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第5話 武命とキャバクラと相撲
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「た、武命さん。 私を置いて行くんですかぁ~?」
「置いて行くというか。篝は家で自由にしていてくれよ」
「で、でも、キャバクラですよね? お、女遊び……」
「ち、違う!いや、だから『枝打ち』の対戦相手がいるんだよ。遊びじゃないって!それ、妹に言わないでくれよ」
「言えないような事するんだ……」
「篝~。聞き分けておくれよ」
「だ、だったら、私も連れていって!」
「篝は入れないよ~。女子高生だろ~?」
「ええ!? きゃばくら。 きゃばくらって一体??」
「知らないで言ってたのか。 とにかく、篝はリーナと遊んでいてくれ。すぐ帰る」
______________________________________
東京都内のキャバクラ店内。 都内で柔術の道場経営をしている元力士「土浦力男」は青年二人と酒を飲んでいた。リキオは恰幅のいい中年で、作務衣姿で酒を飲んでいる。両隣に店の人気ホステスをつけている。
青年たちは、言ってしまえばチンピラとしか言えないような無職の男たちだった。リキオの下っぱが仕事である。
「おお~、ここがキャバクラ。 華やかだぜ!」 場違いな青年がいる。
「おん? なんだあいつ?」
「あ!あんたが土浦さん? 目立つなあ。探す手間が省けたよ!」
場違いな武命の登場に、男達は唖然とし、女の子達はくすくすと笑っている。
面白い人が来たと思ったらしく、警戒されず近づける。
「あんた『枝打ち』の一人だよな? あんたの勾玉、俺にちょーだい?」
若者達が一斉に笑う。リキオだけが不機嫌になる。
「何言ってんだ、お前? 死にたいのか?」
「ここでやってもいいけどさ、俺はお店とか女の子に迷惑かけたくないのよ」
「……表に出ろ」
繁華街の裏路地の店の横、駐車場に出てきた。
正直、手下のチンピラをけしかけて来るかと思っていたが、一対一に乗ってくれるようだ。
勾玉を狙う人間ならそれなりに実力を持っているのが必然である。警戒して当然だと思うのだが、舐められているのか単に豪胆なのか。
「お前、素手で来たのか?」
「いや、木刀を持ってきているんだけど……」
釣具を入れるロッドケースに木刀を入れて持ってきていた。
「あんたも手下を使わないのか?」
「俺が出張らないと、しめしがつかねえだろうが」
「おお、いいね。 あんたみたいな男好きだぜ」
「気持ち悪いなあ。 言っとくが全くもって容赦はしねえぞ? 死んでも恨むなよ」
「望む所だ、俺も超卑怯な手を使いまくるぜ」 言いながら木刀は壁に立てかける。
審判がいる格闘技ではない。観客はチンピラの二人だけ。お互いにスッと構える。
リキオは元力士で体重は100kg近い大男だ。しかし構えはまるで伝統派空手のような、広めの足の幅で、踵を地面につけている。
両手のガードも顎の高さで前方に軽く伸ばしている。グローブでなく拳で戦うことを念頭に入れた、攻撃的な構えなのが伝わってくる。
武命は肩幅くらいの足の幅で、つま先を外に逃している。体捌きを念頭に入れた構えだ。
武命の体重は73kg。普通の格闘技では勝負にならない。とにかく、まともにぶつかり合わないようにするしかない。
リキオが予備動作なく、パッとステップで踏み込んでくる。フェイントなど無く、左の刻突きから右の逆突きを放ってくる。
見た目のイメージからは想像できない素早さだが、身軽さは武命に分がある。横に躱す。
問題はここからで、当然リキオは武命を追ってくる。みるみる間合いは近くなっていく。
武命は必死に回り込みながら逃げていく。駐車場の隅に追い込まれたら終わりだ。ぐるぐると逃げ回る。
ついに腕を掴まれてしまう。しかし、その腕を引く力に乗っかって武命は一息に突進して、リキオの顎に掌底を打ち込む!
リキオの首は肩と一体化したかのように太く、掌底がほとんど効いていないようだ。
続けて、さらに半歩踏み込みながら重心を落とし、みぞおちの急所「水月」に肘を打ち込む!
