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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

25【リハビリついでに演習編05】悪魔の命題

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【パラディン大佐隊・作戦説明室】
   
パラディン
「で、一班長。実現可能な具体案は出たかね?」

ロノウェ
「うわ、いきなりハードル上げてる!」

ザボエス
「昨日はそこまで要求してなかったよな?」

ロノウェ
「これで〝最初から入れ替え目的〟の疑惑がさらに深まった」

一班長・ハワード
「……申し訳ありません。『連合』の砲撃艦群が、我々と接触する前に自発的に撤退してくれれば、結果的に〝前に押し戻す〟ことになると考えたのですが、では、具体的にどうすれば自発的に撤退させることができるのか、その方策を思いつくことができませんでした」

ザボエス
「〝撤退〟までは思いつけたのか……」

ロノウェ
「その点、俺らより頭いいな」

パラディン
「そうか。それでは我々は今までどおり、アルスター大佐隊の〝下働き〟を続けるしかないね」

一班長・ハワード
「そんな……」

パラディン
「だってそうだろう? 基本的に軍隊というものは〝撤退命令〟がなければ勝手に撤退はできない」

一班長・ハワード
「あ……」

ロノウェ
「もしかして、昨日エリゴールが言ってたあれは〝正解〟だったのか?」

ザボエス
「ドレイク大佐のことは言ってないが、何かそれっぽいな」

ロノウェ
「でも、エリゴールはあれ、自分で〝凡人〟の思いつきみたいなこと言ってたよな」

ザボエス
「だから大佐も丸投げしたのか」

パラディン
「しかし〝撤退命令〟を出すか出さないかは『連合』しだいだ。我々にはどうしようもない。……『連合』が必ず〝撤退命令〟を出したくなる状況というのは、いったいどういう状況だろうね?」

一班長・ハワード
「それは……」

パラディン
「一班長。もう一度、チャンスは欲しくないか?」

一班長・ハワード
「チャンス?」

パラディン
「君たちも『連合』の立場になってみたら、その状況がわかるかもしれないよ?」

ザボエス
「まさか……また俺らにも演習させようってのか?」

ロノウェ
「そ、それは予想外……もう入れ替え前提でレラージュに考えさせてた」

ザボエス
「安心しろ。今日も録音している」

ロノウェ
「おまえ……普段の会話もこっそり録音してねえか?」

ザボエス
「安心しろ。俺らの日常会話に録音の価値はねえ」

ロノウェ
「ああ、そうか……そりゃ悪かったな」

一班長・ハワード
「『連合』の立場……ですか?」

パラディン
「まあ、ようは一昨日した演習を、今度は立場を変えてもう一度してみないかということだ。今度は君たちが『連合』になって、我々が『帝国』になる。目的はあくまでも、君たちに考えるヒントを与えるためだ。それでも具体案が出てこなかったら、昨日言ったとおり、入れ替えをする」

一班長・ハワード
「…………」

パラディン
「どうする、一班長。演習をせず、このまま入れ替えか。それとも、演習をしてもう一度トライするか」

一班長・ハワード
「……それでは、もう一度演習をお願いいたします」

パラディン
「こちらこそ。では明日、一昨日と同じ時刻・場所でいいかな?」

一班長・ハワード
「はい。了解いたしました……」

ザボエス
「今度は俺らが『帝国』か……罰ゲーム以外の何物でもねえな」

ロノウェ
「さすがにエリゴールも大佐の演習好きまでは読みきれなかったか」

ザボエス
「まあ、大佐の腹の底はわからねえとも言ってたけどな」

ロノウェ
「でも、俺はそれ以上に、あれほど大佐に好かれてるのに塩対応してるエリゴールがわからねえ」

ザボエス
「それは……まだヴァラクが忘れられなくて……」

ロノウェ
「やっぱり、ヴァラクは悪魔だ……」

ザボエス
「ついでに、大佐も悪魔だ……」

ロノウェ
(ザボエス……おまえも悪魔だ……)
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