寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

17【引っ越しついでに演習編14】再びパラディン大佐隊旗艦にて

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【パラディン大佐隊・旗艦〈オートクレール〉ブリッジ】

エリゴール
「相変わらず、いい性格をしてらっしゃいますね。大佐殿」

パラディン
「うーん。君の言う〝ごめんね〟をぜひ試してみたかったんだが、一班長に素直に負けを認められてしまったから、言いたくても言えなくなってしまったよ」

エリゴール
「言わなくて済むことなら言わなくていいです。それと、余計なことも言わなくていいです」

パラディン
「余計なこと?」

エリゴール
「何が我々のリハビリですか。いたずらに元ウェーバー大佐隊を刺激するようなことはおっしゃらないでください」

パラディン
「そうかい? 彼らも適度な刺激はあったほうが、日々の生活に張り合いが出ていいんじゃないかな」

エリゴール
「我々は彼らと無用な揉め事は起こしたくありません」

パラディン
「君がそう考えているなら〝無用な揉め事〟は起こらないよ。私はね、エリゴール中佐。元ウェーバー大佐隊にもっと危機感を持ってもらいたいんだ。〝栄転〟だけはしたくないからね」

エリゴール
「……なるほど。確かに元ウェーバー大佐隊に、危機感はなかったかもしれませんね」

パラディン
「〝栄転〟にならないためにも、アルスター大佐隊にだけは勝たなければ!」

エリゴール
「『連合』にでしょう?」

パラディン
「アルスター大佐隊に勝てれば、『連合』にも勝てる!」

エリゴール
「……具体的にどのような方法でアルスター大佐隊に〝勝つ〟おつもりですか?」

パラディン
「そうだね。それが問題だね。下手に合同演習など持ちかけては、後々面倒なことになりそうだ。……エリゴール中佐、どうしよう?」

エリゴール
「考えていなかったんですか? 自分はすでに考え済みだとばかり思っていました」

パラディン
「そんなはずないだろう。私は君たちに今回の作戦も丸投げした!」

エリゴール
「威張れないことを堂々と威張らないでください」

パラディン
「ところでエリゴール中佐。今回の〝詐欺〟作戦。もし君が一班長だったら、どう対処していた?」

エリゴール
「大佐殿に今回の演習の話をされた時点で、退役願を提出していたと思います」

パラディン
「受理は拒否する!」

エリゴール
「ああ、そうですか。……それなら、この軍艦ふねからの攻撃を何とか回避して、そのまま通過させます」

パラディン
「……何?」

エリゴール
「それからただちに反転して、後方から攻撃をしかけます。当然、第一目標はこの軍艦ふねです。ここの艦艇は追撃されたことがないですから、すぐには対応できないでしょう。その間に〝全艦殲滅〟します」

パラディン
「……面白い。今度はそれで試してみようか?」

エリゴール
「どうやって? 今度は元ウェーバー大佐隊に『連合』役をやらせるんですか? それこそ本当に〝遊戯〟でしょう」

パラディン
「うーん。〝ごめんね〟と同じくらい試してみたいのにな。実際、後方からの急襲にどれくらい弱いのか」

エリゴール
「それより、早く実戦用の訓練をすべきだと思いますが」




副長
「大佐、超ご機嫌ですね……」

モルトヴァン
「ええ……軍艦ふねの中ならエリゴール中佐に逃げられないから、超々ご機嫌です……」

副長
「何でしょう……大佐はエリゴール中佐にいったい何を求めているんでしょう……」

モルトヴァン
「今はとにかく、エリゴール中佐を自分のそばにおいて、長話をしていたいみたいなんですが。……あのように」

副長
「役職につけるとしたら何になるんでしょうね……副官補佐?」

モルトヴァン
「正確には大佐補佐だと思いますが、もしそれが実現したら、きっと大佐はいっさい仕事をしなくなります」

副長
「ああ……それは間違いありませんね」

モルトヴァン
「それに、エリゴール中佐も承諾はしないと思います。大佐が姑息に引き留めようとしても、用事が済んだら容赦なく十一班の待機室に戻っていますから」

副長
「大佐……嫌われているんですか?」

モルトヴァン
「嫌われてはいないでしょうが、うざがられてはいると思います」

副長
「え、その二つは同じではないんですか?」

モルトヴァン
「うざがられているほうが、まだ救いはあると思います」

副長
「そうでしょうか……?」

モルトヴァン
「エリゴール中佐も、大佐と戦略上の話をするのは好きなようですから。大佐がエリゴール中佐を……その、気に入っているのは、彼が自分とほぼ同じ答えを出してくるからでもあるんです。何しろ〝いい性格〟をしていますからね。護衛以外のことはわからないようなふりをして、エリゴール中佐や元マクスウェル大佐隊を試しているんです。今回の〝詐欺〟も、エリゴール中佐が報告してくる前に、すでに口にしていました。ただ、エリゴール中佐がこの軍艦ふねに乗ってくれるとは思っていなかったようで、本当に驚いていました。大佐にとっては嬉しい誤算だったようです」

副長
「確かに、エリゴール中佐が乗艦する必要はなかったですよね」

モルトヴァン
「作戦の詳細な説明係としてとは言っていましたが、エリゴール中佐もできたら断ってくれって顔をしていましたよ。大佐に二つ返事で了承されたときには、明らかに落ちこんでいました」

副長
「しかし、さすが元ウェーバー大佐隊。第一撃で班長艦はすべて落とすつもりでいましたが……我々もリハビリしなくては」

モルトヴァン
「え、実戦での攻撃参加はないでしょう?」

副長
「あのときの大佐の得意げな顔を見たかぎり、かなりの確率でありそうな気が……」

モルトヴァン
「ということは、そのときにはまたエリゴール中佐はこの軍艦ふねに強制搭乗させられることに?」

副長
「あると思います……」
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