多少は効果があったようで一瞬リキオの息が止まるが、そのままズボンをベルトごと掴まれてしまう。
(まずい!)武命はリキオの親指に肘を全力で落とす!しかし、手は離れない。
(本当にまずい!膝蹴りが来ても、頭突きが来ても、投げが来てもまずい!)
リキオの攻撃手段を減らすために密着して抱きつく。重心を落とす。
だがベルトを掴んだ腕で引っこ抜かれてしまう!今まで食らったことも無いような吹っ飛ばされ方をする。酔っ払いのおっさんとは思えない膂力だ。
投げっぱなしのおかげで受け身が取れた。が、勢いを殺せずフェンスに激突する。
ズボンの膝が破れ、肘と膝から出血する。床か壁に叩きつけられたらやばかった。それこそ死んでいたかもしれない。
死。
急に、武命が幼い頃に亡くなった父親の言葉を思い出す。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
『武士道というは、死ぬことと見つけたり』
「えー? しんじゃうのー? やだ!」
「あはは。 武命、本当に死んじゃうんじゃないんだよ。 武士が何かを手に入れるためには捨てる覚悟が必要ということだよ」
「かくごー?」
「そうだ、覚悟だよ武命」
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
(そうだった。これは試合じゃない。粘っても審判が得点をくれるわけじゃない)
武命は立ち上がって、構え直す。
(接近を恐れていては勝ち筋は無い。接触の瞬間に全神経を集中させるんだ)
武命は壁を背にして、ダンッダンッと両足で地面を踏み鳴らす。四股の真似をしたつもりだ。対するリキオも重心を落として構える。
同時に二人はぶちかましの体制で突進する。どう考えても武命に勝ち目がない。
頭と頭がぶつかり合うその瞬間、武命は半身に躱しながら片腕でリキオの頭を押さえながら膝蹴りを顔面に叩き込んだ!
リキオの鼻の骨が砕け、鼻血が噴き出るがリキオは止まらない!
左腕で武命の腕を、右腕はズボンのベルトを掴み、ブルドーザーが押し出すように武命を押し込む!
リキオは武命を押し出して壁に叩きつけようとする。武命は膝蹴りした時の半身のまま押し込まれていく。
壁にぶつかる直前、武命はベルトを掴まれてる方向へ飛んで避ける。リキオの右腕にぶら下がる。
前にいた武命が消え、リキオの片腕に武命の体重がかかる。そのまま直進すると壁にぶつかってしまうのでリキオは空いている手を壁について急停止した。
その瞬間に武命はリキオの腕を伝い飛び、リキオの首に三角絞めをかける!
三角絞めの形を完成させるためにベルトをずらし、リキオの頭を引き寄せた。
「て、てめえ……変化(立合いを躱す事)しやがって……!」
「言っただろう!? 卑怯な手を使うって!」
リキオは絞技の対策はできなかった。
______________________________________
「結果から言って、土浦は勾玉を持ってなかった!」
武命の部屋で、篝に傷の手当てをしてもらいながら報告をしていた。
「ほらあ、やっぱり。私を置いていったから情報戦でやられちゃうんですよぉ」
「いや、デリヘルの女の子に盗まれたらしいんだよ」
「ああ、でりへる。 やっぱりな。 私もそうじゃないかと思ってたんです」
うん、うん。と篝は物知り顔だ。
「篝、デリヘルって知ってるの?」
「もちろんです! 昨日もリーナちゃんと『でりへる』に行ったんですよ。 とても美味しかったです」
「……それが本当だったら、今夜は家族会議だよ。 篝、デリヘルってのはな……」
篝に耳打ちして教えてあげる。
「うそ、ウソ、嘘です! 信じないでください! 冗談で言ったんです!」
篝は顔を真っ赤にして否定している。誰も信じないよ。本当に忍者なのかな?
