127 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
109【交換ついでに合同演習編14】どうにでもなる
しおりを挟む
【パラディン大佐隊・執務室】
パラディン
「エリゴール中佐。こんな時間になってからわざわざコールタン大佐の執務室に行って、いったい何を打ち合わせてきた?」
エリゴール
「はい。演習二日目の『帝国』側の布陣についてです。夕刻、班長会議をして出た二案を図にしてコールタン大佐殿にお渡しし、若干の説明をしてまいりました。……これがそうです」
パラディン
「……こんなものをなぜ渡した? 君たちは『連合』役だろう? 敵にヒントを与えてやってどうする?」
エリゴール
「一言で言うと〝攪乱〟です」
パラディン
「攪乱?」
エリゴール
「コールタン大佐殿なら、我々からこのようなものを渡されたら、本当は別の布陣を想定しているのではないかとまず疑うでしょう。しかし、その裏をかいて、やはりこれらの布陣を想定しているかもしれない。……ヒントではなくクイズそのものを差し上げました」
パラディン
「……そういう作戦はありか?」
エリゴール
「演習二日目の自分は、あくまで『連合』役ですので。せめて、演習二日目に関してだけは、大佐殿がコールタン大佐殿と直接打ち合わせをなさってください。それこそ、メールでも結構です。その布陣図二枚は大佐殿に差し上げますので、どうぞお好きなようにお使いください」
パラディン
「……私は今、君と打ち合わせがしたいなあ……」
エリゴール
「『帝国』の旗艦と『連合』が打ち合わせをしてどうするんですか」
パラディン
「君が私の軍艦に乗ればいいじゃないか!」
エリゴール
「以前、実戦のときだけ乗艦しますとお約束しましたよね?」
パラディン
「うっ……わかってるよ……言ってみただけだよ……」
エリゴール
「今度同じことをおっしゃったら、無言で立ち去らせていただきます」
パラディン
「うん……わかった……」
モルトヴァン
「最初の勢いはどうしたんですか、大佐」
パラディン
「だって……エリゴール中佐、全然動じないし。一応、話の筋は通っているし。……絶対、建前だろうけど」
モルトヴァン
「でも、確かにエリゴール中佐の言うとおりですよ。演習二日目だけは、大佐がコールタン大佐と協力しあわないと。エリゴール中佐は容赦なく〈デュランダル〉も〈オートクレール〉も撃ってきますよ」
パラディン
「〈デュランダル〉は容赦なく撃ってくれてかまわないけど、私の軍艦は〈フラガラック〉役だから、そう簡単にやられてしまうわけにはいかないな。……仕方ない。演習が終わるまでは電話くらいはしてやるか。仕事用の限定で」
モルトヴァン
「結局、大佐がコールタン大佐を避けはじめたのは、コールタン大佐がエリゴール中佐といまだにつながっているからですか?」
パラディン
「つながっている!?」
モルトヴァン
「あ、いや……通じている?」
パラディン
「通じている!?」
モルトヴァン
「え、これも駄目ですか? ……じゃあ、付き合いがある?」
パラディン
「どんな付き合いだ!?」
モルトヴァン
「普通に、元上官と元部下の付き合いだと思いますが……」
パラディン
「……やっぱりコールタン大佐とは、メールでしかやりとりはしない」
モルトヴァン
「え、私のせい!? コールタン大佐、ごめんなさい!」
***
【コールタン大佐隊・執務室(本物)】
コールタン
「エリゴール……〝やなこった〟と〝嫌だ〟じゃ、どっちが嫌い度高いと思う……?」
エリゴール
『嫌い度というより、相手にされなさ度は〝やなこった〟のほうが高いと思います』
コールタン
「その二つにどんな差が……」
エリゴール
『〝やなこった〟と書かれた場合、完全に見下されています』
コールタン
「畜生……相変わらず的確に分析しやがる……おまえはもうパラディンのところには〝出頭〟したのか?」
エリゴール
『はい。今、待機室に戻るところです』
コールタン
「……大丈夫だったか?」
エリゴール
『ご心配ありがとうございます。しかし、自分は本当にどうにでもなりますので。最悪、〝除隊させろ〟カードがあります』
コールタン
「上官に気に入られてる退役希望者に怖いものはねえな……」
パラディン
