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一章 記憶

黒龍さんは怖くないっ

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--5年後--

「はぁ...はぁ...ちょっと待って、キツい」

「...はぁ...そうよユーちゃん、少し休憩しない?」

「父上、母上。まだ模擬戦形式の戦闘をはじめてから10分も経ってませんよ?」


ティアリスト家の庭は広い。
貴族なのだから当たり前らしいが家の5倍はあるだろう。最も、家も相当大きいのだが...
ユリウスは明日で11歳の誕生日を迎える。その為父ルイス曰く〈最後の試験〉と言うものを受けている。
それは父と母との模擬戦形式の試験だ。
流石に2対1での戦闘はかなりキツいとルイス、エリスは思っていた。そう、自分らの息子は馬鹿強かったのだ...。

「なぁ...お前まだ本気の半分も出してないだろ...」

「本当なのユーちゃん...」

息をあげる親2人を目の前にユリウスは颯爽と言った。

「1割も出してないですよ?多分2割で家が壊れちゃいますからね」

「...流石俺(私)の息子だな(だわ)...」

「それよりまだ僕は魔法を使ってませんよ?」

「!?身体強化魔法と高速移動魔法を使っていたんじゃないのか?」

「生身の身体能力ですっ!」

「...強過ぎるだろ(わね)...」

「よーし、まだ暴れ足りんだろ。俺とエリスは先に家で休んでるから遊んできていいぞ。魔法も人の迷惑にならない限りなら使っていい」

「本当ですか!!ありがとうございます父上!ではっーー」

ーーシュン。


今の今までそこにいたはずのユリウスの姿はもう無かった。

「マジですげぇな俺の息子...」

「私達の息子、ですよ?」

「だなっ!早く用意するぞ!」

「ええ!」


〈ここからユリウス視点〉

(やっぱり父上と母上は凄いなぁ...
僕も本気出してなかったけど2人も出してなかったよね...?僕ももっと強くならないとな!...あれ?これ、血??
向こうに繋がってる...行ってみよ)

森の奥へと続く血の跡をユリウスは辿って行った。

「...何者だ」

「!?ドラゴン?どうしてこんな所に...って怪我してる」

「人間か...去れ」

「ちょっと待ってね、〈エクストラ・ハイヒール〉」

「うぉ...我の傷が癒えていく...
人間、何故貴様のような子供が上級回復魔法を使える?これが使えるのは大魔法使いレベルの魔法使いだけだぞ?」

「本に書いてあったからかな?実際使ってみたのは初めてだよ」

「...そうか、、ふふっ。ふははは!面白い、気に入ったぞ人間!名前を何と言う?」

「ユリウス。ティアリスト・バン・ユリウス」

「ユリウスか。うむ、覚えた。では我はもう行くとする。最後になったが自己紹介が遅れたな。我は黒龍ことブラックドラゴン。名前と言う概念は存在せん。
では然らばだユリウスよ」

「じゃあね!ドラゴンさん!」

その黒く光る黒龍の身体が天高く飛び上がると、太陽の中へと吸い込まれていった。

「...初めてみたな、ドラゴン。
本では恐ろしい怪物って書いてあったけど大げさだよね。あ、もう夕方か。
魔法そんなに使ってないけど家に帰ろっ〈転移魔法〉」

そう唱えるとユリウスは先ほどまで模擬戦をしていた庭に戻っていた
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