「でも……。 それならきっと、その盗んだ女性は私のお姉ちゃんです」
「え? なんでそう思うの?」
「男女同衾の時は隙をつくチャンスなんです。 それが、霧島家の教えなんです」
武命は子供だと思っていた篝から「同衾」なんて言葉が出てドキッとする。
「そ、そうか。 だとしたら燈はすでに、勾玉を二つ持っていることになる。 頑張らないと!俺たちは燈にだけは負けられないからな!」
「そうですけど、やけにお姉ちゃんに拘りますね」
「だって、霧島家の奴らには負けられないだろう!?」
「どうしてです? 最終的にはみんな敵ですよね」
「篝が有能だって、家族に見返してやんなきゃ! だろ!?」
「あっ。 ……はい! ありがとうございます!」
「置いて行くというか。篝は家で自由にしていてくれよ」
「で、でも、キャバクラですよね? お、女遊び……」
「ち、違う!いや、だから『枝打ち』の対戦相手がいるんだよ。遊びじゃないって!それ、妹に言わないでくれよ」
「言えないような事するんだ……」
「篝~。聞き分けておくれよ」
「だ、だったら、私も連れていって!」
「篝は入れないよ~。女子高生だろ~?」
「ええ!? きゃばくら。 きゃばくらって一体??」
「知らないで言ってたのか。 とにかく、篝はリーナと遊んでいてくれ。すぐ帰る」
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青年たちは、言ってしまえばチンピラとしか言えないような無職の男たちだった。リキオの下っぱが仕事である。
「おお~、ここがキャバクラ。 華やかだぜ!」 場違いな青年がいる。
「おん? なんだあいつ?」
「あ!あんたが土浦さん? 目立つなあ。探す手間が省けたよ!」
場違いな武命の登場に、男達は唖然とし、女の子達はくすくすと笑っている。
面白い人が来たと思ったらしく、警戒されず近づける。
「あんた『枝打ち』の一人だよな? あんたの勾玉、俺にちょーだい?」
若者達が一斉に笑う。リキオだけが不機嫌になる。
「何言ってんだ、お前? 死にたいのか?」
「ここでやってもいいけどさ、俺はお店とか女の子に迷惑かけたくないのよ」
「……表に出ろ」
繁華街の裏路地の店の横、駐車場に出てきた。
正直、手下のチンピラをけしかけて来るかと思っていたが、一対一に乗ってくれるようだ。
勾玉を狙う人間ならそれなりに実力を持っているのが必然である。警戒して当然だと思うのだが、舐められているのか単に豪胆なのか。
「お前、素手で来たのか?」
「いや、木刀を持ってきているんだけど……」
釣具を入れるロッドケースに木刀を入れて持ってきていた。
「あんたも手下を使わないのか?」
「俺が出張らないと、しめしがつかねえだろうが」
「おお、いいね。 あんたみたいな男好きだぜ」
「気持ち悪いなあ。 言っとくが全くもって容赦はしねえぞ? 死んでも恨むなよ」
「望む所だ、俺も超卑怯な手を使いまくるぜ」 言いながら木刀は壁に立てかける。
審判がいる格闘技ではない。観客はチンピラの二人だけ。お互いにスッと構える。
リキオは元力士で体重は100kg近い大男だ。しかし構えはまるで伝統派空手のような、広めの足の幅で、踵を地面につけている。
両手のガードも顎の高さで前方に軽く伸ばしている。グローブでなく拳で戦うことを念頭に入れた、攻撃的な構えなのが伝わってくる。
武命は肩幅くらいの足の幅で、つま先を外に逃している。体捌きを念頭に入れた構えだ。
武命の体重は73kg。普通の格闘技では勝負にならない。とにかく、まともにぶつかり合わないようにするしかない。
リキオが予備動作なく、パッとステップで踏み込んでくる。フェイントなど無く、左の刻突きから右の逆突きを放ってくる。
見た目のイメージからは想像できない素早さだが、身軽さは武命に分がある。横に躱す。
問題はここからで、当然リキオは武命を追ってくる。みるみる間合いは近くなっていく。
武命は必死に回り込みながら逃げていく。駐車場の隅に追い込まれたら終わりだ。ぐるぐると逃げ回る。
ついに腕を掴まれてしまう。しかし、その腕を引く力に乗っかって武命は一息に突進して、リキオの顎に掌底を打ち込む!
リキオの首は肩と一体化したかのように太く、掌底がほとんど効いていないようだ。
続けて、さらに半歩踏み込みながら重心を落とし、みぞおちの急所「水月」に肘を打ち込む!
多少は効果があったようで一瞬リキオの息が止まるが、そのままズボンをベルトごと掴まれてしまう。
(まずい!)武命はリキオの親指に肘を全力で落とす!しかし、手は離れない。
(本当にまずい!膝蹴りが来ても、頭突きが来ても、投げが来てもまずい!)
