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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

22【リハビリついでに演習編02】パラディン大佐隊的入替危機

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【パラディン大佐隊・ミーティング室】

フィリップス
「これは試練なのか? 丸投げなのか?」

一班長・ハワード
「わからん……ただ、明日何も発表できなければ、ついに入れ替えされることだけは確定だ」

四班長・ワンドレイ
「しかし、何で六班と七班なんだ?」

一班長・ハワード
「それもわからん……わかるのは、一班うちの左隣だってことくらいだ」

五班長・ロング
「そこに親衛隊の二班を入れて、その後ろに大佐の〈オートクレール〉を置くつもりなのか?」

フィリップス
「親衛隊は大佐の護衛だろ? そしたら、うちで実質攻撃するのは、十班中八班だけってことにならないか?」

一班長・ハワード
「ああ……凡人なのが口惜しい……」

フィリップス
「綺麗な笑顔ではっきり言うよなあ……確かに俺たち、凡人集団だよなあ……」

三班長・プライス
「自覚はしてたけど、面と向かって指摘されるときついな」

二班長・キャンベル
「でも、自分も凡人みたいなこと言ってましたよね、大佐」

一班長・ハワード
「〝大佐〟だから優秀だとは限らないってのは、ウェーバーとマクスウェルとついでにアルスターでよく知ってるが、パラディン大佐は決して凡人ではないと思うんだがなあ……とりあえず、美形なところは別にして」

フィリップス
「砲撃の前衛と後衛のこともわかってたしな。……うーん、〝前に押し戻す〟か。謎かけみたいなこと言うよな、あの人」

一班長・ハワード
「……戦闘時の流れを整理してみよう。アルスター大佐隊は『連合』の右翼奧に展開して、無人艦と一緒に砲撃艦群を背面攻撃する。でも、実際のところ、中央への攻撃を防いでいるのは主に無人艦で、アルスター大佐隊は大佐が言ったとおり、俺たちのところへ砲撃艦群を追い立ててるだけだ。……改めて考えてみると、ほんとに割りの悪い持ち場だな、後衛」

フィリップス
「だけど……元マクスウェル大佐隊は……!」

一班長・ハワード
「言うな。あそこは特別だ。おまけにダーナ大佐隊も優秀だ。アルスター大佐隊と戦ったら、たぶん、ダーナ大佐隊が圧勝する」

四班長・ワンドレイ
「あそこは〝護衛上がり〟なのに……!」

フィリップス
「だから軍艦ふね動かすのがうまいんだよ。そんなとこが砲撃覚えたら、そら最強だ」

三班長・プライス
「え? 最強は〈ワイバーン〉じゃないのか?」

一班長・ハワード
「あれはまた別枠だな。他の有人艦と連携して動いてるわけじゃないし。その意味では最強は〈フラガラック〉だ」

フィリップス
「ああ……あれはもう別次元だ」

八班長・ブロック
「……親衛隊なら思いつくのかな……」

九班長・ビショップ
「え?」

八班長・ブロック
「砲撃しないで〝前に押し戻す〟方法」

七班長・カットナー
「どうだかな。昨日の演習の作戦だって、きっと大佐が考えたんだろ? ……あ、美形なところも含めてやっぱり凡人じゃない」

五班長・ロング
「たぶん大佐、俺たちを試してるんだよな。ほんとはもう〝答え〟も出してるんだよな。……ああ、悔しい! それがわからない自分が悔しい!」

四班長・ワンドレイ
「一班長! 何とかしろ!」

一班長・ハワード
「凡人代表の俺にそんなことを言われてもな……あいつらが撤退しはじめたら、特に砲撃しなくても、アルスター大佐隊のほうに追い立てることはできると思うが……あいつら、旗艦が落ちても、なかなか撤退してくれないんだよな……」

フィリップス
「そうなんだよな。そこが厄介なんだよな。たまに撤退しようとする艦隊もあるけど、そのときには殲滅できる艦艇数になってる」

一班長・ハワード
「……もう諦めるか」

フィリップス
「諦めるな! ここで諦めたら、大佐に見捨てられる!」

七班長・カットナー
「〝この能なしどもが!〟って罵ってくれるならそれでもいい……」

五班長・ロング
「いくら思いつかないからって、危険な方向に逃避するな、この変態が!」
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