上 下
63 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

49【悪魔の居場所編14】パラディン大佐隊・十一班劇場2

しおりを挟む
【パラディン大佐隊・第十一班第一号待機室】

レラージュ
「そういえば、元四班長。あの隊形考えたの俺だって大佐に言いましたか?」

エリゴール
「断言はしてねえぞ。たぶんおまえだろうって言っただけで。大佐もそういう訊き方してなかったか?」

レラージュ
「そもそも、俺が考えただろうってこと自体、言わなくったっていいじゃないですか」

エリゴール
「何で? あの大佐になら顔と名前覚えてもらっておいて損はねえぞ。〝応援〟もしてくれるそうだしな」

レラージュ
「大佐に言われたときにも思いましたけど、その〝応援〟って何ですか?」

エリゴール
「たとえば、おまえが大佐にお願いすれば、可能な範囲でそれを叶えてくれるってことじゃねえのか?」

レラージュ
「大佐に?」

エリゴール
「何か要望はねえのか?」

レラージュ
「……次の十二班への差し入れは、うちの班よりグレード下げてほしいです」

エリゴール
「差し入れ前提か」

レラージュ
「たぶん、元四班長がどんなに嫌だと言っても、大佐は差し入れはやめないと思います」

エリゴール
「おまえらはいいけどな……」

レラージュ
「いや、俺たちもちょっと有り難迷惑です。必ず〝お礼〟しなくちゃならないんで」

エリゴール
「ああ、あの礼状か。おまえらも大佐も俺には絶対見せねえが、いったい何が書いてあるんだ?」

レラージュ
「……〝お礼〟です」

 ***

ザボエス
「すげえな。エリゴールにまで平気で噛みついてやがる」

ヴァッサゴ
「以前のエリゴールにだったら、恐ろしくてできない所業だ……」

ザボエス
「今は表向きヒラだし、性格も丸くなってるからな。レラージュのことだから、きっとそこまで計算して言ってるんだろ。……ロノウェが便所に行った隙に言ってるのもな」

ヴァッサゴ
「どうしてそんなに十二班を目のかたきにするんだ……俺たちがいったい何をした……」

ザボエス
「やっぱり、〝女房〟としては、〝亭主〟のために頑張って出撃権とったのに、それで十二班と〝報酬〟が同じっていうのは、どうしても納得がいかねえんじゃねえのか?」

ヴァッサゴ
「そう言われるとそのとおりと思わないでもないが、あれは絶対俺たちにも聞こえるように言ってるだろ」

ザボエス
「今、うちで最強なのは、エリゴールを別にしたら、間違いなくあいつだ」

ヴァッサゴ
「どうして顔の綺麗な奴は、あんな怖いのばっかりなんだよ……」

ザボエス
「逆に言うと、ああいう性格だったから、あの隊で生き残れたんだ」

ヴァッサゴ
「それはそうだが……〝亭主〟、早く帰ってこい!」

ザボエス
「〝亭主〟もこの隙に息抜きしてるんじゃねえのか? でも、これ以上長引いたら〝女房〟が不審に思って……」

 ***

ロノウェ
「よう。便所行ったついでに他の待機室も見て回ってきたぜ。明日もあるし、そろそろお開きにすっか」

レラージュ
「はい、班長。残りは持ち帰りですか?」

ロノウェ
「当然だ」

 ***

ザボエス
「さすが〝亭主〟。絶妙のタイミング。そして言い訳」

ヴァッサゴ
「あいつ、レラージュの扱いに関しては、絶対馬鹿じゃないよな」

ザボエス
「だから班長でいられてるんだろ」

ヴァッサゴ
「うらやましいようでうらやましくない副長……」

ザボエス
「俺は顔と嫌味だけで癒される」

ヴァッサゴ
「俺はもう、顔を見ただけで恐怖する……」

ゲアプ
(今日は本当にネタが多すぎて……全部日誌に書いてたら、きっと一睡もできない……!)
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートの威力はすさまじくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 独自設定、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...