怪しい話が好きすぎる

ギキュー

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動物園での囁き

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私は動物園が好きでした。趣味で一人で行くほど動物のことが好きで、動物たちの動き方や鳴き声はいつも魅了してくれます。しかし、今回入った動物園で恐ろしい事になるなんて知る由なかったです。

園内に入り、歩き回っていると、奇妙なことに気が付きました。動物たちは落ち着かず、興奮しているようでした。穏やかな象たちもせかせか歩き回り、ライオンたちは大声でほえていました。最初は元気があるせいだと思っていました。

しかし、しばらくするとどこからかささやき声を聞こえました。最初はかすかな声でしたが、だんだん大きくなっている気がしました。それは影から、私の心の隅に聞こえてくるようでした。無視しようとしましたが、私には聞き取れない言葉でしたが苦痛の叫びの様に感じました。

時間が経つにつれ、ささやき声は近くにいる誰かだと気が付きました。私は目に見えない何者かに見られているような気がしてそれは近くにいるように感じましたが周りには誰もいませんでした。

鳥類エリアに差し掛かった時に、ささやき声はピークに達しました。誰かの叫び声のようなささやきがはっきり聞こえるようになり、私は驚きそこから逃げようとしました。しかし、炎のように体中を焼かれた感覚に襲われました。

気が付くと冷たい床に倒れていました。起き上がり、周囲を見渡すとささやき声の正体が分かりました。それは動物たちの声でした。彼らは長年檻で閉じ込められ、精神が歪んでしまっているようです。私は(ぎーぎー)と鳴くことしか出来ないようになってしまいましたが、訪れた人間たちにここには来るなと伝えたいと思います。動物園でささやきのようなものが聞こえましたら、注意してみてください。

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