リキオの攻撃手段を減らすために密着して抱きつく。重心を落とす。
だがベルトを掴んだ腕で引っこ抜かれてしまう!今まで食らったことも無いような吹っ飛ばされ方をする。酔っ払いのおっさんとは思えない膂力だ。
投げっぱなしのおかげで受け身が取れた。が、勢いを殺せずフェンスに激突する。
ズボンの膝が破れ、肘と膝から出血する。床か壁に叩きつけられたらやばかった。それこそ死んでいたかもしれない。
死。
急に、武命が幼い頃に亡くなった父親の言葉を思い出す。
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『武士道というは、死ぬことと見つけたり』
「えー? しんじゃうのー? やだ!」
「あはは。 武命、本当に死んじゃうんじゃないんだよ。 武士が何かを手に入れるためには捨てる覚悟が必要ということだよ」
「かくごー?」
「そうだ、覚悟だよ武命」
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(そうだった。これは試合じゃない。粘っても審判が得点をくれるわけじゃない)
武命は立ち上がって、構え直す。
(接近を恐れていては勝ち筋は無い。接触の瞬間に全神経を集中させるんだ)
武命は壁を背にして、ダンッダンッと両足で地面を踏み鳴らす。四股の真似をしたつもりだ。対するリキオも重心を落として構える。
同時に二人はぶちかましの体制で突進する。どう考えても武命に勝ち目がない。
頭と頭がぶつかり合うその瞬間、武命は半身に躱しながら片腕でリキオの頭を押さえながら膝蹴りを顔面に叩き込んだ!
リキオの鼻の骨が砕け、鼻血が噴き出るがリキオは止まらない!
左腕で武命の腕を、右腕はズボンのベルトを掴み、ブルドーザーが押し出すように武命を押し込む!
リキオは武命を押し出して壁に叩きつけようとする。武命は膝蹴りした時の半身のまま押し込まれていく。
壁にぶつかる直前、武命はベルトを掴まれてる方向へ飛んで避ける。リキオの右腕にぶら下がる。
前にいた武命が消え、リキオの片腕に武命の体重がかかる。そのまま直進すると壁にぶつかってしまうのでリキオは空いている手を壁について急停止した。
その瞬間に武命はリキオの腕を伝い飛び、リキオの首に三角絞めをかける!
三角絞めの形を完成させるためにベルトをずらし、リキオの頭を引き寄せた。
「て、てめえ……変化(立合いを躱す事)しやがって……!」
「言っただろう!? 卑怯な手を使うって!」
リキオは絞技の対策はできなかった。
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「結果から言って、土浦は勾玉を持ってなかった!」
武命の部屋で、篝に傷の手当てをしてもらいながら報告をしていた。
「ほらあ、やっぱり。私を置いていったから情報戦でやられちゃうんですよぉ」
「いや、デリヘルの女の子に盗まれたらしいんだよ」
「ああ、でりへる。 やっぱりな。 私もそうじゃないかと思ってたんです」
うん、うん。と篝は物知り顔だ。
「篝、デリヘルって知ってるの?」
「もちろんです! 昨日もリーナちゃんと『でりへる』に行ったんですよ。 とても美味しかったです」
「……それが本当だったら、今夜は家族会議だよ。 篝、デリヘルってのはな……」
篝に耳打ちして教えてあげる。
「うそ、ウソ、嘘です! 信じないでください! 冗談で言ったんです!」
篝は顔を真っ赤にして否定している。誰も信じないよ。本当に忍者なのかな?
「でも……。 それならきっと、その盗んだ女性は私のお姉ちゃんです」
「え? なんでそう思うの?」
「男女同衾の時は隙をつくチャンスなんです。 それが、霧島家の教えなんです」
武命は子供だと思っていた篝から「同衾」なんて言葉が出てドキッとする。
「そ、そうか。 だとしたら燈はすでに、勾玉を二つ持っていることになる。 頑張らないと!俺たちは燈にだけは負けられないからな!」
「そうですけど、やけにお姉ちゃんに拘りますね」
「だって、霧島家の奴らには負けられないだろう!?」
「どうしてです? 最終的にはみんな敵ですよね」
「篝が有能だって、家族に見返してやんなきゃ! だろ!?」
「あっ。 ……はい! ありがとうございます!」
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