヴァッサゴ
「〝飴ちゃん〟は欲しいが……〝先生〟には勝てない……」

ザボエス
「安心しろ。たぶん俺らは一班にも勝てない」

 ***

【パラディン大佐隊・第二班第一号ブリッジ】

エリゴール
『二班長! 判定結果は?』

二班長・キャンベル
「しょ、少々お待ちください! 今から各班に問い合わせて、判定結果をまとめます!」

クルーA
「しかし、どうして元四班長は、俺たちを集計係にしたんだろうな?」

クルーB
「さあ……別に深い意味はないんじゃないか? 単に一班の隣は二班だからとか」

クルーA
「おまえじゃないんだから、そんな簡単な決め方しないだろ」

クルーB
「でも、うちじゃなきゃならない特別な理由なんてあるか?」

クルーA
「……ないよな?」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「〝先生〟は、やっぱり〝移動しながら変形〟はしなかった……」

ハワード
「〝先生〟の意地だな」

フィリップス
「それなのに、俺たちよりも速かった……!」

ハワード
「しょうがない。うちはこれが初めての〝移動しながら変形〟だ。次こそは〝先生〟に勝つ……!」

エリゴール
「……あんたらの、その〝移動しながら変形〟にかける情熱は、いったいどこから湧いて出てるんだ……」

エリゴール以外
「魂!」

エリゴール
「乗組員全員で、答えを打ち合わせておいたのか?」

二班長・キャンベル
『お待たせしました! 一回戦の判定結果、三位まで発表します! 一位・六班、二位・十一班、三位・一班です!』

フィリップス
「せ……〝先生〟が六班に負けた……!?」

ハワード
「〝移動しながら変形〟が〝その場で変形〟に勝ったのか!? う、嬉しいが、六班に負けたのは悔しい……!」

エリゴール
「ほう……十一班が負けたか……こりゃ荒れるな……」

フィリップス
「元四班長……ものすごく楽しそうだな……」

 ***

【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】

レラージュ
「……なるほど。六班が休憩時間中、延々と自主練していたのは、このためでしたか……」

ロノウェ
「レラージュ……落ち着けよ? あとまだ四回戦もあるんだからな?」

レラージュ
「班長、俺は落ち着いていますよ。確かに〝移動しながら変形〟したほうが、配置についたとき、早く〝椅子〟になれます。でも、最初から〝椅子〟になるつもりなら、わざわざ〝移動しながら変形〟する必要はありません」

ロノウェ
「へ?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無冠の皇帝

有喜多亜里
BL
「連邦」、「連合」に次ぐ銀河系内の第三勢力「帝国」。その宗主であった「連合」五星系の一つザイン星系は「帝国」の再植民地化をもくろみ侵攻しようとするも「帝国」宇宙軍と皇帝軍護衛艦隊に阻まれる。「帝国」の元皇太子アーウィンが司令官を務める皇帝軍護衛艦隊の鉄則はただ一つ。〝全艦殲滅〟。――なーんて感じの「なんちゃってSF」。コメディ寄りのボーイズラブ(自称)。大佐(変態だけどまとも)×元皇太子(ツンデレストーカー)。 ◆BOOTH様で同人誌を通販しています。既刊4冊(https://aarikita.booth.pm/)。 ◆表紙はかんたん表紙メーカー様で作成いたしました。ありがとうございました(2023/03/16)。 ◆「第11回BL小説大賞」で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

生意気な弟がいきなりキャラを変えてきて困っています!

あああ
BL
おれはには双子の弟がいる。 かわいいかわいい弟…だが、中学になると不良になってしまった。まぁ、それはいい。(泣き) けれど… 高校になると───もっとキャラが変わってしまった。それは─── 「もう、お兄ちゃん何してるの?死んじゃえ☆」 ブリッコキャラだった!!どういうこと!? 弟「──────ほんと、兄貴は可愛いよな。 ───────誰にも渡さねぇ。」 弟×兄、弟がヤンデレの物語です。 この作品はpixivにも記載されています。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

チャラ男会計目指しました

岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように………… ――――――それを目指して1年3ヶ月 英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた 意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。 ※この小説はBL小説です。 苦手な方は見ないようにお願いします。 ※コメントでの誹謗中傷はお控えください。 初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。 他サイトにも掲載しています。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

処理中です...