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第一章 追放からの出会い
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しおりを挟む一週間経ち街へ着く頃には、精霊に手伝って貰わなくても支援魔法を制御できるようになっていた。
攻撃魔法は全然出来ないけど…
門に着くと、たくさんの人が並んでいて、時間がかかるなと思っていたらレオナードさんが門兵の人に話しかけ始め、あっさり通れた。
前も思ったけどSランク冒険者って凄いな…。
「ようこそ、港街リーフェンへ」
リーフェンと言う街らしい。
「この国内でも大きな街で港街だから結構賑わっているぞ」
「大きな街ってたくさんあるんですか?」
「そうだな…。ここら辺だと、この街ぐらいの規模の街はない。だが、この街は他国からの品も手に入るから不便はないぞ」
大国だしなと笑いながら教えてくれた。
街に入り宿を取った。支払いはレオナードさんだ。断っていたが、根負けした。
そのまま市に向かう。
市は賑わっていて、たくさんの人がいた。
レオナードさんと軽い会話を交わしながら歩いていた。
周りから、視線を感じる。
「レオナードさん、なんか目立ってませんか?」
「……そうだな」
特に気にしていなかったが、レオナードさんはローブを着ていなくて、顔を晒している。
ボクは目立たないだろうし、フードを被っているけど…
「レオナードさんはローブ着けないんですか?」
「? なんでだ?」
「…レオナードさんが目立ってるから」
「!!」
驚いた表情をされた。気づかなかったのか。
そう会話してる内に一人の女性が声をかけていた。
「あの、旅の方ですか?」
一人が近づいてくるとそれに連れてあっという間に囲まれた。
揉みくちゃしてる中から抜け出す。
今まで囲まれたことがなかったのかな。
少し離れたところから落ち着くのを待とう。
そこそこ経つが収まる様子がない。声をかけに行こうと思った時――
突然口が布で覆われ、路地裏に引っ張られた。
話し声が聞こえる中、だんだん意識が遠くなり、ボクの意識は闇に落ちた。
***
朦朧とした意識の中、男達の不快な笑い声が聞こえる。
「Sランク冒険者も落ちぶれたな」
「こんなガキと一緒にいるなんて、よほど大事なのかw」
薄く目を開ける。小屋の中のようだ。床で手足を拘束されていて身動きがとれない。
ボクが起きたことに気づいた男の一人が近づいてきた。
「おう、起きたか」
「どこのガキか知らんが、運が悪かったな」
男達はそう言うとボクからフードを取った。
「……っ」
息を飲む。フードを取り固まっていた男がニヤリと笑い出した。
「こいつは上玉だなぁ」
「なあこいつ貰っていいか?」
「バッカ、お前にやると売れなくなるだろ? せっかくの上玉だぞ」
「一晩ぐらいいいだろ? 死ぬわけじゃねぇし」
そんな会話が聞こえてくる。
意識がはっきりして拐われたと理解した。抵抗しても無駄だろう。
「にしてもレオナードのヤツ、こんな上玉隠してるんだなんてな。
アイツなら引く手あまただろ」
「確かになw」
内容はよく分からないけどレオナードさんを悪く言っているんだろうか。
胸の中が嫌な気持ちでいっぱいになった。
男達はボクの口に布を詰め、[スリープ]と呟くと同時にボクの意識は再び闇に落ちた。
▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪
少し短めになってしまいました…。
レオナードが今までいた街では一人の時無表情で近寄り難い雰囲気を出していたけれど、リオがいたことでそんな雰囲気はないので囲まれました。
次回、暴力的な表現が出てきます。苦手な方は回れ右でお願いします!
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