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第三章今川vs織田 怨恨渦巻く桶狭間
宿敵同士の対面
しおりを挟む北条氏康と上杉謙信はかつて関東をかけて争った間柄である。
それは歴史も証明しており、ついには決着はつかなかった。
その歴史的な伝えがあるからか、現代に復活した上杉と北条も数百年争っていた。
誰もそこまで歴史再現はしなくても良い筈なのに始めてしまった。初代から続く無駄な争い事であった。
現在では現当主の「長尾景虎」が関東に全く興味がない為に平和が続いているのだが先代と違い彼女はまだ「上杉」を名乗っていないのである。
彼女の気質から改名するのは面倒くさいと思っているのか?、もしかしたら関東に侵攻する気がないからなのかと言われているのだが真相は本人しか知らない。
だが上杉にやる気がなくても北条はそうではないのだ。
彼等は来るべき戦に準備を進めている、上杉に勝てるように彼等は堅城小田原城にあぐらをかかずに攻める為の準備を進めていたのだが、その来るべき日が来ない為に研ぎ澄ました武力をどこに向けるべきなのか日々考えていた。
氏康は外敵がいなくなった事に安心していたがこの平和が続くと将兵の実戦経験がなくなってくる事に不安を感じてしまう。
強い力があっても実戦経験がなければ真の強さとは言わないからだ。
その為今回の今川の出兵は願ったり叶ったりであり、将兵の実戦経験も兼ねた動きでもあったのだ。
それともう一つ、「信玄」にも知らない事だが元々義元と氏康が昔馴染みという事は知らないのである。
それと氏康が妹分として姉の様な義元を慕っている事も知らない。
さらに氏康から見た「景虎」は宿敵として認識されている事に対してその為なのか彼等が出会うとどうなるかというと……。
ギィン!!と大きな音と地面が割れる音が聞こえ行軍している今川兵士がどよめいてしまう。
「一体何が起きたんだ?」
「分からんがどうせ何かの揉め事だろう?北条さんが何か起こしているんじゃないのかな?」
呑気にそんな話をする今川兵士達、彼等はそんなことよりも心配しなければならない事があったから彼等は気にも留めなかった。
「何故!アンタがここにいるのよ!」
ギリギリと刀に力を込めて剣圧を込めるのは青筋を立てる北条家現当主北条氏康その人である。
「へェ~、そこまでして私と一騎討ちがしたかったですね!それなら今からでもやり合いましょうよ」
不敵な笑みを浮かべる彼女に対して一気に血の気が引く氏康は鍔迫り合いをやめてすぐに刀をしまう。
「いいや、やめておくわ。アンタとやり合うならそれ相応の準備と覚悟が必要になるからねそれに……」
チラッと今川軍と「信玄」の方を睨む。
「この戦がどんな結果になるか見届ける義務とその後の処理をしなければならないと思っている。特に「信玄」」
急に名指しされた「信玄」は驚いた表情をする。
「この戦で姉さんが負けたら……私達無事では済まないかもしれないわ」
「一体どういうことだ?」
意味深な事を言う氏康に「信玄」は聞いてしまう。
「信玄」の顔を見て氏康は短く告げる。
「これは確実に罠だわ、もしかしたら織田が仕組んだ我々を潰す為の壮大な計画かもしれないのよ」
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