チャラ男は愛されたい

梅茶

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Sクラス

一ノ瀬side

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俺は可愛いものが好きだ。



それはこの男だらけのむさ苦しい学園に幼少期からいる反動からなのか、それとも普通にそういうものが好きなのかは俺には分からねぇが、取り敢えず可愛いものが好きだ。

それは物だけじゃなくて、人に対しても言える。というか、物はおまけみたいなもので、むしろ可愛い人が好きだ。可愛い人が可愛いものを持っているのがいい。

どれぐらい好きかと言うと、ぬいぐるみやピンクのレースに溢れたいつか来たる理想の嫁用の部屋を実家に用意しているほどだ。堂々と用意していたからか親父に1度見られてしまい、引かれたが。失敬な。俺の部屋なわけないだろうが。誤解されたままも嫌なのできちんと理由を話したら、それはそれで引かれてしまった。謎すぎるな。男の夢だろう?それに女の趣味が悪すぎる親父にだけは言われたくない。

まあ最初に部屋を見られて引かれたのはまだわかる。なんてったって、俺は自分の容姿が一般的に見てもとても整っているということは知っている。それも男らしいというジャンルだとも。まあ可愛いものは似合わないよな。

可愛いものが好きならその容姿は嫌なんじゃないかって?馬鹿言うな、俺様の美しさに不満なんてあるわけが無いだろう。それに自分が可愛いものを着たいとか持ちたいとか言う願望は一切ない。想像するだけで吐き気がするぜ。


それに、むしろこの容姿のおかげで今俺は最高に潤っている。この学園は上流階級な生まれや育ちな奴らばかりだからか、結構な割合で女みたいな男が在籍している。所謂チワワ系と言うやつだ。そういった奴らは同性の、さらに言うと男らしいタイプに惹かれる傾向がある。だからか、入学したての頃や今までもよく周りに引っ付かれていた。

最初は付きまとわれても女の代わりだと思えば可愛く感じていたが…すぐにキャンキャン吠えて煩わしいし、ああいう性格は好みではない。しかし顔だけなら悪くないからな。今まで以上に煩わしくなるだろうことも承知で親衛隊を許可したのもそれが理由だ。

…まあ顔だけ見れたらいいので必要以上に話さなかったら親衛隊嫌いなんて噂ができてしまったが。あながち間違えではないし都合がいいので噂はそのままにしている。俺はお前らと話したくないしな。中身も可愛くなってから出直してこい。

中等部で生徒会役員になってからは規模が凄いことになったが…俺のところは過激派だからな。恐ろしい制裁が待っているからか、腹黒い親衛隊隊長のおかげで俺が煩わしい目にあうことは無かった。あいつは本当に顔だけなら好みなんだがなぁ。


あぁ、生徒会と言えば…今生徒会副会長をしている美緒だが、こいつも割と好みだ。俺は綺麗系もいける。一度本気でドレスを着るよう頼んでみたこともあるが、軽蔑するような眼差しで見られたので諦めた。まあこいつは女っぽいと思われるのが嫌いだし、割と男らしいからな。腹黒いところも、仕事仲間としてなら大歓迎だがタイプではない。目の保養にはなるが。

双子の伊月と緋月も、見た目だけなら理想的で目の保養にはなるが…こいつらは尻軽でこの学園のタチもネコも食いまくっている。まあそういうのも悪くは無いが…俺はできれば童貞で処女のやつがいい。この学園でどれほどそんな奴がいるのか知らないが。

中等部でも生徒会役員で、高等部でも予想通り書記として入ってきた千歳は…あいつは初等部の時は女みたいな容姿に物静かな性格で正直とても好みだったのだが、いつからか体格が男らしくなってしまった。可愛いことには変わりないが…


だから今回の生徒会役員選挙で知らない名前がふたつもあった時、とても心が踊った。特に鬼十茜とかいう特待生はクソダサい変装に清潔感のない格好で普通なら相手にもしないが、俺にはわかる。もさいアフロで頭でっかちに見えるがよく見たら顔は驚くほど小さいし、体格もぶかぶかの制服で惑わされるがだいぶ華奢だ。それにわざわざこんな格好をする意味は分からないが、変装しているからには中々の美少年だろう。


予想通り、あのいけすかない風紀委員長に咎められたらしく変装を辞めたらしいが、その姿を見た誰もが美少年だと話していた。俄然期待が高まるというものだ。

そして向かった食堂。そこで俺は雷が落ちたかのような衝撃を受けた。そう、俺は運命の出会いを果たしてしまったのだ…しかも、それは1人ではなく2人だ。


1人目はまあ期待していた鬼十茜。その可愛さは期待以上で、砂糖菓子を連想させるふわふわとした薄いピンク色の髪に、桜色の瞳。華奢な体は男なのに少し丸みを帯びていて抱きつきたくなる。興奮しているのか頬を赤く染めており、白い肌におちるその色がなんとも扇情的だ。

妖精、いや天使か…?まさに俺の理想とも言える"可愛い"が服を着て立っているのだ。動きに周りに媚びるようなものが含まれていないのも気に入った。少しお転婆なところがあるようだが…全然いい。むしろチャームポイントだろう。


いつもだったらそのままその赤く熟れた林檎のような唇に口付けていただろう。それを押しとどめたのはもう1人、俺の運命の人がいたからだ。

確か名前は久遠遥。茜と同じく特待生だったはずだ。最初は写真を見ても、とても綺麗な見た目だが軽薄で見るからに遊び慣れている格好から歯牙にもかけていなかった。しかし、食堂での茜との会話や俺の経験レーダーが言っている。あいつは処女だと!なんなら童貞だ。

それに、茜から指をさすという無作法をしたにもかかわらず、行儀の悪さを指摘されて直す素直なところも、美緒や双子に構って貰えず眉を寄せ頬を膨らまし拗ねる幼いところも、オムライスごときで落ち込むのも、照れたように眉を下げて心底嬉しそうに笑う顔も全てが完璧すぎる。

見た目のよさもあるが、正直中身がどストライクでタイプだった。遥が俺の用意した部屋で可愛いものに囲まれて照れたようにしているところを想像するだけで、ナニとは言わないがあそこが元気になりそうになるのを必死に抑える。

茜の方も気になるし話しかけたいがあっちはあっちで盛り上がっているようなので、気配を最大限殺して遥の隣にスっと座る。遥は最高に甘くていい匂いがする。それに甘やかされてふにゃりと笑う顔を見ているだけでこちらも笑顔になってしまう。

あぁ、あのベットの上でめちゃくちゃに可愛がりたい。ドレスとか着せたままシたらどんな可愛い顔をしてくれるんだろうか。そんな下品なことを考えているなどおくびにもださず不遜な笑顔で話しかける。なんだその驚いた顔は。可愛すぎだろ。100点だ。

それにしても…実際話してみて思うがなんだ?そのしゃべり方は。間延びした喋り方も、少し舌っ足らずに名前を呼ぶのも可愛すぎるだろ。あまりの可愛さに下半身に集中するため顔面に気が遣えなくなるぐらいだ。お前は俺をどうしたいんだ?キスしていいかな。

あの部屋を一緒に用意してくれた老執事のセバスチャンを思い出す。あぁ、セバスチャン。ようやくあの部屋を有効活用することが出来そうだぞ…



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俺様生徒会長が難しすぎて、なんだか変態になってしまった気がします。遥くんは変態に好かれやすいかもしれません。
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