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1.名前呼び

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1.名前呼び

 愛琴side

 1年の時、最初の席が隣で喋っていると気になる存在になっていた。
 檜山光之助。
 かっこよくて、頭も良い。だから、ライバルも多くて諦めようとした。
 でも、諦められない。頭から彼が、離れなかった。
 
「今年も、よろしくね」

 2年生の始業式。
 自分の席に着いた時、話しかけられ隣を見ると、彼が優しい笑顔で話しかけてくれた。
「うん」
 これ以上の言葉は、出なかった。

光之助side

 1年生の夏。俺は、福本愛琴に恋をした。
 きっかけは、部活だった。彼女は、吹奏楽部で、体育館練習の時楽器を吹いている姿を見て、一目惚れした。

 それから、目で追うようになった。
 彼女の、親友の美紗とふざけあっている光景が、いつも思い浮かぶ。

 この事を、相談相手の陸に言うと、告白しろと言われる。無理に決まってるじゃん。

「檜山!」

 陸が大きな声で言ってきた。

「何!朝からうるさい」
「クラス表、張り出されてるぞ!」
「マジ!?福本さん…」
「一緒だよ、俺の計算が合ってたら隣」
「よっしゃー!!」
「うるさっ」

 それから、新しいクラスへと入った。

 [ 福本さんと一緒だ(*´`*)💞]

 隣だった。

「今年も、よろしくね」

 この一言しか言うことが出来なかった。
 嬉しすぎて。

 始業式から、3ヶ月。
 雨のせいで、休校続き。全然福本さんと喋れない。
 そろそろ、愛琴って呼びたいのに…

愛琴side

 休校最悪だったけど、今日は学校!

「柚葉ーー」
「テンション高いね、ま、柚葉も若干高いけど」
「やっと会えるー」
「それな!三連休とか長すぎでも、」
「テスト(´•̥ _ •̥`)でも、隣だー」
「えっ、いいなー」

 そう!
 休校含んだ三連休明け。
 テストは最悪だけど、テスト席は檜山と一緒。
 喋らないと。

「おはよう」

 日課。いつも、教室に入る時言う。
 返してくれるのは、

「おはよー」

 うるさい翔。私が、檜山の事好きって知ってるから、いつもからかってくる。
 檜山とは、喋りたいのに向こうを待ってしまう。

 光之助side


「テスト席にしてー」
 先生の声と同時に、みんなが机を動かし始めた。

 [やっとだ(*´ω`*)喋らないと、名前呼びも]

 席を並べる時、当たってしまった。

「ごめん」
「大丈夫」

 少しニコッと笑いながら言う顔が可愛いかった。
 2時間のテストが終わった。

「愛琴、社会分かった?」

 勇気を出して言ってみる。
 驚いてるのかなと思えるほど、動揺している。

「分かるわけないじゃん!意味不明!」

 いつもの福本さんだ。

「だよね!俺も全然だった」
「檜山の全然は、うちのめっちゃ出来ただから!」
「そんな訳ないよ!愛琴も頭良いじゃん」

 少し照れていた。
 その後も、話した。
 この人を俺の物にしたい。そう強く思った。
 でも、告白は出来ない。

 愛琴side

「愛琴、社会分かった?」

 えっ、愛琴呼び!?
 急すぎ、心臓に悪いよ!死ぬ!!!
 なんか言わないと。
「分かるわけないじゃん!意味不明」
 その後も、喋った。
 楽しい。やっぱ 私、好きだ。檜山光之助の事が。

 昼休み

 イツメンの、柚葉と美紗と陽菜で喋っていた。
 でも、先生にノート提出するの忘れてて、全員分出しに行った。
 階段を降りようとした時。

「あっ」

 足を踏み外してしまう。
 その瞬間、背中に衝撃が走った。
 目を開けると、階段からは落ちていない。

「大丈夫??」

 隣を見ると、檜山がいた。

「うん、なんで」
「落ちそうだったから、愛琴が怪我したら…
ってか、何でこんな重いの1人で持ってんの」
「仕事だし。」
「だからって、1人で持つなよ」

 そう言って、散らばったノートをまとめてくれた。

 『檜山を好きになって良かった

 強くそう思えた。
「はい」
 サッと、手を差し伸べてくれた。
 その手を掴み立ち上がると、
「俺の事もっと頼って、なんでも言って愛琴の役に立ちたい」
「ありがと、」
 私は、この人をずっと好きでいたい。
 そう心から思った。

 光之助side
 愛琴が落ちそうなところを助けた。
 心臓は、今にもはち切れそうだったけど、鼓動が聞こえてないことを願う。

「俺の事もっと頼って、なんでも言って愛琴の役に立ちたい」

 やっと、言えた。
告白とは言えないのは分かってるけど、言いたい事は、言えた。
 その後、少し気まずい雰囲気にはなったけど、『愛琴を好きでい続けたい』
 そう思えた。
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