「エリゴール中佐。こんな時間になってからわざわざコールタン大佐の執務室に行って、いったい何を打ち合わせてきた?」
エリゴール
「はい。演習二日目の『帝国』側の布陣についてです。夕刻、班長会議をして出た二案を図にしてコールタン大佐殿にお渡しし、若干の説明をしてまいりました。……これがそうです」
パラディン
「……こんなものをなぜ渡した? 君たちは『連合』役だろう? 敵にヒントを与えてやってどうする?」
エリゴール
「一言で言うと〝攪乱〟です」
パラディン
「攪乱?」
エリゴール
「コールタン大佐殿なら、我々からこのようなものを渡されたら、本当は別の布陣を想定しているのではないかとまず疑うでしょう。しかし、その裏をかいて、やはりこれらの布陣を想定しているかもしれない。……ヒントではなくクイズそのものを差し上げました」
パラディン
「……そういう作戦はありか?」
エリゴール
「演習二日目の自分は、あくまで『連合』役ですので。せめて、演習二日目に関してだけは、大佐殿がコールタン大佐殿と直接打ち合わせをなさってください。それこそ、メールでも結構です。その布陣図二枚は大佐殿に差し上げますので、どうぞお好きなようにお使いください」
パラディン
「……私は今、君と打ち合わせがしたいなあ……」
エリゴール
「『帝国』の旗艦と『連合』が打ち合わせをしてどうするんですか」
パラディン
「君が私の軍艦に乗ればいいじゃないか!」
エリゴール
「以前、実戦のときだけ乗艦しますとお約束しましたよね?」
パラディン
「うっ……わかってるよ……言ってみただけだよ……」
エリゴール
「今度同じことをおっしゃったら、無言で立ち去らせていただきます」
パラディン
「うん……わかった……」
モルトヴァン
「最初の勢いはどうしたんですか、大佐」
パラディン
「だって……エリゴール中佐、全然動じないし。一応、話の筋は通っているし。……絶対、建前だろうけど」
モルトヴァン
「でも、確かにエリゴール中佐の言うとおりですよ。演習二日目だけは、大佐がコールタン大佐と協力しあわないと。エリゴール中佐は容赦なく〈デュランダル〉も〈オートクレール〉も撃ってきますよ」
パラディン
「〈デュランダル〉は容赦なく撃ってくれてかまわないけど、私の軍艦は〈フラガラック〉役だから、そう簡単にやられてしまうわけにはいかないな。……仕方ない。演習が終わるまでは電話くらいはしてやるか。仕事用の限定で」
モルトヴァン
「結局、大佐がコールタン大佐を避けはじめたのは、コールタン大佐がエリゴール中佐といまだにつながっているからですか?」
パラディン
「つながっている!?」
モルトヴァン
「あ、いや……通じている?」
パラディン
「通じている!?」
モルトヴァン
「え、これも駄目ですか? ……じゃあ、付き合いがある?」
パラディン
「どんな付き合いだ!?」
モルトヴァン
「普通に、元上官と元部下の付き合いだと思いますが……」
パラディン
「……やっぱりコールタン大佐とは、メールでしかやりとりはしない」
モルトヴァン
「え、私のせい!? コールタン大佐、ごめんなさい!」
***
【コールタン大佐隊・執務室(本物)】
コールタン
「エリゴール……〝やなこった〟と〝嫌だ〟じゃ、どっちが嫌い度高いと思う……?」
エリゴール
『嫌い度というより、相手にされなさ度は〝やなこった〟のほうが高いと思います』
コールタン
「その二つにどんな差が……」
エリゴール
『〝やなこった〟と書かれた場合、完全に見下されています』
コールタン
「畜生……相変わらず的確に分析しやがる……おまえはもうパラディンのところには〝出頭〟したのか?」
エリゴール
『はい。今、待機室に戻るところです』
コールタン
「……大丈夫だったか?」
エリゴール
『ご心配ありがとうございます。しかし、自分は本当にどうにでもなりますので。最悪、〝除隊させろ〟カードがあります』
コールタン
「上官に気に入られてる退役希望者に怖いものはねえな……」
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートの威力はすさまじくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる